へんな旅ばかりしています。

へんな旅をしているようなので、自分のための防備録的にやってみます。

「Go To トラベル」キャンペーンの「地域共通クーポン」が面白いかも。

7月から始まった「Go To トラベル」キャンペーン。

 

「東京都を除外」などイレギュラーな形でのスタートとなりましたが、ちょいちょい恩恵に与らせていただいております。

 

このキャンペーン、「旅行代金が半額に!」「最大2万円まで割引!」とか騒がれましたが、ちょっと面倒で…。

 

・旅行代金から実質的に「お金」で補助されるのは総額から35%分まで。

 最大で1泊当たり14000円まで。

 

・旅行代金の15%相当は金券で付与。最大で1泊あたり6000円まで。

 ただし、こちらは準備ができるまでは付与ナシ。

 

つまり、

 

・一泊4万円の宿に泊まると、支払額は2万6千円。

 これに6千円の地域共通クーポンがついてくる。

 

…という仕組みになっています。個人的にはコレ、よくできてる仕組みだと思っています。これまでも震災などでの被災地での観光産業復興支援として「ふっこう割」なんてのが行われていますが、これまでは「旅行代金の割引」のみとなっていました。もちろん「割引」は旅行需要の喚起が期待できますが、日本では夕朝食付きのスタイルの旅館なども多いので、「イイ宿に泊まってお籠もり」とかだと、あんまり地域にはお金が落ちません。これを「現地でしか使えない金券をばらまいて強制的に地元でカネを使わせる」という仕組みを取り入れたのは、経済効果がより広く行き渡る可能性がわるわけですよ。

 

で、この地域共通クーポン、10月1日から配布開始が決定しました。既に予約済みの宿泊や旅行も、「旅行代金の15%相当分」を基本として貰えます。

 

そこでこの「地域共通クーポン」って何じゃ?と思って調べたら、なかなか面白かったので書いてみます。

 

なお、ここで記載した情報は事業者向けサイトに9/14時点で公開されている内容をもとにしています。

biz.goto.jata-net.or.jp

 

「地域共通クーポン」の事業者向けの説明書はこちら。

https://biz.goto.jata-net.or.jp/common/files/20200908_2008_gototravelcouponguideline.pdf

 

では興味深かったポイントを書き出してみます。

 

その1:デジタルクーポンとかあるのね。

 

国がやるこの手の事業は超アナログなのが定番。今回も「紙のクーポン配るんだろうなぁ」と思ったらなんとデジタルクーポンと併用です。

今回用意されるのは、

・1枚の額面が1000円の印刷された紙のクーポン

・1000円、2000円、5000円の3種の金額の電子クーポン

の2種類。紙のクーポンは旅行代理店の店頭での申込みで物理的に書類などが渡せるケースや、宿泊施設に直接申し込んで宿泊施設が配布するケースなどで貰えます。電子クーポンはウェブ販売やホテル予約サイトなどで発行する想定ですが、旅行会社などが宿泊施設と連携して、そちらで紙のクーポンを渡すというようなケースもあり得るようです。

また、電子クーポンはQRコード決済のシステムを使っているようで、発行や利用はウェブベースとなりアプリを新たに入れる必要はない模様。利用店舗は電子クーポンだと店頭にQRコードのポップを置くだけで精算されるようなので処理は楽そうです。紙のクーポンは半券を手元に置いて原券を事務局に郵送して…とかやらないとダメですけど。

 

その2:ちょっとソンしたり得したり。

 

地域共通クーポンは千円単位での発行。旅行代金の15%相当で、四捨五入して千円単位にして配布されます。例えば旅行代金1万円なら15%相当は1500円ですが、四捨五入して2000円分が付いてくるので、ちょっと得になります。逆に旅行代金が9800円だと15%相当は1470円で、四捨五入なので1000円分しか貰えません。ビミョーな価格差で1000円単位で損得が変わってくる可能性があるので、ちょっと注意した方がいいかも。

なお、地域共通クーポンはお釣りは貰えません。使う際にも「必ず1000円以上のモノの支払いに」とした方がいいですね。

 

その3:マジで旅先で使え!仕様。

 

地域共通クーポンですが、使えるのは旅行の目的地となる都道府県と、それに隣接する都道府県のみになっています。紙のクーポンの場合、利用可能な都道府県が券面に記載されます。「隣接」というのは県境が接しているだけでなく、道路や鉄道、航路などで繋がっているところも含み、例えば山口県と福岡県とか千葉県と神奈川県とか北海道と青森県とかも「アリ」判定です。

有効期限はピッタリ旅行中のみ。宿泊の場合はチェックイン日からチェックアウト日まで。日帰りならその日のみ。もう完全に「ほらほら旅行先にちゃんとカネ落とすんだよ!」という強いメッセージ性を感じます。

ただ、近場を狙って同じ都道府県内とかお隣の都道府県内とかが「行き先」であれば、当然ながら地元でも使えることになるんだよね…。近所のちょっといい温泉旅館に泊まりに行って、地域共通クーポンは今週分のお買い物、とかもできそうだな。

 

その4:だいたい何でも使える。

 

「旅先で使える金券」というと「まぁメシ喰ったりお土産買うくらいだろうな…」と思ったそこのアナタ。そんなシケたもんじゃないですよコレ。

事業者向けの説明資料には「地域共通クーポンが使えないモノ」のリストが出ています。これによるとダメなのは、

・税金とかの支払い

・公共料金の支払い

・宝くじとか公営ギャンブルとか

・金券や金融商品など換金性が高いもの

公序良俗に反するもの

…などが出ていますが、逆に言えば「リストにあたらなければ使ってイイ」ということ。そのほかの制限としては、

・宿泊代や宿泊を伴う旅行代金の支払いには使用不可

・クーポンが利用できるエリア内でサービスが完結しないとダメ、ただし本人が

 エリアから出ないならオッケーで宅配便に送料とかには使える

というのがあります。そう、これはつまり、旅行先での現地日帰りツアーの代金に充てたり、隣の都道府県に移動するバス代の支払いに使ったりするのもアリってことなんです。また「送料」に使えるのであれば、「北海道でカニ買って自宅に配送」ってのもまるごと使っていいワケです。

ただ気になるのは…事業者側がこのフレキシビリティに気がついてない可能性があるってこと。いくら「このサービスに使えます!」となっても、提供する側が「地域共通クーポンを使える事業者」として登録してくれないことには、旅行者としては使いようがないワケです。正直、コレってかなり大きなビジネスチャンスが広がってると思うので、事業者の皆さんドシドシ応募してね! 例えば温浴施設がホテルと提携して「ホテルからの送迎と温泉入浴で1000円ぽっきり」とか、出張者の多そうなビジネスホテルで「地元のバラマキ土産詰め合わせ+送料で2000円セット」とか作って売りさばくとか、いろいろできそうなんだけどなー。

 

その5:しばらく「ご飯」はおあずけ?

 

「地域共通クーポン」の利用店舗登録申請、既に始まっています。9/15までの申請分は制度開始の10/1から利用スタートとなるよう登録等が行われます。

ただ、ここで謎ルール発動。飲食店については、申請の条件として「Go To Eat」キャンペーンの参加登録が行われていることが求められているんです。

 

www.maff.go.jp

 

「Go To Eat」はこれも新型コロナへの経済対策として行われる事業で、農林水産省の管轄。「飲食店で使える食事券12500円分を1万円で販売」と「飲食店予約サイトで予約して食事するとポイント貰える」の2つのプログラムが予定されているのですが…。

この「Go To Eat」、食事券を発行する事業者やポイント付与となる飲食店予約サイト事業者が暫く前に決まったばかり。飲食店の参加登録は始まっておらず、愛媛県が食事券の使える飲食店募集を「9/23開始予定」としているのみで、あとはすべて「決まり次第公表」という状態です。そもそも食事券発行事業者も33府県で決まった状態で、「発行事業者が決まっていない」という都道府県も結構ある、というのが現状です。

これで「Go To Eat」に先に登録してね!って時系列おかしいだろ。

このような状況ですので、どうも10/1の地域共通クーポン利用開始時には「クーポンが使える飲食店」は殆どナシ、という可能性、かなり高いです。「よーし折角クーポン貰えちゃうから豪華ディナーだ!」と期待したそこのアナタ、残念でした。飲食店が利用可能店舗に加わるのは、もう少し先になりそうですね。

この謎ルール、推測でしかありませんが「飲食店の面倒まで国交省で見たくねぇ」みたいな話なのかもしれません。「Go To」キャンペーンについては「感染症対策をキチンとやること」を参加事業者に求めており、実際に宿泊施設は国交省主導で事務局が全施設対象に実地検査を行うことになりました。同じく飲食店にも「感染防止策」を求めることになるわけですが、実際に飲食店ってのはクラスタが発生したりと、なかなか厄介そうです。ここまで国交省メインの「Go To トラベル」キャンペーンで面倒を見るのは荷が重そうですし、万が一またクラスタが発生して「Go To トラベル」自体が世論やメディアの攻撃対象になるのもツラいものがありそう。それ以前に同じ飲食店で2つの省庁で別々にチェックするのも無駄じゃん。まぁそんなわけで、飲食店の方は農水省でよろしくね!みたいなハナシになったんじゃないでしょうか。

なお、この「飲食店の登録」、ひとつだけ例外があります。ホテルなど宿泊施設の中にある直営の飲食施設は「Go To eat」への登録がなくてもオッケーなんです。つまり、ホテルのレストランとかでは10/1からでも使用可能なお店が出てくるかもしれません。実際問題、最大で1泊6000円もクーポンが付いてきちゃうなら、1泊2食で宿を取るよりは夕食なしで予約して、クーポンで晩飯食うほうが効率的かもしれませんしね。