へんな旅ばかりしています。

へんな旅をしているようなので、自分のための防備録的にやってみます。

近場で県境越えまくりの旅、その2:日本唯一の県境「飛び地」、北山村で筏下り。

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2日目は日本唯一の県境を越えた飛び地の村、北山村へ向かいます。

 

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紀伊勝浦からは新宮へ戻り、国道168号へ。途中、国道169号へ入って北山村を目指しますが、それまで改良が進んだ快走路だったのが村に入った辺りから急に1.5車線程度の道幅にしまいます。

 

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とはいえ快調にドライブできる道のりが大半で、1時間程度で「道の駅おくとろ」に到着。今日のメインイベントはここで「北山川観光筏下り」に乗ること、です。

 

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ここの筏下りは単に「急流を下って楽しいね」というモノではありません。ここ北山村は江戸時代には紀州藩に属し、良質な杉の産地として知られていました。ここから杉を運び出す手段として、切り出した丸太を筏にして、下流の新宮まで川を下らせていたんだとか。その「筏流し」を観光用に再現したのがコレ。また、この話は「北山村が飛び地になった理由」にも深い関係があります。紀州藩でもあり、杉の出荷先として下流の新宮との繋がりが深かった北山村は、廃藩置県の際に新宮と同じ都道府県である和歌山県に属することを希望します。しかしながら周辺の村は奈良や三重に属することを選んだ結果、北山村は属する和歌山県と接しない村になってしまったワケです。この春先の「緊急事態宣言」の期間は「県境を越えた移動の自粛」が呼びかけられていましたが、北山村の皆さんは村を出るだけで県境を越えてしまうんですよね…。

 

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筏下りは基本、1日2便ありますが、この日は満席。もともと人気があって予約はなかなか取れないような状況でしたし、特にこの夏は「ソーシャルディスタンス」のため例年より定員を半分程度にしているようなので、余計に、でしょうね。

 

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まずは受付を済ませます。保険加入のために名簿を提出、注意事項などの説明がありました。また、ここでビニールシートも渡されました。筏の上で座るときに使うためのもの、とのこと。なお、更衣室もあるので、ここで「濡れてもいい服装」に着替えましょう。「結構濡れる」とのハナシだったので、上は速乾性のTシャツ、下は海パンにしてみました。

 

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出発時間になるとバスが到着。これに乗って筏の乗船地点まで移動です。

 

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10分ほどで到着。

 

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ここから急な階段を川面へ降りていくと…。

 

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これから乗る筏が待っていました。丸太を束ねた筏を7つ繋げた形で、全長はおよそ30メートルあります。

 

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では、筏に乗船。

 

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筏への乗船時間は1時間10分と割と長め。熱中症対策で水分補給を、というわけで筏の手すりにはペットボトルホルダーも用意されていて親切。

 

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いよいよ出発。

 

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早速、最初の急流越えがやってきます。急流は筏師さんの合図で立ち上がって通過。筏が波にもまれる際、膝上くらいまではガッツリ水に浸かる感じでした。いやぁ、面白いわコレ。

 

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で、その後暫くは静かなエリアに。水深が深いために水面には流れが殆どない区間です。この辺りでは筏が川下に向かうどころか、筏の乗客が「帆」のようになって、向かい風を受けて上流に戻ってしまうこともあるんだとか。この日も風が殆どなく、筏師のみなさんが櫓を漕いだりして筏を進めていきます。

 

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場所によっては木の棒を岩の割れ目に差し込んで梃子の原理でを使ったり。

 

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岩に設置されているロープをたぐり寄せたりしながら推進。この炎天下、大変だなぁ…。これも筏師のテクニック、だそう。その昔、北山村から新宮までは約3日かけて筏を届けており、夜は川沿いの宿に泊まっていました。で、新宮からは櫓だけを持って5日かけて歩いて帰ってきていたとのこと。普通に歩けば2日の距離の筈なんだけど(^^;)。筏師は収入も相当よかったらしく、新宮には筏師の遊び場がいろいろあったそうですけど…。筏師の稼ぎは通常の数倍あったそうですが、実は新宮で遊びに使っていた分があるので、もっと高収入だったかも、らしいです。

 

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この辺りではフツーにラフティングしている皆さんも結構います。あちらは自ら漕ぐ必要がありますが、こちらは「乗ってるだけ」なので楽ちん。

 

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暫く長閑な川下りだったのですが、また急流に。

 

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筏から立ち上がって通過。

 

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また暫く、ゆったりした流れのエリアです。

 

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川幅が狭くなっているところもあり、筏さばきは結構大変そうです。

 

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今度は大きめの急流エリア。

 

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岩場を抜けて進みます。

 

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また流れの緩やかな区間に入りましたが、ここで「筏の前方まで行ってみてもいいですよ」とのことで、筏の上を移動。

 

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また急流越え。

 

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このあたり、深い谷間ですが川辺が岩場になっています。その昔は海中にあったところが隆起した地形に特有のものなんだそうです。

 

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さて、この筏下りの旅もそろそろ終盤。北山川がほぼ180度カーブしている「難所」を通過するところです。

 

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この辺りも流れが急なところを通過していきます。

 

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筏には盛大に水がかかります。

 

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筏は大きくカーブして進んでいきます。

 

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無事、カーブを通過しました。筏の全長が30メートになのは、ここを通過できる長さの限界だから。

 

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最後に小さな急流を一つ越えて…。

 

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終点の船着き場に到着です。

 

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この筏、1台づつ分離されたうえでクレーンでつり上げ、トラックで出発地へと戻すんだとか。「北山川観光筏下り」は6600円もするのですが、これだけの人手で筏を操り、手間をかけて筏を運んだりしていることを考えれば適正価格、というかむしろ安いのでは? しかも「昔からの由緒あるもの」を楽しめるというのもポイント高いわけですし。

 

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ちょうど2隻めの筏もまもなく船着き場に着くところでした。

 

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船着き場から上がっていくと、帰りのバスが待機していました。これで出発地の「道の駅おくとろ」へ戻ります。

 

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10分ほどの乗車で帰着。筏下りツアーはここで解散です。

それにしてもコレ、想定以上に面白いアトラクションでした。かなりお勧め! ちゃんと「伝統文化」を体験できるようになってる、というのは他の「川下り」とは一線を画してるところはあるし、それだけでも価値があるんじゃないでしょうか。「濡れてもいい服装で」といいながら、そこまでずぶ濡れにはならないのですが、「濡れてもいいや」という服装の方が濡れるのを気にせず楽しめると思います。スマホとかは持って乗れますが、水濡れや落下の対策は万全に。

 

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道の駅には温泉もあります。

 

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そんなに濡れてませんが(^^;)、温泉で汗を流しました。

 

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レストランもあるのですが、メニューを見たらカレーやトンカツなど、なんだか「ココならでは」といったものが無い感じ。ランチは他に移動してみることにしました。