へんな旅ばかりしています。

へんな旅をしているようなので、自分のための防備録的にやってみます。

令和元年14発目、ANAファーストクラスで行く世界遺産。その8:庭にソレ置くか?ってホテル、DON Q INNに宿泊。

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シカゴの次はイリノイ州のお隣、ウィスコンシン州はスプリンググリーンにあるフランク・ロイド・ライトの総本山とも言える「タリアセン」へと向かいます。公共交通でアクセスできる場所ではないので、シカゴのダウンタウンにあるアラモレンタカーのオフィスでクルマを借りて出発。コンパクトカーを予約していたのですが「ちょうど在庫がないんだ、そのキャディラック使っていいよ!料金は同じだぜ!」だそうで。

 

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夕方4時過ぎにシカゴ市内を出発しましたが、高速道路が渋滞中。結局、オヘア空港のあたりを抜けるまでずっとノロノロ運転で、120kmほどの距離にあるベルビディアのサービスエリアに着いたのは夕方6時過ぎになってしまいました。ここで休憩。

 

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これが今回借りたクルマ、キャディラックXTS。こちらで1台500万円以上する、それなりに高いクルマみたいです。まぁ燃費は猛烈に悪そうですが…。高級車だけあって装備は充実しており、そもそもカーナビがついてます。オーディオもブルートゥース対応で持参のウォークマンと接続できただけでなく、クルマ側のディスプレイに曲名とかが日本語で表示されちゃうのは驚きました。タイヤの空気圧までモニターしてるしねぇ。

 

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こちらのサービスエリア、本線を跨ぐように本館が建っています。トイレやフードコートなどがあり、日本のサービスエリアみたいな感じでもあります。

 

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高速道路の本線の先、ちょうど夕日が沈むところでした。平原にまっすぐ伸びる道がいかにもアメリカっぽいなぁ。

 

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シカゴから300km、結局4時間ほどかかって、本日のお宿のウィスコンシン州ドッジビル「DON Q INN」に到着しました。

 

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ちょっと山小屋というかバンガロー風で、雰囲気は悪くないです。

 

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モーテルなので部屋は広々してます。

 

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洗面台あたり。

 

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バスルーム。全般的に凄く綺麗です。建物自体は最近出来た感じではないので、メンテがキチンとしてるんだと思われます。

 

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まだ晩飯食ってないんで、ちょっとお出かけ。ホテルの近く、ドッジビルの中心地?にあったハンバーガーショップ「カルバーズ」にしました。ここ、ウィスコンシン発祥だったのよね。

 

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「カルバーズ」のウリは「バターバーガー」ですが、別にバターで調理しているとかではなく、パンのてっぺんに軽くバターを塗ってるから、らしいです。そのバターもウィスコンシン産というこだわり。牛肉もフレッシュで冷凍したものは使いません、だそう。パティとチーズが2枚入った「カルバーズデラックス」とポテト、ドリンクを注文しましたが、確かに旨いわ。

 

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折角なのでコレも「カルバーズ」のウリである「フローズンカスタード」も食べちゃいました。要は「濃厚なアイスクリーム」なんですけどね。ナッツとマシュマロの入ったフレーバーが今月のお勧めとのことで、お勧めされるままにしましたが、これも大正解の旨さでした。

 

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こちらのDON Q INN、朝食付きです。ロビーは美容室の椅子が並んでいたりして、結構エッジ効いた感じ。

 

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朝食のラインナップとしてはパンやフルーツなどが中心といったところ。

 

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自分で焼くワッフルマシーンがあったので、そちらを戴きます。まぁまぁ旨そうに焼けたんじゃないかな。

 

で、このホテル、なかなか凄いものが庭に置いてあります。

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客室の窓から見えるのがコイツ。ボーイングC-97輸送機です。B-29爆撃機をベースに開発された輸送機で、「ボーイング377」として旅客機としてもパンナムやノースウエストなどで使われていました。すぐそばに以前は空港があり、そこに飛んできてココに据え付けられたそうです。当初はホテル併設の喫茶店にするために購入されたとか。このホテルを選んだのはコイツのせいですが、見つけたのは偶然です。スプリンググリーン近辺でホテルを探していたら、たまたまコレが出てきたので「こりゃ行くしかないでしょ」と思った次第。

 

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一晩明けて、飛行機をじっくり眺めてみます。

 

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機体にはタラップが付けられており、機内に入ることが出来ます。

 

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操縦席も入り放題。ちょっと荒れてる感ありますが…。

 

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機内の客室?部分ですが、ちょっと廃墟みたい…。ホテルの方は綺麗にしてますが、こちらの手入れはイマイチの様子。とはいえ、C-97は展示機も含め10機ほどしか残っていないようなので、こんな風に観れるのは貴重ではあります。

 

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外装はそこそこ綺麗。ちょっと塗装の劣化も感じられなくはないけど。

 

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とはいえ、ホテルの看板の背後に大きな輸送機があったらちょっと驚くよね。

 

令和元年14発目、ANAファーストクラスで行く世界遺産。その7:ココにもライト、シカゴ美術館。

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午後からはシカゴ美術館へ行ってみました。滞在できる時間は3時間強なのですが、なんせメトロポリタン美術館ボストン美術館と並んで「アメリカ三大美術館」の一つと言われるだけあってコレクションは膨大。そこで、まずは館内ガイドに「ハイライト」として紹介されている作品を巡ってみることにします。

 

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これは東洋美術コーナーの一室である「安藤ギャラリー」。世界的にもファンの多い建築家、安藤忠雄が設計し1992年にオープンしたギャラリーです。美術館の入口で英語版の館内マップ付きのビジターガイドと日本語版の館内情報をもらってきたのですが、「コレクションのハイライト」として紹介されている作品が英語版と日本語版と微妙に違ってるんですよね何故か。こちらは日本語版の「ハイライト」の1件目に紹介されています。

 

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英語版のハイライト1件目となっているのはこちらのアフリカのマスクなんですけどね。

 

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ハイライト2件目は「騎士の甲冑と馬鎧」。

 

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3件目はエル・グレコの「聖母被昇天」なのですが、パリでの特別展のために貸出中で実物は拝めず残念。

 

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4件目は時代がぐっと流れて、ジョルジュ・スーラの「グランド・ジャット島の日曜日の午後」。

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5件目はクロード・モネの連作「積みわら」です。印象派絵画はアメリカの富豪が好んで購入したということもあり、ここシカゴ美術館でも充実したコレクションを持っています。ハイライトに2件も印象派を加えているのもそのせいでしょうね。

 

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6件目にはアメリカンアートが入ってきます。アメリカの現代美術の代表的存在ともいえるジョージアオキーフ「雲の上の空Ⅳ」、かなり大判の作品で階段室の壁面に展示されていました。

 

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7件目、これもアメリカの芸術家であるエドワード・ホッパーの「ナイトホークス」。日本でも有名な作品だと思うのですが、日本語版ガイドには何故か紹介されていません。そのかわりにマーク・シャガールの「アメリカン・ウィンドウズ」が選ばれています。

 

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8件目はシカゴ出身のアーチボルト・ジョン・モトリー・ジュニア「ナイトライフ」。先ほどのホッパー「ナイトホークス」の静寂な雰囲気と対照的で、英語版ガイドで並べてピックアップしているのはそのあたりに意図があるのかも。

 

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9件目もアメリカ絵画、グラント・ウッドの「アメリカン・ゴシック」です。これも結構有名な作品ですよね。

 

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10件目はパブロ・ピカソ「老いたギター弾き」。

 

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11件目はアルマ・トーマス「星空と宇宙飛行士」ですが、日本語版ガイドではこの作品ではなくジョアン・ミッチェルの「街の風景」がピックアップされています。

 

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最後の12件目はアンディ・ウォホール「リズ#3」でした。

 

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まぁこんな感じでハイライトを観て廻るだけでお腹一杯な感じのシカゴ美術館ですが、実は中央の大階段のバルコニーに「シカゴらしい」ギャラリーがあるんですよ。

 

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ここにはシカゴの建築物や、シカゴに縁のある建築家の作品などの「パーツ」を展示しているんです。シカゴは「建築の街」といわれますが、当然ながら古くなった建物は壊されて建て替える、というような話が出てきます。「古くなった建物」も歴史的には貴重なものだったりするわけで保存できればいいんでしょうが、なかなか全部残しましょう!というわけにもいきません(下手すりゃシカゴのダウンタウン全部そのままにしなきゃダメなレベルですもの)。そこで、保存が叶わなかった建物などの一部だけでも残そう、ということでこのキャラリーが出来た、というようなことのようです。

 

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これはちょうど午前中に見学したルッカリービルのエレベーターの扉として使われていたパネル。ライトによる改装の際に設置されたものですが、最近の改装で取り外され、こちらのギャラリーに来たとのこと。

 

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1910年代にシカゴにあり、ライトが設計に携わった「ミッドウェイガーデンズ」にあった彫像も。

 

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これもライト設計でシカゴに存在したフランシス・アパートメントの通気グリルと門塀です。

 

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ライトの住宅建築でよく見られるステンドグラスの窓パネルも。

 

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こうしたモチーフはライトの建築でよく見られるもの。

 

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中にはシカゴの建築でないものも。これはライトが手がけた東京の帝国ホテルのランタンです。なお、このエリアにはライト以外にも多くの建築家の作品からの「一部」が展示されています。

 

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なお、ライトの作品としては他にもアメリカンアートの装飾品・工芸品等のエリアにも家具などが展示されています。アメリカ三大美術館にこれだけ「作品」が置かれているのも「さすがフランク・ロイド・ライト!」ってとこなのかしら。

 

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シカゴ美術館からホテルまで歩いて戻る途中にあった「ダンキン・ドーナツ」で「午後2時から4時までアイスティー・アイスコーヒーが全サイズ1.5ドル」とか出てるのを発見。ちょうど喉も渇いてたし、ちょっと休憩。

 

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どれでも同じ値段ならそりゃ多い方がお得っしょ!と迷わず「ラージ」のアイスティーをオーダーしましたが…忘れてたよ、ここはアメリカ。サイズ感が日本とは全然違うので、「ラージ」は1リットルくらい入ってそうなバケツにしか見えない巨大容器で出てきてしまったよ…。まぁ飲んだけどさ。

令和元年14発目、ANAファーストクラスで行く世界遺産。その6:シカゴでライト作品の落ち葉拾い、ルッカリービル。

では2019年9月の旅の話に戻ります。シカゴ2日目。

 

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朝食はホテルのすぐそばに、いかにも「アメリカン」で「ダイナー」な感じのお店があったので、こちら「Lasalle Cafe Luna」で戴きました。「朝食とランチ毎日営業中」なんて書いてありますが、閉店時間が午後3時なので看板に偽りなし。シカゴのダウンタウンはオフィス街なせいか、夕方には閉店してしまう飲食店が結構多い印象です。マクドナルドとかですらロケーションによっては午後6時までだったりとかしたのは驚いたぞ。

 

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店内はほぼ満席、割と人気のあるお店なのかも。幸い、空いていた窓際の2名がけの席に案内されました。

 

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明るくて好印象な店員さんにまず飲み物を聞かれてコーヒーを注文します。これも、いかにもアメリカっぽい、「グルメ」じゃない感じのコーヒーで良い感じ。こういうところでガブガブ飲むコーヒーは「美味しすぎない」ほうがいいよねぇ。

 

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パンケーキ・タマゴ・ソーセージ・ベーコンが全部2コずつ!というヤツを選びました。パンケーキが意外と旨い。でもなんでこっちの朝食って「甘いもの」と「しょっぱいもの」を同じ皿にのせるんだろうね…。まぁシロップかぶったカリカリベーコンとかも悪くはないんだけどね。なお、これでチップ込み16ドル払いましたが、やっぱりテーブルサービスのお店はそれなりの価格になっちゃうなぁ。

 

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朝食の後はシカゴ名物「ループ」、高架鉄道で出かけます。

 

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大都会のど真ん中にこんなダイヤモンドクロッシングがどーんと存在してるの凄い。しかも運転本数は都市鉄道なので多いから、どんどん列車が通過していくし。

 

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今日の最初の目的地は「ルッカリービル」。建物自体は1888年竣工で、当時シカゴを拠点に高層建築を多く手がけていた建築事務所「バーナム&ルート」の設計によるものですが、1907年にライトがロビーの改装を手がけたことで知られています。

 

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これがそのロビーの様子。ロビーの一般エリアをうろつくだけであれば、ビル開館時間内なら可能です。実は2年前のシカゴ訪問の時も立ち寄ったのですが、ちょうど土日にあたってしまいビルは閉館中。外観を眺めるだけになってしまったので、今回はそのリターンマッチでもあります。

 

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フランク・ロイド・ライト財団のオフィスがロビーに入居しています。ここが主催する参加費10ドルの見学ツアーだと、関係者以外立ち入り禁止エリアも案内して貰えるので参加してみました。

 

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ガイドの案内に従って、ロビー中央の階段を上がって2階のバルコニーへ上がります。この風景はツアーに参加するか、このビルに入居する会社に勤務するかでないと観れないわけだな。

 

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このロビーは当初はもっと「鉄」が多用されていたようで、階段左右の装飾も金属製の柱の上に大きな植え込みがあるようなスタイルだったとのこと。1888年の竣工当時よく使われた様式で時代遅れになってしまったので、その時点でシカゴでもかなりイケてる扱いだったライトに改装をお願いすることになった模様。大理石の柱と金色の装飾、照明などがライトが追加した部分です。

 

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この「丸」と「四角」を組み合わせた照明などは、いかにもライトのデザインです。

 

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バルコニーの床はガラスブロックがはめ込まれ、1階からの光が透けて見えて綺麗です。

 

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このビルの見所の一つでもある螺旋階段も見学できます。ただし、こちらはライトの改装以前から存在しているものなので、ライトとは直接の関係はない模様。

 

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螺旋階段の階段室を下から見上げたところ。

 

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このルッカリービルは「ロ」の字型で、中央は大きな吹き抜けになっています。まだ空調のない時代、オフィスの換気・風通しを考慮した設計だそう。この部分にも現在ではガラスの屋根がかかっていますが、これは最近の改装で付け加えられたもの。

 

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ここはライトによる改装の際に1階から2階へ上がる階段が設置されていたところ。その後の改装で階段を撤去したところ、竣工当時の床や、ライトが大理石で覆ってしまった以前の鉄製の柱などが出てきたので、それが見えるようになっていました。

 

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このエレベーターホールもライトが改装したものだそうです。約90分、かなりじっくり案内してもらえました。

 

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時間はもうお昼前、ランチはルッカリービルに近いフードコート「REVIVAL FOOD HALL」へ行ってみます。

 

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まぁフードコートなのにお洒落。さすがシカゴのダウンタウン勤務みたいなエリートサラリーマンの皆さんが沢山来そうなところは違いますなぁ。

 

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フードコートなのでお店は多数入っているのですが、ここが一際長い行列が。

 

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「HOT CHICKEN」の「Budlong」というお店。ホットチキンって何だよ、と思って調べたらテネシー州ナッシュビルの名物で、辛いソースで和えたフライドチキンらしいです。混んでるってコトは旨いんだろ、と並んでみました。

 

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こんなボックスで渡されました。適当に空き席を見つけて、さぁ戴きます。

 

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骨なしチキンを選んでみましたが、大きめの胸肉のフライドチキンが3コ入ってました。トーストの上に載せて出すのが一般的らしいです。お味の方は辛さが選べるので下から2番目にしましたが、ピリ辛程度といったところ。添えられているのはランチドレッシングで、これをソースとして食べるとまた変化が付いて良い感じでした。

 

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ランチを終えて外に出ると、なんか凄いデモやってます。ここはちょうど連邦政府機関の入るビルのあたり。参加者の年齢層は高校生くらいの若い子が多くて学校どうしたの?と思ったのですが、コレって例の「気候変動デモ」ってやつじゃん! 

令和元年14発目、ANAファーストクラスで行く世界遺産。その5:祝!フランク・ロイド・ライト世界遺産登録!2年前の旅ふりかえり。

そもそも「ファーストクラスで行く」世界遺産、って何だよ、って話なのですが。

 

2019年7月、フランク・ロイド・ライトの8つの建築物が世界遺産に登録されました。世界三大建築家と言われる中で、ミース・ファン・デル・ローエは2001年にチェコのトゥーゲントハット邸が、ル・コルビュジエは東京の国立西洋美術館を含む7カ国17作品が2016年に既に登録されており、「やっと実現したのね」という感じ。ただ、「世界遺産」ってのは個人の偉業を賞賛するものではなく「顕著な普遍的価値」があるもの、となっているので、この建築が人類にとってどのような価値を持つのか、という面を示すのに時間を要した、という感じのようです。

 

実はちょうど2年前の9月の同じ時期、フランク・ロイド・ライトの建築を訪ねる旅をしていました。世界遺産に登録された作品もその際にいくつか訪問しており、今回の旅は2年前のフォロー的な意味合いもあるので、ちょっと振り返りを。

 

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名古屋からはデルタ航空利用でデトロイト経由にてピッツバーグへ。空港でレンタカーを借りて、ライトの建築で最も有名なものの一つ「落水荘」を目指します。ここは2019年に世界遺産に登録されています。

 

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見学はガイドツアーに参加する必要があります。通常のツアーは日中15~30分ごとに催行されていますが、館内の写真撮影はNG。より参加費の高い、詳しい説明のあるツアーなどに参加する必要があります。このときは朝に2本催行されるIn-Depth Tourにしました。

 

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In-Depth Tourは通常ツアー参加費が30ドルに対し80ドルもかかりますが、1回20名程度と少人数に抑えて2時間たっぷり案内してもらえます。そのせいか人気が高いようで、かなり早いうちに手配しないと予約が取れない感じでした。

 

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この落水荘、もともとはピッツバーグで百貨店を経営していたカウフマン家の別荘として建てられたもの。1936年完成、長い低迷期にあったライトが復活するきっかけとなった作品の一つです。

 

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落水荘からほど近いところにあるダンカン邸も立ち寄りました。こちらは1957年と時代は新しめ。ライトが晩年に提唱していた「ユーソニアン住宅」のフォーマットによる作品の一つです。

 

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ピッツバーグからはニューヨークへ移動し、ニューヨーク近代美術館へ。

 

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2017年はライト生誕150年ということで、6月12日から10月1日まで大規模な回顧展「Frank Lloyd Wright at 150:Unpacking the Archive」が開催されました。これを観たくてこの時期の渡米を選んだというわけ。

 

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印象的だったのは、かなり広い会場の中でも比較的大きなスペースで「帝国ホテル」を紹介していたこと。

 

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帝国ホテルのライト館は1923年の竣工ですが、ちょうどライトが長い低迷期に入った時期にあたります。また、実はライトの作品って、それまで住宅など比較的小規模のものが大半で、これだけ大規模な施設は「ほぼ初めて」とも言えるんです。加えて、よく指摘される「ライトが日本や東洋の文化に影響を受けている」という点が伺える好例がこの「帝国ホテル」ということもあり、ライトのキャリアの中でも特別な作品、という位置づけなのかもしれません。

 

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またニューヨークのライトの建築といえばグッゲンハイム美術館ですよね。これも今年、世界遺産に登録された建築群のひとつです。

 

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このときは展示替えのため、有名な螺旋型ギャラリーには入れませんでしたが、ロビーから眺めることはできました。最上階から螺旋状にスロープで降りながら鑑賞するギャラリーは展示スペースが連続するという利点から着想いたようですが、実際には悪品鑑賞の時に床が斜めで集中できない…という不満の声もあるよう。そのあたりが「グッゲンハイム美術館で最も有名な作品は建物自体」なんて言われる所以かもしれません。

 

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ニューヨークからはライト建築の総本山とも言えるシカゴへ飛びます。まずはロビー邸の見学に向かいました。ここも世界遺産になりました。

 

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ロビー邸の竣工は1906年。ライトの第1期黄金期、「プレーリースタイル」の集大成のような作品です。所々に寄せ木細工っぽいパーティションなど「和」の雰囲気がどことなく漂っている感じ。芦屋にある「ヨドコウ迎賓館」にも、どことなく似ています。

 

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シカゴ近郊、ライトの手がけた建築が多数残っているオークパークも訪問。こちらはライトの住宅兼事務所。オークパークのライト財団のビジターセンターにも使われています。

 

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事務所はかなり立派で、相当イケイケだったことが窺われますが、ライトはここを離れなければいけない状況になってしまいます。ま、そのお話は後で。

 

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オークパークではライトの手による住宅建築を巡りましたが、ハイライトはこのユニティテンプルでした。2015年から修復工事に入っており、修復完了の時期がどんどん延長されていたんですよ…。幸いなことに2017年の6月に修復が完了し、7月から内部見学ツアーも再開されたので、このときも観ることができました。

 

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ユニティテンプルの完成は1908年。2つの建物を回廊で繋ぐ構成や、坪庭的なものが所々あったり、というあたりが「日本の影響」である可能性は高いのではないか、とのこと。

 

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シカゴからはウィスコンシン州ラシーンにあるSCジョンソン本社ビルにも行きました。シカゴからは100km以上離れており、公共交通で行くのも難しいロケーションなのですが、このときはシカゴ建築財団とSCジョンソン社との共同企画とうことで、シカゴからSCジョンソン本社とジョンソン家の住宅「ウィングスプレッド」を巡るツアーがなんと参加費無料で催行されており、有り難く恩恵を受けることにしたわけです。

 

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事務所棟は1936年、ちょうど落水荘と同時期の作品。落水荘とともにこの建築も高い評価を受けたことから、ライトの第2期黄金時代がはじまる、みたいな感じになるわけです。中央にそびえる研究棟は1950年に追加されたもの。防災基準を満たさなくなったので業務では使われていませんが、見学ツアーで内部公開されています。

 

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見学ツアーではライト設計の建物内部での撮影は不可。事務所棟の玄関のガラス扉越しにパチリ。この作品の特徴の一つでもある「キノコみたいな柱」が林立しているのが分かります。

 

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こちらは「ウイングスプレッド」。SCジョンソン社のオーナー、ジョンソン家の邸宅として1939年に完成したものです。「ウイングスプレッド」の名の通り、上から見ると中央から四方に羽を広げたような形。また大企業のオーナーの邸宅ということで、他のライトの住宅建築に比べると規模は相当大きくなっており「プレーリースタイルでは最大の建築」とも言われているようです。

 

2017年の旅では「落水荘」「ロビー邸」「ユニティテンプル」「グッゲンハイム美術館」と、世界遺産になった8つのうち4つを訪問したことになります。このときはスケジュールの都合で、ライト晩年の住宅兼スタジオでもある「タリアセン」訪問を諦めています。いつかリターンマッチを!と考えていたのですが、ANAのマイルで取れたファーストクラスの行き先がシカゴとなったので「これはチャンス!」と思った次第。

 

今回の旅では、2日目からはライトの建築群を巡っていきます。

 

 

令和元年14発目、ANAファーストクラスで行く世界遺産。その4:シカゴ名物、タワーとピザ。

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夕方からはシカゴで一番高い「ウィリスタワー」の展望台へ。昔は「シアーズタワー」という名前でしたよね。一時はアメリカでも最大級の小売り事業者だった「シアーズ」の本社として建てられたものの、シアーズの経営不振で手放され、今の名前に変わったという経緯があります。ビル自体はシカゴの有名な建築事務所「スキッドモア・オーウィングズ・アンド・メリル」の手による、インターナショナルスタイルの傑作ともいえるスタイルです。

 

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ビルの1階はバリバリ工事中。展望台「SKYDECK」の入口にたどり着くのがちょっと難儀な感じになってました。

 

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どうも低層階を商業エリアにするための改装工事らしいです。展望台へはここから一旦地下2階まで降りてチケットを購入し、エレベーターで103階へ登る流れ。入場料は25ドルで、追加料金で優先的にエレベーターに乗れたりするファストパスもありましたが、この日はそんなに混んでおらず、特に優先してもらう必要性は感じませんでした。

 

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展望台にあがると、ちょうど日没くらいの時間帯。夕暮れの風景が綺麗です。

 

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シカゴの中心地のほうは高層ビルが並び、特に煌びやか。

 

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最近この手の展望台によくある「壁面から張り出した展望フロア」、ここにも勿論ありました。「ザ・レッジ」という名前まで付いてます。

 

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床面はもちろん前面ガラス張り。

 

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床面に枠のような部分は全くなくホントに全面がガラスなので、足を踏み入れるときは若干ビビりますよ(^^;)。

 

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すっかり日が沈むと、夜景はより綺麗に。

 

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展望フロアは窓ガラスのところの照明が落とされていて、ガラス越しの夜景も充分楽しめるようになっています。

 

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なお、こんなコーナーもあるよ。この台の上に乗って写真を撮ると、あたかもビル屋上からシカゴの風景をバックに撮影したみたいに見えますよ、ってコトらしい。

 

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夜景観賞のあとは夕食です。シカゴといえば名物はディープディッシュピザ。ホテルの近くにあり、口コミ評価も高そうだったのがココ「Lou Malnati's」でした。シカゴ周辺に50店舗以上もあるチェーン店らしいです。

 

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夜9時過ぎというのに店内は満席、ウェイティングも出る繁盛ぶり。ディープディッシュピザは焼き上がるまで時間がかかるので、テーブルが空く前に先にピザの注文はカウンターで済ませてしまうようになっています。

 

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20分ほど待ってテーブルに案内されました。ここでピザ以外のサイドメニューやドリンクの注文を聞かれます。

 

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シカゴの地ビール、グースアイランドをオーダーしました。グラスの水は無料で出てきます。

 

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ピザはお店の看板メニューっぽい「The Malnati Chicago Classic」をチョイス。サイズは「パーソナル」「スモール」「ミディアム」「ラージ」の4種類ありますが、一人なので「パーソナル」にしています。シカゴのディープディッシュピザは美味しくはあるんだけど、店によっては一番小さいサイズでも「こんなに喰えるかぁ!」みたいなボリュームだったりすることもあって、飽きちゃうってのがありがち。でもこちらのお店は「パーソナル」はホントに「お一人様サイズ」にちょうどいい感じでした。味の方もトマトソースがフレッシュな感じで、割とあっさりと食べ進められます。正直、今まで食べたディープディッシュピザの中でも相当に上位に入るかも。

 

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店員さんのサービスも明るくてフレンドリーでいい感じ。何かデザートでもあれば…と聞いてみたら「チョコレートチップピザがお勧めよ!小さいサイズもあるわよ!」とのことで追加でお願いしました。容器の底にはチョコチップクッキーが敷き詰められ、その上にバニラアイスとホイップクリームが乗っています。下のクッキーがちょっとディープディッシュピザのクラストっぽい感じで、確かに「ピザ」っぽいわ。いかにもアメリカンな豪快さでステキなデザートでした。

 

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そんなわけでホテルに帰還。今日はもう寝ます。














 

令和元年14発目、ANAファーストクラスで行く世界遺産。その3:シカゴといえば建築ですので。

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シカゴのダウンタウンには朝10時半には着いてしまいました。ホテルに荷物を預けて、まずは「シカゴ建築財団」へ向かいましたが、以前あったシカゴ美術館前からシカゴ川沿いのロケーションに移転していました。

 

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すごく綺麗なオフィスになっていました。ここではシカゴの建築を巡るウォーキングツアーなどを多数行っています。ちょうど、11時半スタートの「CHICAGO ARCHITECTURE: A WALK THROUGH TIME」に空きがあったので、その場で申込み。参加料は26ドル、90分のツアーです。

 

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説明を聞くためのイヤホンを装着したらツアー開始。まずはシカゴで高層建築が発展した理由の解説から始まります。19世紀半ばに五大湖から米国東部を結ぶ運河が開通したことから、シカゴは中西部と東部の物流の結節点として急速に発展しました。その後、鉄道の時代になっても水運中心のシステムに乗っかる形でネットワークが形成されたことから、シカゴの地位がますます高まる結果に。19世紀末には「世界で最も急速に拡大した都市」とまで言われるほどになります。その急速な発展のため、膨大なオフィスや住居のスペースが喫緊に求められたため、建築が高層化していったとのこと。また、シカゴのダウンタウンは三方を川や湖で囲まれた比較的狭いスペース。加えて、通信手段が限られていた時代にはビジネスでのやりとりは「直接会う」のが手っ取り早いので、中心地に集中して企業が集まってきた、という面もあるようです。加えて1871年のシカゴ大火が近代的な高層建築がどんどん生まれる大きな契機になりました。

 

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最初に訪れたのはページブラザーズビル。1872年と、シカゴ大火のすぐ後に建てられ、19世紀に建てられたビルで唯一現存しているもの。特徴は外壁の一部に「鉄」が使われていること。シカゴ大火の前では一般的な様式でしたが、実は「火事に弱い」という欠点がありました。鉄は融点が低いので、火事になると溶けてしまい、それが火災をより大きくしてしまったのです。そのため、これ以降は殆ど使われなくなりました。

 

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その向かい側に建つのがステート-レイクビル。ページブラザーズビルから30年以上経過した1919年完成ですが、かなり様式が近代化しているのが分かります。もともは劇場でしたが、今ではテレビ局などが入居しています。

 

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次は先ほどのビルから約10年後の1928年に完成したオールドディアボーンバンクビル。下層階は銀行らしい装飾が施されていますが、上層階はかなりシンプルになっています。今はヴァージンホテルになっています。

 

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次は1929年に完成したシカゴモータークラブビル。先ほどのビルから1年後ながら、アールデコ調の様式が取り入れられているのが大きな特徴です。現在ではホテル「ハンプトンイン」として使われています。

 

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こちらはホテルのロビー内部まで見学させてもらえました。アールデコ調の装飾が非常に美しいです。

 

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ここが「シカゴモータークラブ」として自動車オーナーのための施設だった頃の面影もよく残っており、これはロビー壁面に掲げられたアメリカの高速道路網地図です。

 

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このカーバイド&カーボンビルも1929年の完成で、アールデコ様式が取り入れられたもの。このあたりまでがシカゴ高層建築の最盛期で、この直後の世界大恐慌のあおりを受けて、第2次大戦後まで大きなビル建築プロジェクトは停滞します。

 

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シカゴ建築財団が入居するワンイリノイセンターはシカゴ近代高層建築の典型とも言えるもの。設計は世界3大建築家のひとり、ミースファンデルローエによるもので、インターナショナルスタイルのお手本みたいなお姿です。

 

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ウォーキングツアーの締めくくりは1989年完成のNBCタワー。アールデコのスタイルを現代風に再定義したようなデザインが特徴的で、スタイルの多様化が進む状況の好例とも言えます。

 

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ここからは「今のシカゴ」を象徴するようなビルも見ることができます。奥の波打ったような外観のビルはアクアタワー、コンドミニアムのビルです。一見風変わりなスタイルは、高層ビルに囲まれた中でもバルコニーからある程度の眺望が得られるように考えられたものだそうです。

 

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こちらも奇妙な外観ですが、2020年完成予定のビスタタワー。ホテルとコンドミニアムとなる予定です。

 

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なお、トリビューンタワーは新聞「シカゴ・トリビューン」を発行するトリビューンメディアが不動産会社に売却し、再開発が進行中でした。既存のタワー部分は残しながら隣接地に高層ビルを建て、コンドミニアムなどに転用される予定だそうです。

 

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シカゴ建築財団のオフィスにはギャラリーもあり、シカゴの建築の歴史などについて展示されています。入場料が12ドルかかるのですが、ウォーキングツアーなどの参加者は無料で入れます。

 

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シカゴのミニチュアモデルがなかなかの見応えでした。

 

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もう午後2時過ぎですが、ちょっとランチします。先ほど見学したページブラザーズビルの1階にあった「チックフィレイ」、チキンサンドで有名なファーストフードチェーンですが基本アメリカ国内にしかなく、最近やっとカナダに1号店を出したくらい。こちらに来ないと喰えないのよね。

 

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紙袋の底では牛が「EAT MORE CHIKIN」とか言ってるし。なお、フライドポテトがワッフルポテトだったりするし、肝心のチキンも胸肉ながらまぁまぁジューシーでお味は悪くないですよ。

 

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この辺でホテルに戻ってチェックイン。今日のお宿は「コングレスプラザホテル」です。1893年開業とシカゴでは老舗のホテルですが、「幽霊ホテル」なんて噂もあるとかないとか。

 

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フロントデスク。

 

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ロビーもちょっと豪華な感じです。

 

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全部で800室以上ある巨大ホテルなので廊下が長い…あと、やっぱり「古さ」は感じますね。

 

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とはいえゲストルームはリノベーションされたばかりなのか非常に綺麗で快適。1泊1万7千円くらいでしたが、ホテル代がバカ高くなってるアメリカの大都市としちゃ格安の部類かと思います。今日はちょっとここで一休みすることにします。

 

令和元年14発目、ANAファーストクラスで行く世界遺産。その2:いよいよ乗ったぞ、ファーストクラス。

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10時過ぎにはゲートへ。ちょうど搭乗が始まったくらいですが、なんかゲート前が若干ごちゃついてるような…。搭乗券を提示して、先に通して貰えましたけど。あと、米国行き名物、ランダム手荷物チェックに引っかかりました。利用クラスとか関係ないのねコレ。

 

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今日はココを左側に進みます。

 

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さぁやってきましたよ、これがANAファーストクラスの座席です。ちょうど長距離路線向けの新しいファーストクラス・ビジネスクラスの座席が発表になったばかりなので、このタイプの座席も数年で淘汰されるんでしょうが。

 

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これが座席に座ったところ。いやぁ広い。乗務員さんが早速挨拶に来られ「お着替えはどうされますか?」と。キャビンウェア(って言えば格好良いけど要はパジャマよね)が用意されているので着替えてね、という話です。ファーストクラスのセクションには8席に対して2カ所もトイレがあるのですが、そのうち1カ所は大きめのサイズになっており、そこへ順番に案内してくれました。

 

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ウェルカムドリンクは、ちゃんとグラスに入ったシャンパンが出てきます。

 

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さて離陸してベルトサインが消えたあたりで座席周りを点検。右手に座席コントロール用のタッチパネルがあります。

 

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エンターテイメントシステムのコントローラーも扉の中に。

 

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USBソケットと電源コンセントも。ただ、このコンセントが若干緩くて使いにくかった…。メンテとかイマイチなのかしら、Fなのに。

 

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ヘッドホンジャックは収納ボックスの中にあります。おそらく、使用していないときのヘッドホンをここに収納するような想定だと思うのですが…。

 

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そのヘッドホンはこんな立派なケースに納めされて用意されています。

 

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ソニーの高級そうなノイズキャンセリングヘッドホンです。立派ですが、そのかわり先ほどの収納スペースには全く収まりませんでした(^^;)。

 

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程なくしてお絞りが出てきまして…。

 

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立派なケースに収められたメニューが登場。

 

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中には食事とドリンク、それぞれのメニューブックが収められていました。

 

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まずは「ANAのF乗ったらコレ呑んどけ」的な「シャンパーニュクリュッグ グランド・キュヴェ」を戴きます。普通に買えば安くても1本2万円以上するようなスゴいヤツですよねコレ。

 

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アミューズは「黒胡麻ナッツスティック」「テフをまとったフォアグラボール」「鴨の生ハムとマッシュルームのマリネ タイム風味」「スモークトラウトのクレープ巻き」だそうです、メニューによると。この辺はおそらくビジネスクラスと同じじゃないかな。

 

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ドリンクメニューは日本酒のラインナップがなかなか壮絶。「新政 No.6 X-Type」とか置いてるじゃん…。これ、元値はともかく結構なレアもので、市場ではプレミア価格で出回ってることが多いくらいのシロモノです。これを機内で、ってスゴいよ。そりゃ戴くでしょ。

 

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そういうわけで、食事は和食でいくことにしました。先附は「蒸し鮑と松茸菊花浸し」。前菜として並ぶのは「鮎一干し焼き」「合鴨ロース煮」「笹舟盛り(炙り唐墨、公孫樹丸十、揚げむかご)」「梨、干瓢白掛け」「柿奉書巻き」「百合根枝豆茶巾」「蒟蒻辛煮」です。まぁお上品なお味、といったところ。お酒がすすむよ。

 

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鱧と松茸のお椀。前菜に添えられた紅葉など、秋の装いって雰囲気でいいなぁ。

 

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お造りはカツオのたたきが出てきました。先ほどから貴重な新政がどんどん継ぎ足される贅沢な状態が続いております。このあたりで「久保田 萬寿」にスイッチしました。実は他にも「七賢 純米大吟醸 大中屋」とかも用意されていたんで、これも試せばよかったかな…。

 

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お食事もそろそろシメでございます。メインは「マナガツオ西京焼き」。これに「里芋と穴子柔らか煮」、「北寄貝 赤辛子酢味噌掛け」が添えられます。ちょうどこの辺で気流の悪いエリアを通過したため、折角のお味噌汁が少し零れちゃった…。

 

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食後の甘味は苺寒天とアイス。いやぁ、結構ボリューミーでしたわ。

 

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食事の後はお休みのお時間。隣の座席が空いていたので「こちらにベッドを用意しますね」と2席使わせてもらう結果に。リビングと寝室が別とかスイートルームかよ。これ、単にシートをフラットにしただけではなく、しっかりマットレスが下にしかれてるんです。この一角全体がベッドスペースなので快適に休めました。最近はビジネスクラスもかなりレベルが上がってきてるけど、やっぱりスペース効率の問題で足下が狭かったりしちゃうし。

 

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途中、軽食としてラーメンを戴きました。「一風堂ラーメン 空の上のトンコツ”そらとん”」です。割とあっさり目で味はまずまずでした。

なお、ファーストクラス利用者には機内WIFIを100MBまで無料で使えるクーポンが配られます。ただ、通信速度はかなり遅く、メールチェックやテキスト中心でニュースを読むとか、その程度の利用がせいぜい、といった感じでした。

 

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到着前の食事も和食にしてみました。「秋刀魚塩麹漬けと黒はんぺん」をメインに、小鉢は「牛ばら肉の野菜煮浸し」。これに納豆や海苔などが添えられ「朝食でございます」といった佇まい。

 

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食後「何かデザートなどお持ちしましょうか?」とのことなのでアイスクリームをお願いしたら、こんな華やかなものが登場しちゃいました。さすがファーストクラス、アイスといえども豪華な感じで出てくるのか…。

 

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シカゴ・オヘア空港にはほぼ定刻に到着しました。入国審査は滞りなく通過でき、あっという間にバゲージクレームエリアへ。この便ではターンテーブルを2つ使用し、プライオリティ扱いと一般扱いで分けている様子。さすがファーストクラス、4つめで荷物が出てきちゃったよ。

 

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第5ターミナルの到着ロビーに出てきました。

 

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シカゴ・オヘア空港にはターミナル間を結ぶシャトルシステムがあるのですが、現在は改修工事で運休中。そのかわり巡回バスでの移動となります。

 

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第1ターミナル行きのシャトルバスに乗車しました。

 

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第1ターミナルから鉄道駅へ。シカゴ市内までは鉄道で向かうことにします。

 

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券売機の周りには「一体どのチケットを買えばいいの?」という説明が結構親切に掲示されています。空港からダウンタウンまでの片道運賃は5ドルですが、24時間有効でバスにも使える1日乗車券が10ドルなので、こちらを購入しました。ただ、何故かクレジットカードが使用できず…。

 

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そういうわけで、シカゴ市内へ向かうのでした。