へんな旅ばかりしています。

へんな旅をしているようなので、自分のための防備録的にやってみます。

令和元年14発目、ANAファーストクラスで行く世界遺産。その3:シカゴといえば建築ですので。

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シカゴのダウンタウンには朝10時半には着いてしまいました。ホテルに荷物を預けて、まずは「シカゴ建築財団」へ向かいましたが、以前あったシカゴ美術館前からシカゴ川沿いのロケーションに移転していました。

 

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すごく綺麗なオフィスになっていました。ここではシカゴの建築を巡るウォーキングツアーなどを多数行っています。ちょうど、11時半スタートの「CHICAGO ARCHITECTURE: A WALK THROUGH TIME」に空きがあったので、その場で申込み。参加料は26ドル、90分のツアーです。

 

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説明を聞くためのイヤホンを装着したらツアー開始。まずはシカゴで高層建築が発展した理由の解説から始まります。19世紀半ばに五大湖から米国東部を結ぶ運河が開通したことから、シカゴは中西部と東部の物流の結節点として急速に発展しました。その後、鉄道の時代になっても水運中心のシステムに乗っかる形でネットワークが形成されたことから、シカゴの地位がますます高まる結果に。19世紀末には「世界で最も急速に拡大した都市」とまで言われるほどになります。その急速な発展のため、膨大なオフィスや住居のスペースが喫緊に求められたため、建築が高層化していったとのこと。また、シカゴのダウンタウンは三方を川や湖で囲まれた比較的狭いスペース。加えて、通信手段が限られていた時代にはビジネスでのやりとりは「直接会う」のが手っ取り早いので、中心地に集中して企業が集まってきた、という面もあるようです。加えて1871年のシカゴ大火が近代的な高層建築がどんどん生まれる大きな契機になりました。

 

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最初に訪れたのはページブラザーズビル。1872年と、シカゴ大火のすぐ後に建てられ、19世紀に建てられたビルで唯一現存しているもの。特徴は外壁の一部に「鉄」が使われていること。シカゴ大火の前では一般的な様式でしたが、実は「火事に弱い」という欠点がありました。鉄は融点が低いので、火事になると溶けてしまい、それが火災をより大きくしてしまったのです。そのため、これ以降は殆ど使われなくなりました。

 

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その向かい側に建つのがステート-レイクビル。ページブラザーズビルから30年以上経過した1919年完成ですが、かなり様式が近代化しているのが分かります。もともは劇場でしたが、今ではテレビ局などが入居しています。

 

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次は先ほどのビルから約10年後の1928年に完成したオールドディアボーンバンクビル。下層階は銀行らしい装飾が施されていますが、上層階はかなりシンプルになっています。今はヴァージンホテルになっています。

 

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次は1929年に完成したシカゴモータークラブビル。先ほどのビルから1年後ながら、アールデコ調の様式が取り入れられているのが大きな特徴です。現在ではホテル「ハンプトンイン」として使われています。

 

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こちらはホテルのロビー内部まで見学させてもらえました。アールデコ調の装飾が非常に美しいです。

 

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ここが「シカゴモータークラブ」として自動車オーナーのための施設だった頃の面影もよく残っており、これはロビー壁面に掲げられたアメリカの高速道路網地図です。

 

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このカーバイド&カーボンビルも1929年の完成で、アールデコ様式が取り入れられたもの。このあたりまでがシカゴ高層建築の最盛期で、この直後の世界大恐慌のあおりを受けて、第2次大戦後まで大きなビル建築プロジェクトは停滞します。

 

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シカゴ建築財団が入居するワンイリノイセンターはシカゴ近代高層建築の典型とも言えるもの。設計は世界3大建築家のひとり、ミースファンデルローエによるもので、インターナショナルスタイルのお手本みたいなお姿です。

 

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ウォーキングツアーの締めくくりは1989年完成のNBCタワー。アールデコのスタイルを現代風に再定義したようなデザインが特徴的で、スタイルの多様化が進む状況の好例とも言えます。

 

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ここからは「今のシカゴ」を象徴するようなビルも見ることができます。奥の波打ったような外観のビルはアクアタワー、コンドミニアムのビルです。一見風変わりなスタイルは、高層ビルに囲まれた中でもバルコニーからある程度の眺望が得られるように考えられたものだそうです。

 

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こちらも奇妙な外観ですが、2020年完成予定のビスタタワー。ホテルとコンドミニアムとなる予定です。

 

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なお、トリビューンタワーは新聞「シカゴ・トリビューン」を発行するトリビューンメディアが不動産会社に売却し、再開発が進行中でした。既存のタワー部分は残しながら隣接地に高層ビルを建て、コンドミニアムなどに転用される予定だそうです。

 

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シカゴ建築財団のオフィスにはギャラリーもあり、シカゴの建築の歴史などについて展示されています。入場料が12ドルかかるのですが、ウォーキングツアーなどの参加者は無料で入れます。

 

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シカゴのミニチュアモデルがなかなかの見応えでした。

 

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もう午後2時過ぎですが、ちょっとランチします。先ほど見学したページブラザーズビルの1階にあった「チックフィレイ」、チキンサンドで有名なファーストフードチェーンですが基本アメリカ国内にしかなく、最近やっとカナダに1号店を出したくらい。こちらに来ないと喰えないのよね。

 

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紙袋の底では牛が「EAT MORE CHIKIN」とか言ってるし。なお、フライドポテトがワッフルポテトだったりするし、肝心のチキンも胸肉ながらまぁまぁジューシーでお味は悪くないですよ。

 

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この辺でホテルに戻ってチェックイン。今日のお宿は「コングレスプラザホテル」です。1893年開業とシカゴでは老舗のホテルですが、「幽霊ホテル」なんて噂もあるとかないとか。

 

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フロントデスク。

 

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ロビーもちょっと豪華な感じです。

 

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全部で800室以上ある巨大ホテルなので廊下が長い…あと、やっぱり「古さ」は感じますね。

 

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とはいえゲストルームはリノベーションされたばかりなのか非常に綺麗で快適。1泊1万7千円くらいでしたが、ホテル代がバカ高くなってるアメリカの大都市としちゃ格安の部類かと思います。今日はちょっとここで一休みすることにします。