へんな旅ばかりしています。

へんな旅をしているようなので、自分のための防備録的にやってみます。

「昭和」な特急で行く「日光金谷ホテル」。

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ホテルニューグランド」のあとは「日光金谷ホテル」へ、クラシックホテルをハシゴします。

 

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横浜からみなとみらい線=>京急線=>都営浅草線と辿り、東墓浅草駅にやってきました。

 

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ここから東武日光行きの特急に乗車するのですが、今回利用するのは「きりふり281号」。土休日だけ運転される臨時特急なんですが、東武でも既にレアものになっている350系という車両が使われています。

 

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車内はこんな感じで、なんだか昭和の国鉄型急行や特急みたいな雰囲気です。それもそのはず、この車両はもともと急行用として製造されたのですが、使用列車が特急に格上げされたためにそのまま「特急用」となってしまったもの。東武の特急といえばバブル経済真っ盛りの1990年に登場したために妙にゴージャスな内装の「スペーシア」が看板ですが、アレに比べると落差が凄い…。窓は開かない固定窓ですが二重窓とかではないので曇りまくりですもん。そのため、「スペーシア」や新型車両「リバティ」だと土休日は東武日光まで1470円の特急料金がかかるところ、こちらだと1050円に設定されています。

 

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座席はこんな感じですが、見た目に反してリクライニングしません。何故かフットレストが付いていますが、座席間隔は狭めなのでそれほど意味があるような気がしない…。まぁ靴を脱いでくつろげるぞ、ってくらいかしら?

 

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およそ2時間で東武日光駅に到着。

 

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今日は生憎の雨模様。あまり観光って感じではないなぁ。

 

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とりあえずバスに乗って…。

 

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本日の宿泊先である「日光金谷ホテル」を目指しました。「神橋」のバス停を降りるとホテルへの入口はすぐですが、ホテル自体は丘の上にあるので、この坂を登るのが意外と大変です。

 

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とりあえずチェックインは済ませましたが、まだ午後1時過ぎなので部屋には入れません。

 

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そういうわけでランチでも頂こうかと。予約は「Yahoo!トラベル」経由だったので、地域共通クーポンは電子版が付与されます。確認したところ、「午後3時から利用可能」のはずのクーポンが午後1時の段階で既に使えるようになっていたんですよね。それなら、使っちゃわないとソンだなぁ、と。時間が早くから使えたのは謎だけど、旅行初日の昼飯くらいには使いたいってニーズはありそうだから「午後3時以降」ってのが遅すぎるんじゃないかと思うぞ。

 

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ダイニングは混み合っており、何組か待ちが出ていました。順番待ちのお客の待機場所として昔のダイニングルームが開放されていました。

 

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メインダイニングの前、ロビーの吹き抜けに面したラウンジも使えます。

 

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15分ほどの待ち時間でテーブルに案内されました。

 

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ここはホテル名物の一つ「百年ライスカレー」一択でしょう。本来はメインダイニングではなく1階のクラフトラウンジで供されるメニューですが、クラフトラウンジが休業中のため、こちらでも食べることができます。大正時代のレシピを再現したものとのことですが、確かにその味わいは独特で、「カレー」というよりは「カレー風味のシチュー」という印象。お子様でも安心なマイルドさなんですよ。でもやっぱり、しっかり「カレー」なんだよなぁ。これはこれで旨いです。

 

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敷地の一角には「金谷ホテルギャラリー」があります。

 

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ここは金谷ホテルの簡単な史料館のような感じになっています。

 

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加えて日光金谷ホテルよりも1km以上離れた場所に「金谷ホテル歴史館」なんてのもあります。

 

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ここには「日光金谷ホテル」の前身となった「金谷カテッジイン」として使われていた屋敷が、当時ほぼそのままの姿で保存されています。

 

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ヘボン博士がこの地を訪れた際に、東照宮雅楽師だった金谷善一郎がこの自宅を宿として招いたことが「金谷ホテル」創業のきっかけだったそうな。で誰だよそのヘボン博士って?って実は「ヘボン式ローマ字」を作った人であると同時に明治学院大学の創設者でもあるジェームス・カーティス・ヘボン。この方が「これから日光には外国人が一杯来ると思うから宿とかやっちゃえば?」みたいなコト言ったらしいんですよ。ローマ字残すわ大学作るわ老舗ホテル創業に関わるは、凄いなヘボンさん。

また、ココに泊まった有名人としてはイザベラ・バードもいます。誰それ?って感じですが、イギリスの女性旅行家で、1878年に日本を旅行し紀行を出したことで知られています。1800年代で女性が海外旅行ってだけで相当凄かったと思うのですが、イギリス人から見たらほぼ未開の地だったであろう日本を旅行したってのももっと凄い。ここ金谷カテッジインでの滞在は結構ポジティブな体験として書かれているようです。

 

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その近くにあった、日光田母沢御用邸記念公園にも行ってみました。大正天皇が皇太子だった1899年に完成し、大正天皇の夏の静養地として使われていたそうですが、第二次大戦後の1947年に日本各地に数多くあった御用邸と一緒に廃止となり、今では栃木県が取得し公園として公開されています。

 

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軽い気持ちで来てみたものの、想像以上に巨大かつ豪華で、ちょっと驚きました。そりゃ御用邸だもんな…。廃止された御用邸の中でここまでちゃんと残っているところは珍しいようです。これはちょっと一見の価値ありな施設ですよ。

 

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御用邸にはお庭もあるのですが、所々に防空壕の入口が。第2次大戦中、今の上皇疎開先がここ田茂沢だったため、このような設備が作られたようです。

 

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雨だったけど「観光」っぽいことできたなぁ、と思いつつホテルへ帰還。

 

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お部屋はツインルーム。もともとが日光を訪問する外国人向けということもあるのか、「和」テイスト強めの雰囲気です。

 

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窓側には応接セット、ちょっと旅館っぽい。

 

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ちゃんとしたライティングデスクもあります。

 

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窓にはカーテンの替わりに障子がありますが…。

 

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厚手のロールスクリーンもあるので遮光性はバッチリです。

 

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ルームウェアは浴衣が用意されていました。

 

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バスルームはクラシックな感じですが、水回りは設備も更新されて綺麗です。

 

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バスアメニティはこんな感じ。

 

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夕食はメインダイニングで頂きます。ちょっと寺院みたいな内装。

 

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綺麗にセッティングされたテーブルに案内されました。

 

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夕食はフルコースか、虹鱒のソテーコースを選べます。「金谷風」の名が付いているだけあって、虹鱒の方が名物料理。当然こっちでしょ。

 

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メインが魚なので白ワインで通します。1杯目は金谷ホテルオリジナルラベルのハウスワイン、2杯目は栃木の農民ワインがあったので、そちらを選びました。

 

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オードブルは「日光湯葉と海老のサラダ仕立て」。ちょっと「洋」な感じで食べる湯葉ってのも新鮮です。

 

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スープは「オニオングラタンスープ」、丁寧にしっかり作ってる感じの伝わる、味わいの濃いスープでした。コレ、結構作るの手間かかるんだよねぇ。

 

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メインの「虹鱒のソテー金谷風」です。ソースは醤油ベースの味わいで、レードルに別添えで追加分も用意されました。看板メニューだけあって美味。まるのまま「魚」で出てくるんで、食べるのはちょっと大変ですけどね。

 

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メインにはサラダも添えられました。

 

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最後にデザートとコーヒー。

 

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メインダイニングはエリアによって趣が違っており、入口側のセクションはちょっと洋館風なんですね。

 

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夕食のあとは館内を見て廻ります。この「日光金谷ホテル」の魅力の一つがこの摩訶不思議な建物でしょう。メインダイニングの前の階段なんて、和なんだか洋なんだか中華なんだかよく解らない感じで、しかも「融合してる」というよりは「継ぎ足してる」感があります。

 

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フロント脇の階段前のスペースも寺院か、って感じ。まぁ東照宮イメージだと、こんな風になるのかもね。

 

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1階から2階へ向かう階段も石積みの向こうに赤い欄干って…。

 

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フロントデスクのあるロビーは吹き抜け。

 

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フロントデスクのあるロビーの一角にはショップもあります。

 

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回転扉の上の装飾も凝っていて、これも東照宮の門とかにもありそうな雰囲気です。

 

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ロビーの奥にはソファなどが並びます。時節柄ソーシャルディスタンスが大事ですが、ソファのクッションを間引きして確保するって荒技を披露していました。

 

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ビリヤード台もありますが、新型コロナ感染予防の観点から使用中止中でした。とにかくこの独特な「様式の継ぎ接ぎ感」の強い雰囲気は、他のクラシックホテルとは一線を画しているように思われました。

 

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翌朝は前日の雨から一転して快晴。窓からの景色も最高です。

 

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あらためて外観を眺めにお散歩。

 

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朝食もメインダイニングで饗されます。結局「朝」「昼」「晩」と三食ここで頂いてしまったな。

 

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オレンジジュースとコーヒーからスタート。

 

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朝食はシンプルで、卵料理がメイン。こういうとき、やっぱりオムレツ頼んじゃうんだよなぁ。

 

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パンもベーカリー部門が人気なだけあって旨かったです。

 

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バルコニー側の席も気持ちよさそうでした。

 

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もうちょっとのんびりしたいところですが、9時前にチェックアウト。クラシックホテルが「歴史」を感じさせるのは勿論なんですが、この日光金谷ホテルは「歴史を刻んできた」感じを強く受けたのが印象的でした。