素敵ランチのあとは、またクルマで1時間ほど、北のほうへ向かいます。
「ニッカウヰスキー 余市蒸溜所」に到着。自由見学とガイド付きの見学ツアーがありますが、時間が許せばガイド付きに参加するのが絶対にお勧めです。また余市まで高速道路が開通したこともあってか、駐車場はかなり混んでおり、入庫まで少し待たされました。時間には余裕を持つか、近隣の「道の駅」あたりに車を駐めてしまうのもアリかもしれません。まぁそれより、ココでの「お楽しみ」のために公共交通で来る!ってのが一番いいのかもしれないけどね。
見学ツアーは、まずはこの集合場所となっている待合室で簡単な概要説明から始まります。
最初に案内されるのは「乾燥棟」。大麦をピート(草炭)でいぶしながら乾燥させ、ピートの香りを大麦につける重要な作業を行うところですが、現在ではここでは行われておらず、作業済みのモルトを輸入しているんだそうです。
次は蒸留棟。
蒸留によってウイスキー原液を作るポットスチルが並びます。
今はウイスキーを作る作業が行われている時期なので、釜には火が入っています。ここ余市蒸留所では気温の安定する春(5~7月中旬頃)と秋(9月中旬から10月頃まで)にしかウイスキーを作っておらず、暑くて炉の温度のコントロールが難しい夏と温度が上がりにくい冬はお休み。つまり、実際に「ウイスキー作ってる」ところを見学したいのなら、春と秋に来るべき場所だったわけです、ここは。
ここで説明を受けている間に、ラッキーなことに炉に石炭をくべる作業風景を見ることができました。
蒸留作業の燃料として石炭を使っているのは、世界でもここだけになってしまったんだとか。温度の調整に熟練の技術が必要なので、なかなか難しい手法のようです。
その後は発酵棟へ進みます。
麦汁に酵母を加えて、このタンクの中で発酵させ、その液を先ほどのポットスチルで蒸留して…という流れでウイスキーが作られます。実はこの発酵までの作業工程はほぼビールと同じで、ここからの作業の違いでビールにもウイスキーにもなるんだって知ってました? そういうわけでウイスキーメーカーでビールも造っていたり、ビールメーカーでウイスキーも作っていたりする訳らしいです。そういえばニッカもアサヒのグループ会社だったわ。
発酵棟のそばには、ニッカの最初のオフィスの建物が保存されています。
ほうほう、「大日本果汁」という社名から「ニッカ」なのね。
以前は研究棟として使われていたという「リタハウス」。耐震性の問題があるため、今では内部見学などは不可となっています。一時はティールームとして解放されていたこともあったらしいですが。
旧竹鶴邸、創業者の竹鶴政孝の住居もここに移築されており、玄関部分までは内部見学をすることができます。このエントランス部分はリタ夫人の実家を模したもので、遠い日本で寂しい思いをしないように、という配慮からだったとか。まぁそんな「ええ話」があったりしたら朝の連ドラとかにしたくなっちゃうよねぇ。
ウイスキー原液を樽に詰めて熟成させるための貯蔵庫も見学できます。見学エリアにある樽はカラだそうですが、奥の方には実際に中身の入っている樽が貯蔵されています。ウイスキーはブレンドによって、銘柄毎に決められた「味」を作らなければいけないので、できるだけ多彩な風味・味のウイスキーを作ることが重要なため、さまざまな樽や貯蔵場所、熟成期間で変化を付けているそうです。ちなみに熟成期間は最短でも5年くらい、だそう。
ガイドツアーの最後はここ「ウイスキー博物館」、ウイスキーの歴史とニッカの歴史を観ることができます。なお、この中には有料での試飲コーナーもあり、割とレアな銘柄も用意されていたりします。
これがニッカで作られた最初のウイスキー。中身も当時のままで、栓がコルクなので蒸発して中身が減ってしまっています。ちなみにこの中身、「飲めなくはない」とのこと。ただし長年ライトに照らされて展示されるなど保存環境としては最悪なので、飲んでも美味しくないでしょうね、だそうです。
ツアーの後はお待ちかね、ウイスキー試飲タイム! 昔は「飲み放題」状態だったという話も聞きますが、今はかなり厳しく、試飲カードに名前などを記入してカウンターに持って行くと、カード1枚で1回の試飲ができ、ひとり1回限り、という形になっています。
こちらのカウンターで試飲のウイスキーを受け取ります。
今回の試飲ラインナップは創業当時から作られる「アップルワイン」、「スーパーニッカ」、そして「シングルモルト余市」。それぞれお勧めの飲み方も教えて貰えますし、水や氷、炭酸水なども用意されています。
…とはいえ、今回は自分は試飲できてません。クルマで来てるんで誰かが運転しないといけないわけで…。そういう意味では、ここは公共交通で来るべき場所でしょうね。アップルジュースと十六茶美味しかったよ。
試飲コーナーに隣接してショップもあり、ここ限定のウイスキーなども手に入ります。ただ、ウイスキー全般が品薄という話もあるように、銘柄としては限られているように感じるのも事実。なお、こちらでは1日に出せる本数などは決まっているそうで、それが売り切れればその日は販売終了、となってしまうらしいです。出される銘柄も日によって違うみたい。手に入りにくい銘柄を狙うなら早い時間での来場がいいのかも。