へんな旅ばかりしています。

へんな旅をしているようなので、自分のための防備録的にやってみます。

令和元年4発目、海にのぞみはあるのか。その3:海に「のぞみ」を探しに来てみた。

さて、そろそろ熱海とお別れの時間です。

 

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こいつで出発。

 

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熱海港のターミナルは先ほどのロープウェイ乗り場の近く、というかロープウェイ乗り場が熱海港の近くといった方が正しいな。ここからは伊豆大島行きと初島行きが主に発着。かなり年季の入った、平屋の小規模なターミナルビルですが、初島行きは毎時1便程度あるので、規模にしては賑やかな感じです。

 

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ターミナル内、東海汽船のきっぷ売り場。6月は1日2便の大島行き高速船があるだけなので、初島行きの窓口に比べると長閑な雰囲気が漂います。

 

え?

 

「横浜に行く」とか言ってなかったか、って?

 

そうですよ。これから向かうんじゃないですか。

こいつを使って、ね。

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https://www.tokaikisen.co.jp/news/23346/

 

東海汽船は2019年に創立130周年を迎える(そんなに?)とのことで、色々と記念企画が出ているんですが、その中の一つがこの、”海路で行く!東京⇆熱海「海にもあるのぞみきっぷ」”。

 

熱海からジェットフォイルで大島乗り継ぎで東京まで。

控えめに言って、どうかししてるでしょ(褒めてます)。

 

しかも、片道なんと2,000円! 普通運賃は熱海~大島4,650円、大島~東京は7,300円なので(6月の普通運賃)、同じルートを普通に買ったら合計で11,950円もかかってしまいます。それが2,000円ってことは8割以上の大幅なディスカウントってことです。ヤバいでしょコレ。

 

こんなの行くしかないじゃん、と思ったのですが、実施期間は5月中旬から6月末まで、しかも6月最後の土日は対象外。また、利用可能なダイヤパターンを見ると、東京発は午前中の1便分のみで平日限定ですが、熱海発は午前発・午後発の2便分が毎日利用可能なので、週末のお出かけで使うとなれば上京するときに組み込むくらい、となるわけです。で、ちょうど日曜日に横浜での用事があったので、ここで使ってみようと思った次第。東京と横浜なら誤差の範囲だし。

 

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大島行きの出発は14:50、10分くらい前に搭乗開始となりました。乗船するのは「セブンアイランド愛」、調べたら1980年製造と、そろそろ40年が経過しようとしている相当なベテラン。ジェットフォイルはもともとボーイングが開発・製造していたものを、川崎重工がライセンスを取得。ただ、1995年を最後に製造されておらず、東海汽船も中古船を取得して伊豆大島航路に投入しています。この船も以前は関西~四国を運航していたものだそうです。川崎重工側もある程度の発注数がないと製造再開が難しいとのことで、現在ジェットフォイルを運航中の船会社が代替問題に悩んでおり、博多~釜山航路を運航するJR九州ジェットフォイルではなく高速トリマランの導入を決めましたが、東海汽船は東京都から離島交通向けの補助金も得られたことから、ジェットフォイル新造船を1隻発注しています。

 

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船内は2階建て。思ったよりお客さんは多い印象です。座席には番号がつけられ、全席指定です。シートベルトもついており、基本的には航行中には着用するよう案内されます。離水・着水時などは座席を離れたりお手洗いを使うことも制限されます。

 

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熱海港では3枚のチケットを渡されます。熱海→大島の搭乗券、大島→東京の搭乗券、そしてもう1枚「キャッシュバック用」のクーポン。熱海港の窓口では5,000円を支払う必要がありますが、指定通りのルートで東京港に到着してすぐに窓口にクーポンを持って行くと3,000円が払い戻される仕組みで、実質2,000円で乗れるという形です。

 

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熱海から大島までは45分。島が見えてきました。

 

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入港直前に、ちょうど出発するジェットフォイルとすれ違います。ちょうど離水したところみたいです。

 

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大島・岡田港のターミナル施設。津波避難所としても機能するものなので、こんなに立派な建物になっているようです。

 

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館内は吹き抜けで開放感があります。

 

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発着する船の便数は割と多いんですね。さっきすれ違ったのは久里浜経由で東京へ向かう「セブンアイランド友」だった様子。

 

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ターミナル前の風景はこんな感じ。

 

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さて、大島での滞在時間、というか乗り継ぎ時間は20分しかありませんので、暫くすると東京行きの乗船が始まってしまいました。観光地からの戻り便らしく、自転車などを抱えた旅客も目立ちます。

 

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先ほど熱海から乗ってきた「セブンアイランド愛」がそのまま東京行きになるんですね。もしかしたら、「のぞみきっぷ」で使えるパターンってのは「同じ船が東京~大島~熱海と運用される」ものに限っているのかもしれません。同じ船が使われるのなら「前便が遅れて乗り継ぎできない」ってことは絶対に起きないわけだし。

 

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大島から東京へは1時間45分の航海です。東京湾を奥に進んでいくと、なかなかの過密地帯になってきますので、大型のコンテナ船などの脇をジェットフォイルがすいすい抜いていく形になり、窓の外の風景がなかなか面白く感じられます。

 

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東京港には、手宇こくより5分ほど早く到着しました。

 

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東海汽船が5年ほど前に投入した新造船「橘丸」が停泊していました。

 

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この時間、開いている窓口はこちら。熱海港で渡されたチケットと引き替えに、現金で3,000円が戻されました。なお、他にも数名、同じルートを利用した方がいたようです。

 

このルート、熱海から大島経由の東京まで所要時間は2時間55分。鉄道の場合、熱海駅に「のぞみ」はありませんが、「こだま」でも東京まで40~50分と、3分の1の時間で行けてしまいます。在来線の各駅停車でも2時間ほどなので、実はこっちのほうが早いという…。ただ、熱海から東京までのJR運賃は1,940円なので、「高速船で2,000円」ってのはほぼ同額なんですね。まぁ万人向けではないですが、ワタシは「のぞみ」を見つけた気はしますよ、面白かったし。

 

なお、日曜は横浜での所用後、新横浜からフツーに新幹線で名古屋まで帰りました…。