へんな旅ばかりしています。

へんな旅をしているようなので、自分のための防備録的にやってみます。

「HOKKAIDO LOVE!6日間周遊パス」の旅、その2:「UNWIND HOTEL & BAR OTARU」宿泊。

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今日はこれから小樽へ向かいます。

 

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白老からは特急「北斗」に乗車、長万部に向かいます。

 

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車両は261系1000番台。

 

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白老駅前にこんなオシャレなお店がありました。白老にある「まいこのマドレーヌ」というお店の2号店らしいです。

 

shiraoi-maiko.com

 

maikos-bake.com

 

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車内で軽くつまもうかな、と買ってみました。

 

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季節商品というコーンとベーコンのキッシュ。

 

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人気ナンバーワンという定番のエッグタルトです。1個300円くらいしますが、どちらも確かに「ちゃんと作ってます」感がすごくて旨かったです。

 

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長万部駅までは1時間半弱ほどで到着。乗り換えの際に駅で何か昼食を買おうかな、と思ったのですが、有名な駅弁であるはずの「かにめし」は駅での販売はなく、ここから歩いて10分ほどのドライブインでしか買えないんだそうです。それって「駅弁」なんでしょうか…。一応、駅構内の観光案内所にあるショップでも販売はしているのですが、お土産用の冷凍品のみなので、買ってもすぐに食べることはできません。結局、ここでめぼしい食べ物は手に入りませんでした。白老で買ったキッシュとタルトが実質的な今日のランチになっちゃったわ。

 

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長万部から小樽までの函館本線には、最近になって新しい車両であるH100系が投入され、旧来の国鉄時代から使われていたディーゼルカーが完全に置き換えられています。これから乗る倶知安行き普通列車は1両の単行、周遊パス効果もあるのか座席が殆ど埋まる程度の混み具合になっていました。

 

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のんびりと進み、1時間半強で倶知安に到着。

 

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ここで小樽行きに乗り換えます。同じくH100系ですが、今度は2両編成。

 

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1時間ちょっと乗って、午後4時過ぎに小樽に到着しました。

 

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本日のお宿は、小樽駅から歩いて10分弱の「UNWIND HOTEL & BAR OTARU」です。

このホテル、裏手で今でも営業している「越中屋旅館」が外国人向けの別館として1931年に「越中屋ホテル」としてオープンした建物が使われています。北海道では初の本格的な外国人向けホテルだったそうですが、なかなか紆余曲折を経ている建築だったりします。ホテルとしての営業は10年ほどで、第2次大戦中には将校クラブとして使われます。敗戦後はこの手のホテル「あるある」で、米軍に接収されてしまいます。その後、本来の所有者である越中屋旅館に返還されるのですが、その直後になんと相続税支払いの一部として国の所有となってしまうのでした。そこから民間に払い下げられ、企業の寮などとして使われていたそうです。その後、1993年に小樽を代表するシティホテルだった「小樽グランドホテル」の別館として使われることになり、実に50年上の刻を経て再び「ホテル」として歩むことになりました。ところが、小樽グランドホテルが経営難で2009年に閉館すると、こちらも同時に閉鎖が決まってしまったのです。それからは長らく閉鎖されたままの状況が続いていたそうですが、昨年になって新しい事業者が決まり、またホテルとしてオープンすることになりました。

 

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「クラシカルな雰囲気はそのままにコンテンポラリーな感覚で大胆にリニューアル」って感じなんだそうですが、玄関まわりの雰囲気はクラシックホテルそのもの。

 

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ロビーの一角にフロントデスクがあり、座ってチェックインします。フロント脇には上階の客室へと繋がる階段が。なお、建物奥の方に少し建て増しされたスペースがあって、そちらにエレベーターも設置されていますのでご安心を。

 

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こちらが客室。全般的には「クラシック」よりは「モダン」寄りの雰囲気。

 

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ただ、この天井の高さは「由緒あるクラシックホテル」でよく見かけるもの。

 

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室内にはソファや冷蔵庫など。テレビの画面サイズが妙に小さい気が…。

 

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お茶セットなどは充実している方かも。コーヒーもドリップ式のパックが用意されていました。

 

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バスルームも綺麗。

 

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このホテル、夕方にはバーで素敵なサービスがあります。ちょっと行ってみましょうか。今度は階段で降りてみます。

 

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エントランスのホールの一角、フロントデスクの対面にあたるところに…。

 

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こんなオシャレなバーがあるんです。こちらでは夕方5時から6時半まで、ワインの無料サービスが受けられます。

 

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サーブされるワインのラインナップは道産中心で、なかなか悪くない感じでした。「おたる醸造」の白のナイヤガラを勧められ頂きましたが、マスカットのフルーティな香りが立って、確かに美味しかったです。

 

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夕食は1階中央のダイニングで頂きます。

 

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テーブルには名札までセッティングされていました。

 

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1杯目のドリンクがついてるプランだったので、スパークリングワインにしました。

 

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1皿目のアミューズは帆立のゼリー寄せ。

 

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2皿目の前菜は平目のカルパッチョでした。ちょっと食べちゃってから撮影…。

 

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3皿目はじゃがいもの冷製スープ。

 

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4皿目に登場したのはトマトとベーコンのパスタでした。麺にはビーツを練り込んであります。

 

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このあたりでワインを。鶴沼ワイナリーの白です。

 

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5皿目の魚料理、黒ソイのポワレです。クリーム系のノイリーソース仕立てです。

 

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6皿目の肉料理、新得町関屋牧場のジャージー牛リブロースのステーキでした。

 

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最後にデザート。ここまでの料理が道産の素材にこだわっていたりとチカラ入っている感じなのに比べると、少しだけ「もう少し頑張りましょう」って気がしなくもない…。まぁ悪くはないんですけどね。

 

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コーヒーはガラスのカップで供されました。

 

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ダイニングの中はこんな感じ。「伝統あるホテル」というよりはもう少し肩肘張らないリラックスした感じで、料理もそこまで畏まってない、気軽に楽しめる印象でした。北海道の素材を多用していたりして、ココで食べる意味はあるかも。

 

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朝食もこちらのダイニングで。

 

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ドリンク類はセルフサービスです。アイスコーヒーとかも置いてるのはちょっと嬉しい。

 

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こちらのホテルの朝食は「モーニングハイティー」と称して、こんな仕立てで登場します。

 

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プレートの構成もハイティーに倣った感じで、一番下が温かい食べ物。コーンのオムレツにコーンスープ、フレンチドッグが盛られていました。

 

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2段目はサラダにサンドイッチ、チーズトースト。

 

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最上段は甘いもの?系。スコーンとヨーグルトです。添えられているのは苺ジャムとホイップクリーム。ここでクロテッドクリーム出せ!ってのは我が儘だよねぇ。なお、そのプレートもお替わりオッケーだそうです。

 

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ホテルをチェックアウトし、小樽駅へ戻ります。

 

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途中で「運河プラザ」に立ち寄り。ここには観光案内所やカフェ、お土産物店などが入っています。カフェの一角に小樽運河保存運動に関する資料が展示されていたのですが、あまり目立たないけどコレが非常に興味深いモノでした。当時の保存派は作ったポスターやビラなどもあるのですが、当時の状況に関する新聞記事を読むと、なんとあの西武セゾングループ総帥だった堤清二が大きく関係していたそうじゃないですか。これにはちょっと驚きました。1980年頃に小樽では運河を埋め立てて道路にする計画が立ち上がり、市民から反対運動が起こりつつも、ほぼ「埋め立て」で決まりつつありました。そんな中、小樽運河地区の再開発への参画最有力候補であった西武のトップである堤清二が「小樽運河を完全な形で残さないなら、西武として再開発に協力できない」なんてことを講演の中で突然表明します。これには埋め立て推進派も大慌てで、方向性が大きく転換するきっかけとなったとのこと。埋め立て反対派が西武セゾングループへの働きかけを行っていたこともあったようですが、堤清二は文化人「辻井喬」でもあり、いくら実業家としての顔も持っていたとしても「文化人たる辻井喬が文化の破壊者になるのか」という点で他の文化人から非難されたり、本人的にも葛藤があったのではないか、と言われています。結局、小樽運河は一部保存となりましたし、そもそも西武が再開発に参画することもありませんでした。でも、今の小樽が「北海道でトップクラスの観光地」として日本人のみならず世界中の観光客を集めている大きな要因は「運河」でしょうし、その動きが小樽を「救った」ということは言えそうです。