へんな旅ばかりしています。

へんな旅をしているようなので、自分のための防備録的にやってみます。

庄内の旨いモノ探し、その4:伝説?のレストラン「ル・ポットフー」と新・のってたのしい列車「海里」乗車。

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レンタカーを返して鶴岡駅へ。

 

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特急「いなほ」でもう少し北上します。

 

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「いなほ3号」の終点、酒田で下車し、駅前に最近オープンしたばかりの再開発ビル「光の湊」へ。

 

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今回の旅の最大の目的であるレストラン「ル・ポットフー」、ついにやってきました。

 

このレストランに興味を持ったのは、一冊の本を読んだのかきっかけです。

 

bookclub.kodansha.co.jp

 

その昔、酒田には「グリーンハウス」という映画館がありました。美しく豪華でサービスもよく、上映される映画のチョイスもセンスがいい上に、当時は大都市でもなかなか回してもらえなかった最新の洋画のフィルムがいち早く入ってくる…。映画評論家の淀川長治に「世界一の映画館」言わしめるほど、高い評価を得ていたんだそうです。そんな映画館を作り上げたのが佐藤久一、酒田の地酒「初孫」の蔵本の長男。そもそも「初孫」という酒の名前も、久一が生まれた嬉しさのあまり当時の当主がコレに変えた…というような由来だとか。久一が映画館の次に興味を持って手がけたのがフレンチレストラン。まだ大都市にもちゃんとしたフレンチを出すような店がそう多くない時代、庄内の地元の素材を生かして日本人に会うフレンチを…と考えた集大成のようなレストランがこの「ル・ポットフー」。これも「酒田にこんな店があるのか!」と開高健など食通で知られる著名人に賞賛されるお店となりました。で、これで終われば「イイハナシダナー」で終われるのですが、1976年に酒田の市街地を22.5ヘクタールも焼き尽くした「酒田大火」が発生します。この火元が「グリーンハウス」だったのです。既にこの時点では久一は「グリーンハウス」の経営には関与していなかったのですが、この大火がなんとなく彼の名前を「酒田の黒歴史」のようにしてしまった面があったようです。とまぁ、こんなドラマのあるレストラン、興味を持つに決まってるじゃないですか! しかもその料理も素晴らしいときたら、ねぇ。

 

なお、この「ル・ポットフー」、再開発ビルのオープンと同時に移転しています。その前は「ホテルイン酒田」、昔は東急インだったようですが、その中にお店がありました。そちらも内装など風情があったようで、本当は移転前に行きたかったんですが、昨年春の緊急事態宣言下で一旦休業に。加えて、入居しているホテルが山形県の新型コロナ感染者の療養施設として借り上げられたことから、レストランもそのまま「移転まで休業」ということになってしまったのでした。

 

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今日は初訪問なので、こちらのスペシャリテを集めた、ランチでは一番高額なフルコースで予約。

 

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テーブルも美しくセッティングされています。

 

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フレンチなのでワインでも戴くのがセオリーではあるのですが、こちら限定の「初孫 大吟醸 秘蔵初孫」をオーダー。なんせ「ル・ポットフー」で提供するために醸したお酒ですからね。しっかり日本酒なんですが、白ワインのようなキレと赤ワインのようなどっしり感も感じる、なかなかユニークな味わい。

 

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一皿目のオードブルは鮃のサラダ仕立て。

 

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2皿目がこちらのスペシャリテの一つ、ガサエビの濃厚クリームスープです。一口含むと「えびー!」と口腔内で爆発するような凄いエビ感。

 

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3皿目の魚料理はマトウダイの白ワイン蒸し。

 

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4皿目は肉料理、これもこちらのスペシャリテ、7時間煮込んだ県産牛の赤ワイン煮です。お肉がホロホロでお味も濃厚。

 

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デザートはクレームブリュレ、これもこのお店の名物料理の一つです。

 

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最後にコーヒー。確かに評判になるのは良くわかるクオリティでした。今回はお値段の高い方のコースを選んだのでお値打ち感はそこそこ(でも大都市圏で同じモノ食べたらもっとするだろうね)でしたが、ランチコースのボリュームゾーンは2000円台といった感じで、本来はもっとお手頃です。ちょうどこのときも寒鱈の旬ということで寒鱈づくしのスペシャルランチコースが出ていましたが、これも3000円しない程度のお値段でした。また、土曜のランチタイムということもあって店内は満席の盛況でしたが、殆どが地元の方の様子。こんな素敵なフレンチレストランが根付いてる地域って、なんか羨ましいなぁ…。

 

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ランチのあと1時間ちょっと空きができましたが、酒田は中心地が駅から遠く、そこまで行くような余裕はなさそう。そこで、比較的駅近の本間美術館に行ってみました。

 

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こちらは庭園も有名。雪景色も悪くないですね。

 

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酒田駅に戻ってきました。

 

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ここからは観光列車「海里」新潟行きに乗車します。2019年の秋から運行開始した、比較的新しい列車です。羽越本線には以前「きらきらうえつ」という観光列車があったのですが、昔の特急電車である485系の改造車。それを置き換える形で登場しました。

 

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4両編成ですが、通常の座席車は酒田寄りの1号車のみ。30席しかないので、なかなか予約が取れない状況が続いていましたが、さすがにご時世がご時世なので空きはかなり出ていました。

 

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運転席の後ろには展望スペースがあります。この辺はJR東日本のハイブリッドタイプ車両HB-E300系ではよくあるレイアウトですね。

 

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酒田駅を定刻16時に発車。車窓からは暫くのあいだ、鳥海山が眺められました。

 

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鶴岡で10分ほど停車。

 

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新潟寄りの4号車は旅行商品専用での販売。利用者以外の立入はNGなので、窓から中を窺ってみます。こちらは食事付きのパックとして売られています。

 

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2号車も「座席」として指定券が販売されるゾーンです。

 

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ただし半個室のコンパートメントなのでグループ向け。一応、1名単位でも指定券は買えますが、そのときは相席覚悟となります。向かい合わせの席のテーブル上にパーティションが追加されているのが「いまどき」かも。

 

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3号車はフリースペースと売店。本来であればイベントなどが行われたりするんでしょうけどね…。

 

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カウンターでコーヒー買って、席でのんびり頂きました。

 

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天気が良ければ日本海に沈む夕陽が見えるようなスケジュールで運行しているのですが、今日は雲がかかっていて無理そう。

 

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およそ2時間半で新潟駅に到着。

 

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今日は新潟で一泊です。