高知の「雲の上のホテル」に行ってきました。
このホテルがオープンしたのは1994年、設計は隈研吾。国立競技場など「木」を使うのが特徴の一つともいえるのですが、「雲の上のホテル」はその原点のような存在とされています。昨年末、老朽化などを理由として建て替えが決まり、今年9月で営業を終了することが発表されました。新しいホテルも同じく隈研吾の設計となるようですが、今のうちに泊まりに行ってみることにしました。
ただ、ちょっと気になる点も。
「楽天トラベル」での評価が2.93点。正直、あんまり見ない低評価です。何が起きてるんだ。
ただ、「じゃらん」では3.7点と「まずまず」な感じ。この辺の「謎」も泊まれば解るかしら。
名古屋からは飛行機で移動。セントレアからの出発です。
スカイデッキに出てみたら国際線の機材がこんなに! 旅客便としては「運休」扱いでも、貨物輸送のために実際は飛んでるという便も結構あるらしい。
保安検査を抜けてゲートへ。既に朝の出発便のピークは過ぎていますが、まぁまぁお客さんが多いような気がします。
今日はこれから松山までのフライトです。「雲の上のホテル」があるのは高知県、檮原町というところになります。高知県と愛媛県の県境にあたるところなんですが、とにかく行きにくい…。公共交通は高知の須崎からバスがあるのですが、本数は1日7便と決して多くなく、「地方の公共交通あるある」で須崎駅発着のJRのスケジュールとバスのスケジュールが嫌がらせレベルで連動していません。高知から須崎への各駅停車の須崎駅到着が15:32なのに、檮原行きのバスの須崎駅発車時間が15:32ってどういうこと? その一本前の特急に乗ると須崎駅で1時間以上待たされるのですが、どういうコンセプトでこんなことになってるのか…。高知空港からレンタカーで行くと、移動距離はおよそ100kmほどになりますが、高知行きは名古屋だと小牧からの就航になります。で、意外な盲点だったのが松山空港からのアプローチ。実はこちらの方が80kmちょっとと、実は近かったりするんですよね。暫く使い道のなさそうなANAのマイルも消化できるし…と、松山空港からレンタカー利用、という手段を選びました。
松山行きのANA3163便はアイベックスエアラインズとのコードシェア便です。セントレアのANA便も傘下の新興キャリア運航に移管されるのが増えたなぁ、という印象。
機材はCRJ700。カナダのボンバルディアの飛行機、なんですが、昨年ボンバルディア社はCRJの事業を三菱重工に売却しました。そのため、最近「Flightradaer24」でフライト検索すると機材名に「Mitsubishi CRJ-700」とか表示されるようになったりしています。
瀬戸内海を眺めながら約1時間のフライトで松山空港に到着しました。
着いた時間はちょうどお昼時。先に昼食にしてしまおうとターミナルビル1階の「マドンナ亭」へ。
お店の名前を冠した「マドンナ亭うどん」を選択。店の名前を託されるくらいならイチオシな筈です。
…と思ったら「おすすめメニュー」には入ってないじゃん。まぁ愛媛だしじゃこ天とかに行きがちだよね。
空港からはレンタカーを予約済みです。到着ロビーにレンタカー各社のカウンターがありますが、常時係員がいるわけではないようで、デスク上の電話で呼び出して迎えに来て貰うようになっていました。
すぐに送迎車が来て、オフィスまで連れて行ってくれました。手続きを済ませて出発。
松山空港は市街地にも近く、空港周辺の道路は比較的交通量も多くて抜けるのに時間がかかりましたが、郊外に出れば流れもスムースで快適なドライブとなりました。国道440号を南下していきますが、四国にしては(失礼!)ほぼ全線で2車線が確保されていて「酷道」な部分は殆どありません。ちょっとだけこんな感じで1.5車線みたいな区間もありましたけど。
県境を越えて高知県に入ると檮原町です。四万十川あたりでよく見かける沈下橋がここにもありました。
ちょっとスケールは小さめですが、雰囲気は悪くないです。今でも集落から国道への歩道として活用されているそう。
のんびり流して2時間半ほどで、やってきました「雲の上のホテル」。
屋根は飛行機の翼をイメージしたデザインだそうですが、このアングルだとそれがよく解ります。
早速チェックイン。フロントはレストランとエリアとしては一体となっています。
客室はこちらの棟になります。
ではお部屋へ。
お部屋は割と普通な感じ。ベッドがなぜか3台も入っているので、ちょっと手狭な感じはあるかもな…。他の洋室も基本的にベッド3台になっているようです。なお最近のホテルには珍しく、部屋にはWIFIの用意はナシ。フロント・レストランのエリアのみで使用可能でした。
部屋の片隅にはデスクが。テレビや冷蔵庫、金庫もここにあります。部屋の大きさにしてはテレビが小さめかな?
お茶セットは緑茶が。高知っぽくお茶菓子としてミレービスケットが用意されているのが面白いところ。
洗面所は金属部分の使い方なんかに若干バブル期の匂いを感じなくもありません。まぁ隈研吾って、この前は「バブル期建築の総決算」みたいなマツダのM2ビル手がけてたりするんだよね(まぁアレも決して本人の意向が反映された結果でもなかったらしいですけど)。
室内にはバスルームも設置。
トイレもセパレートで設置されていました。ここにタオルが1枚備え付けてあるのが意外とポイント高いかも。
このホテルに隣接する形で「隈研吾の小さなミュージアム」も設置されています。
ミュージアムの開館時間は朝10時から午後5時まで、入館料は200円ですが、宿泊者は無料で観覧できます。また開館時間外でも、VTR等の上映はありませんが見学可能になっていました。
ここ檮原町には、隈研吾設計の建築がなんと6軒も建っています。このミュージアムはその6軒の隈研吾作品に関する展示を見ることができます。「雲の上のホテル」を手がけた頃、関係者に設計案を説明している写真とかもありましたが「青年・隈研吾」って感じで映ってました。
この「雲の上のホテル」に隣接し、これも隈研吾設計の「雲の上のギャラリー」があります。先ほどの「隈研吾の小さなミュージアム」もこのギャラリーの一部。
マッチ棒を組み合わせたような特徴的な外観ですが、その中はホテル宿泊者が温泉へ行くための通路、として利用されていたりします。
ホテルに隣接して温泉施設「雲の上の温泉」があるのですが、宿泊者はいつでも無料で入浴できるんです。ホテルから温泉への移動に、先ほどの通路を通って行くんですね。なお、この温泉の建物は隈研吾じゃありません。
地上まではエレベーターで。部屋の鍵にはICチップもついており、これをかざすとエレベーターが動くしくみ。
温泉の正面玄関とは別に、エレベーターそばに宿泊者用の出入り口が用意されています。
フロントで部屋の鍵を出すと、脱衣場のロッカーを交換で渡してくれます。バスタオルとハンドタオルもここで貸してくれるので、手ぶらで来れるのが有り難いです。本来は外来入浴がメインの施設なので内湯も広く、露天風呂も自然の中で開放感があって気持ちいい環境でした。
浴室のそばには休憩スペースも。この先には温水プールもあり、これも宿泊者なら追加料金なしで利用可能のようです。
夕食はレストランで。ディナーについては宿泊者専用での営業体制のようでした。
今日のメニューはこんな感じ。和食の会席です。
食事のお供は高知の地酒「司牡丹」をチョイス。
まずは前菜とお造り。
続いて鮎の塩焼き。アタマからバリバリ戴きました。
炊き合わせ。
続いて登場したのは鰹のたたき。お造りとは別枠で出てくるのね。
河豚のからあげは揚げ立てで提供されました。
肉料理は四万十ポークの陶板焼き。
このへんでご飯と碗を持ってきて貰いました。碗ものは鯛のすまし汁、いい感じでダシが出てました。
最後にデザートで〆です。このホテルはスペシャリテとしてチーズケーキが有名らしいのですが、ソレはデフォルトでは出てこないみたいです。別注品のメニューには載ってましたので、在庫があれば追加でのオーダーはできるようですが。
夕食の後はまた温泉でのんびり。夜はギャラリーもライトアップされ、また綺麗な姿を見せてくれます。
一晩明けてまた温泉…といいたいところですが、「雲の上の温泉」は朝の営業がありません。実はホテルにも温泉浴場は設置されており、朝の時間帯はこちらで入浴できるようになっているんです。
内湯のみでそれほど広くないのですが、浴室内に大きな窓もあって開放感もそこそこ、こちらも悪くない感じです。ただ、塗装のハゲが目立つなど、ちょっとメンテに難がある印象は拭えないかな…不快感を感じるほどではないけど。
朝食もレストランでの提供。メニューは一般的な感じですが、ご飯は檮原産のコシヒカリだそう。
9時過ぎにチェックアウト。サービス面でも特に気になるような点はなかったし、充分快適に過ごせました。ただ、「老朽化により建て替え」となっただけあって、建物内で劣化を感じる部分は確かにありました。メンテナンスに課題があったんじゃないか、って気がしなくもないのですが…。木造建築な分、上階の足音などが聞こえてくるようなこともあったのは確か。宿泊料も2食付きで1万5千円以上くらいと「そこそこ」ではある上に「あの隈研吾設計のホテル」ということで期待値が上がってしまった分、評価が厳しめになってしまうのかもしれません。自分としては平均点レベルの宿という感想ですが、「隈研吾の作品」ってのが下駄を履かせてるのかも…。ただ、そんなに酷い、ってわけじゃないとは思いますよ。