へんな旅ばかりしています。

へんな旅をしているようなので、自分のための防備録的にやってみます。

令和元年19発目、さよならSAAB。その4:もっと評価されていい「種子島宇宙センター」。

f:id:slips:20191224003555j:plain

せっかく種子島まで来たので、前から来たかったところを観光します。

 

f:id:slips:20191223234415j:plain

種子島空港からはレンタカーを利用します。「ニコニコレンタカー」で6時間借りて2420円也。利用便の到着に合わせてカウンターにスタッフが待機しており、手続きはスムースに進みました。クルマもターミナルビル脇にレンタカー専用の駐車スペースが用意されているので、そこからすぐ出発できます。

 

f:id:slips:20191223235014j:plain

空港から寄り道せずにやってきたのは「種子島宇宙センター」、約45分の道のり。ここは「宇宙科学技術館」で見学するならまず来るところなのですが、宇宙センター自体の敷地はかなり広大で、ここに着くかなり手前からエリア内に入る形になります。

 

f:id:slips:20191224000136j:plain

宇宙科学技術館の館内には展示施設のほか、売店とシアターがあります。一応「食堂」もあることになっていますが、ここから少し離れた事務本館にある職員用の食堂が一般に開放されているもので、残念ながら日曜は定休とのことでこの日は利用できませんでした。

 

f:id:slips:20191224000849j:plain

まずは展示施設の方から。

 

f:id:slips:20191224000926j:plain

それほど広いわけではありませんが、日本のロケットや人工衛星、宇宙開発に関する紹介が、実物や模型なども交えて紹介されています。

 

f:id:slips:20191224001129j:plain

ここ「種子島宇宙センター」では、無料の施設内見学ツアーが1日3回実施されています。これがかなりお勧めで、コレに参加しなければココに来る意味がない!と断言できるほどの内容でした。当日でも空きがあれば申込みできますが、電話で事前予約も可能。

 

f:id:slips:20191224001443j:plain

見学ツアー開始30分前からは、シアターで打ち上げ時の「音」を体験できるビデオ上映があります。ここで聴けるのは、実際の打ち上げ時に一般の人が近づける発射台から3km離れた場所からの音。人間の耳が聞き取れる限界は120デシベルだそうですが、ロケット打ち上げ時のロケットの中の音量は130デシベル越えなんだとか。なので、ロケットに搭載する人工衛星などは、こうした打ち上げ時に発生する爆音にも耐えられるように造る必要があるのだそうです。

 

f:id:slips:20191224002258j:plain

で、見学ツアーに出発。JAXAのマイクロバスで連れて行ってくれます。道中はJAXAの職員さんが説明してくれるのですが、この日の担当はいかにも真面目なリケジョさん、と言った感じの方。本当にロケットとか好きなんだなぁ、と思わせるお見事な解説でした。「ロケット打ち上げを生で見たら人生変わりますよ」とまで言われちゃ観たくなるでしょ。

 

f:id:slips:20191224002826j:plain

ツアーが最初に立ち寄ったのが「ロケットの丘」。ここからは現在使われている大型ロケットの発射施設が一望できます。

 

f:id:slips:20191224003105j:plain

ここから見える発射施設ですが、左側の白い建物が組立棟。ここで発射台に据え付けたロケットを組み立てて、発射台もろとも大きなトレーラーに乗せて右側の鉄塔のあたりにある射点まで移動させます。この「ロケットの丘」は一般人も立ち入れるエリアに位置しているので、ツアーに参加しなくても訪問は可能です。ただ、ロケットの発射をここから見学することはできません。ロケット発射時は発射台から半径3km以内は立入禁止となるのですが、ここはその立入禁止エリアに入っちゃうんです。

 

f:id:slips:20191224003736j:plain

次は「ロケットガレージ」、この中は見学ツアーに参加しないと入れません。

 

f:id:slips:20191224003814j:plain

中に入ると、こんな光景が。

 

f:id:slips:20191224003845j:plain

ここに保管されているのは「本物」のロケット、H-Ⅱロケットです。何が「本物」かといえば、これが実際に宇宙へ打ち上げられることを目的に製造されたロケットだから。この前のH-Ⅱロケットの打ち上げに2回連続で失敗したため、後継機として開発中だったH-ⅡAに開発リソースを集中させるため、この7号機の打ち上げは中止に。で、遺された機体がここに保管されたままになっている由。考えてみたら、基本的に「使い捨て」になるロケットって、打ち上げちゃったら新品同様のモノは戻ってこないわけで、実は相当にレアなものを見せられていることになるのかもしれません。打ち上げる前のロケットが展示されているのは、殆どが「レプリカ」なんですし。

 

f:id:slips:20191224004749j:plain

H-Ⅱロケットはこんな構造ですが、ここにはその大半が保管されています。

 

f:id:slips:20191224004729j:plain

これはロケットの第1段となる部分。オレンジ色の部分は塗装ではなく、断熱材を吹き付けたもの。ロケットの燃料は超低温な液体酸素や液体水素なので、これらを保管する燃料タンクはできるだけ外部の気温などに影響されないようにする必要があるので、断熱材を外側からロケットに吹き付けるわけです。この断熱材が時間が経つとオレンジ色になるのですが、日本のロケットが一部オレンジ色なのは「塗装してる」のではなく「オレンジ色になっちゃっただけ」だたっとは知らなかったわ。

 

f:id:slips:20191224005247j:plain

こちらは第2段の部分。その奥が衛星などロケットで運ぶ「荷物」を収めるフェアリングです。

 

f:id:slips:20191224005420j:plain

このフェアリング、大変軽く作られています。フェアリングの一部が宇宙科学技術館に展示されており、持ち上げてみることができますが、その見た目に反した軽さにはかなり驚きました。

 

f:id:slips:20191224005357j:plain

フェアリングの中には、こんな感じで衛星とかの「荷物」が設置されます。

 

f:id:slips:20191224005603j:plain

ちょっと面白かったのがこの「相乗り台」。JAXAが認めれば、空きスペースを使わせて貰えることもあるんだそうです。実際、個人が製作した小型の人工衛星などをココに乗せて打ち上げたことがあったとか。

 

f:id:slips:20191224005802j:plain

見学ツアーが最後に立ち寄るのが総合指令棟。

 

f:id:slips:20191224005924j:plain

ここではロケット打ち上げの管制センターを見学させて貰えます。意外と小さいな、という印象ですが、機器の高度化などにより、このくらいのスペースでも充分になった面はあるそうです。

 

f:id:slips:20191224010253j:plain

この種子島宇宙センター、昨年で開所から50年を迎えたんですね。これは最初に使われていた射場のあたりの風景だそうです。

 

f:id:slips:20191224010425j:plain

見学ツアーは管制センターまでで終了ですが、もう少し自分で見物していくことに。ここは先ほどのパネルにあった、初期の射場。今は使われておらず施設はかなり撤去されてしまっていますが、一部は遺されていて雰囲気は感じることができます。

 

f:id:slips:20191224010635j:plain

ここから現在の射場も見えます。リゾートのような海沿いの美しい風景の中にいきなり見える打ち上げ施設が、なんだかSF映画みたいです。「ガタカ」のロケってここでやったんだよ、とか言われてもうっかり信じそうだぞ。

 

f:id:slips:20191224010814j:plain

これは敷地内の南端にある「竹崎展望台」で、ロケット打ち上げ時のメディアの取材席やVIP用の見学席として使われています。周囲の景観に配慮して、山に埋め込むような形で作られました。

 

f:id:slips:20191224011016j:plain

この観覧席からの眺めはこんな感じ。

 

f:id:slips:20191224011117j:plain

かなり遠目ではありますが、確かに発射台はよく見える場所です。ニュースなどで流れる打ち上げの映像は殆どがここから撮影されているんだとか。