「雲仙九州ホテル」、食事も素晴らしかったんですよ。
食事はレストランで提供されます。その名も、このホテルの創業年を冠した「メインダイニンググルーム1917」。
レストランへの通路には昔の雲仙の観光ポスターや、往時のホテルの様子を示す写真などが飾られています。
このレストランは2000年に作られ、その内装は開業当時の写真をもとにしたもの。2018年の全館改修の時もこのレストランはそのまま残されました。
窓側のテーブルに案内されました。大きな窓の向こうにはライトアップされた雲仙地獄が広がります。地獄を眺めながらのディナーってことか。
このホテルは創業者が上海航路の洋食コックだったということもあり、伝統的に食事は洋食中心で提供されてきたんだとか。この日の夕食も基本は「洋食」ですが、和洋折衷のバラエティに富んだ品々が用意されています。
ドリンク類は意外とリーズナブル。グラスワインは700円程度ですが、3杯・4杯・5杯のセットがあって、かなりお値打ちな価格設定になっています。スパークリング+白+赤で2000円切るお値段って安いよね?
で、まずはスパークリングワインを。
お料理の一品目は「夏のとうもろこし冷製スープ仕立て」。真ん中に浮いているのは、なんと「とうもろこしのアイス」で、これに温かいコーンスープが注がれているという、なかなか面白い趣向です。温かいスープにアイスを溶かすと冷製スープみたいだし、アイスだけを掬って食べてもいいし、といろいろな食味が楽しめました。
二品目は「島原半島産夏野菜のグリルとサラダ」です。3つの「山」に分かれていますが、それぞれシーザードレッシング、ガーリックオイル、トリュフオイルで味付けされていて、違うテイストが楽しめるのがいいですね。
三品目はここでいきなり、どストレートに「和」のものが登場。「長崎近海でとれた本日のお刺身3種」、今日はマダコ、コチ、昆布締めの太刀魚でした。
四品目は「橘湾産 イサキの炙りとじゃがいものピューレ」です。イサキの上にのったソースは味噌やマヨネーズを使った和テイスト。じゃがいものピューレも魚の出汁などを使っているそうで、明らかに「洋」な見た目なのにどことなく「和」な感じもして、全体的に洋食でもあり和食でもあるような、なかなかユニークな一品でした。
このへんから白ワインにスイッチ。
五品目は「パンチェッタと島原半島産青紫蘇のパスタ ジェノヴェーゼ風」。パスタは島原素麺の製法で作ったものだそうです。ジェノヴェーゼソースは青紫蘇を使っていますが、しっかりイタリアンな風味になってます。
六品目が「長崎近海産 真鯛の蒸し焼き レモンバターソース添え」です。これまでちょっと捻った感じの品が多かったのですが、こちらは至ってシンプル。ヘンに細工せずに火が通された真鯛に、割とベーシックなソースが合わされており「さぁ素材で味わえ」というメッセージがビンビンくるような一品でした。
ここで赤ワイン。そうなると…。
お肉ですよね。七品目、「長崎和牛ランプ肉の炭火焼き 赤ワインのソース」が登場です。まぁお肉が柔らかくて旨味がすごいわ…。こちらもソースはオーソドックスな感じで、やっぱり「素材中心」ってことなのかもしれません。
最後にシメのご飯ものが出てきます。八品目、「小浜じゃこ俵めし出汁茶漬け」、一口サイズですがちょっと懐石っぽいですよね、こういうのがあると。出汁の風味がしっかりしていて、締めくくりにもちょうどいい感じでした。
熱い緑茶も一緒に供されました。
もちろんデザートもありますよ。「シェフ特製 雲仙茶と抹茶のアイス」です。
食後にコーヒーか紅茶を選んで、本日のディナーは終了です。たっぷり一時間半以上かけた、優雅なお食事タイムでした。全般的に味付けはハッキリ目、という印象かな。和テイストから洋テイスト、凝った品からシンプルな料理までとかなり変化に富んでいて食べ飽きず、美味しかったです。
で、朝食です。湯気をあげる地獄を一望しながら頂きます。和食と洋食が選べますが、洋食にしてみました。
まずは飲み物。オレンジジュース・りんごジュース・牛乳に加え紫の野菜ジュースというのがあったので、それを頼んでみることに。見た目「えっ?」という感じですが、飲んでみると葡萄ベースでした。そうか紫は葡萄の色なのね。
朝食もコース仕立てで一品づつ出てきます。最初は生野菜サラダ、ドレッシングは醤油ベースでした。
二品目はスープ、今日は南瓜スープでした。
三品目がエッグベネディクト。ホテルとかの「ちゃんとした」エッグベネディクトって旨いよね。そういう味でした。
四品目、ホテル特製ハッシュドビーフです。これも濃厚で旨かった…。ご飯だけでなくパンも付いてくるのがニクいよね。これで残ったソースを拭って食べるのがいいのよ。
五品目は「デザート」扱いでフレンチトーストです。これもまぁフワフワで旨いんですよね。コーヒーも一緒に頂きました。
この雲仙九州ホテル、クラシカルで雰囲気のあるダイニングだけでも優雅な気持ちになれるし、食事も間違いない感じ。いやぁ、いいホテルでした。