そこまで話題になってた感じがしなかったんだよな…何故だ。
車両はキハ187系の2両編成。特急用なのにスパッと切り落としたようなデザイン無視!みたいなお顔が印象的ですが、これで振子式搭載で120km/hで走れるという高性能なんだから吃驚です。昨日乗った智頭急行線には関西と鳥取を結ぶ「スーパーはくと」に加え、岡山と鳥取を連絡する「スーパーいなば」も走っていますが、そちらにもこのキハ187系が使われており、最高速度130km/hまで出すこともできます。ただ、空気抵抗を一切考慮していないこのデザインが災いし、最高速度でトンネルに突っ込むと衝撃音が発生するという問題が出たためトンネル通過時に減速しなきゃいけなくなった、なんてことも。
安来を出て暫くは宍道湖を眺めながら進んでいきます。
昼食は宍道駅のカフェで購入した大山鶏のサンドイッチにしました。宿でもらったクーポン2000円分は1500円を宿での飲み物代に充当したのですが、500円分が残ってしまう結果に。駅の売店でもクーポンが使えたので、そこで使い切ったワケです。
安来から約3時間、山陰線から益田で山口線に入って津和野で下車。思ったより遠いなぁ。
ここで暫く時間があるので街中を散策。「津和野町日本遺産センター」なんて施設があるので入ってみました。こちらは日本遺産に指定された「津和野百景図」に関する展示などが行われています。「津和野百景図」とは、幕末の頃の津和野の風景などを解説とともに描いた100枚ほどの絵画で、作者は津和野藩に仕えた栗本格斎。実は実際に描かれたのは明治に入ってからのことで、藩政時代のことを記録に残すために絵画の心得があり藩のこともよく知っていたので依頼された、という経緯のようです。つまり「昔を思い出しながら描いていた」わけ。風景などは今でも面影が残るところもあったりするようですし、当時の風俗などを知る資料にもなっているようです。
あとは古い建物などが残る通りをぶらぶら。
とにかく晴天に恵まれたのはいいけど暑い暑い。ちょっとレトロな雰囲気の喫茶店「沙羅の木」で一休みします。
お店のオススメ、手作りシフォンケーキとコーヒーのセットを頂きました。シフォンケーキに添えられているのは津和野産ブルーベリーを使ったジャム、一応「地のモノ」ですな。
津和野駅に帰還。
これから乗車するのは快速「DLやまぐち」号です。あれなんか違和感が…と思ったアナタ!その感覚、正解ですよ。普段はココ、蒸気機関車のC57が牽引する「SLやまぐち」号が走ってるんですから。
今日の列車を牽引するのは、ディーゼル機関車のDD51。「SLやまぐち」は基本的にC57、予備でD51が牽引の任にあたることになっているのですが、今年の夏はどちらも同時に検査・修繕が行われることになってしまいまいました。それで2021年の夏は3月から9月まではディーゼル機関車が替わりを務めることになったわけです。「なんだつまんないなぁ」と思うかも知れませんが、実はコレ、かなりレアですよ!
DD51は1962年から600両以上も製造され、北は北海道から南は九州まで全国の非電化幹線で活躍したディーゼル機関車です。ただ、登場時にはまだ現役で各地で活躍していたSLを追い出し「無煙化」を推し進めた存在として、あんまり鉄道ファンの中では良く思われない面もあったようです。加えて「どこにでもいるやつ」という感じで、あんまりありがたみが感じられない車両でもありました。ブルートレイン全盛期は非電化区間を走る「出雲」の先頭に立っていましたし、「北斗星」や「はまなす」も北海道内はコレが引っ張っていました。しかしながら急行「はまなす」が2016年に廃止されると、DD51が牽引する旅客列車は消滅してしまいました。それどころか、そもそもこのDD51自体が新しい機関車に置き換えられてどんどん数を減らしており、今や16両しか残っていないという状況に。確かにJR貨物でも最後まで使われていた愛知県での運用がなくなったというニュースが春にあったけど、そこまで減ってたとは…。そんなわけで、「DD51が引っ張る旅客列車」って実は珍しいし、今後いつまで続くのかわからないモノだったりするんですよね。まぁそもそも「機関車が客車を引っ張る列車」自体が日本ではレアものではあって、通年で定期運行してるのは大井川鐵道の井川線くらいしかなかったりするんですけど。
で、客車の方は35系。古そうな見た目ですが、実は2017年に製造されたバリバリの新車でして、SLに合わせて「昔風」に造られています。
側線に入っていた客車は機関車が連結され、一度新山口方面に引き上げてからホームに入線してきました。
今日は奮発してグリーン車取っちゃいました。「DLやまぐち」は全車指定席なので、具通車でも指定席料金が530円かかります。これに対して、指定席グリーン料金は1000円。普通車の約2倍ですが、それに見合うだけの設備ではあるのでね。
グリーン車の車内には横3列でリクライニングシートが並びます。
ゆったりしたシートは赤いモケットに白いリネンがかかり、昔の一等車とかこんな感じだったんだろうな、という上品な出で立ち。前後間隔も広く取られていて快適です。
そして、この扉の向こうは…。
サロンのようなソファを備えた展望室が用意されています。この空間はもちろんグリーン車の乗客だけのもの。これで差額が500円以下なら納得でしょ?
グリーン車の一角にはボックスシートも設置されていますが、こちらもソファのようなゆったりした座席になっています。
津和野駅を定刻に発車、田園風景の中を快調に飛ばしていきます。新山口発では最後尾の展望が楽しめるこの展望室ですが、新山口行きは機関車がこちらに連結。おかげで、DD51の勇姿を堪能できるわけですけどね。
ちょっと車内を散策。貫通路なども「昔風」です。
洗面台も昔の客車についていたようなデザインになっています。手前の丸い謎のくぼみ、おそらく旧型客車などでは当然についていた「痰壺」を再現したものと思われます。芸が細かいなオイ。
普通車はボックスシートになっています。これも昔っぽいデザインなんですが、これでいて各座席に充電用のコンセントが完備されていたりと、快適性は現代の水準にはアップデートされていたりします。
最後尾の普通車は背もたれも板張りと、より古い時代の客車を模した内装。
こちらにも展望デッキがあり誰でも立ち入り可能。流れ去る線路の風景を楽しめます。
途中の地福駅で13分の停車時間があり、ここで多くの乗客がホームに降りて記念撮影タイムに。
正直コレがそこら辺で走ってた頃は気にしてなかったけど、こんなに少数派になると、この姿もなんとなく良く見えてしまうから不思議。ありふれすぎていたせいか、保存車両も7両くらいしかないらしいです。
津和野から1時間45分で終点の新山口に到着です。
ここから名古屋に帰りますが、まずは博多行きの「こだま」に乗ります。
やってきたのは「ひかりレールスター」使用の700系。
2駅だけ乗って新下関で下車しました。この駅、中央の出口のほかに、ホームの博多寄りにひっそりと「南口」ってのがあります。
ホームから改札階まで階段しかないんですが、こちらに出てくると在来線への乗り換えが比較的ラクだったりします。
ここから在来線の下関方面行きホームは同一面で繋がっていてバリアフリー。まぁ新幹線ホームからココまでがバリアフルだから意味ないけど。
すぐの接続で下関行き各停に乗って…。
下関でとなりのホームにいた門司行きに乗り換えました。
関門トンネルに入る前、恐らく名門大洋フェリーの建造中の新造船らしき姿が見えました。確かこの年末から投入予定だったはずです。
門司にて下車。駅名標には関門トンネルを通過する811系らしき列車が描かれていましたが、お前は直流区間走れないからトンネル抜けられないだろ。
門司駅前から阪九フェリーの無料送迎バスに乗車、新門司港へ移動です。
神戸行きのフェリー「せっつ」が今夜のお宿です。
予約したのは「スタンダードシングル」。比較的リーズナブルなお値段で鍵のかかる個室を確保できる優れものなんですが、元々はトラック運転手向けの「ドライバーズルーム」として用意されているので、通年で一般販売がされているわけではないのがちょっと残念。浴衣に使い捨てスリッパが用意されているのは有り難いんですけどね。
個室内にはテレビも用意されています。
夜8時、定刻に出航。
夕食は船内のレストランで頂きました。
阪九フェリーのレストランはカフェテリア方式で、一つ一つの料理のお値段はそうお高くないのですが、調子に乗ってたくさん取ってしまうと吃驚なお値段になってしまうパターンのやつです。今日は鉄板ホルモン焼きにご飯と味噌汁というオーソドックスな定食構成で行ってみました。
翌朝は展望浴場の露天風呂から明石海峡大橋通過を眺めるところからスタート。
朝食は船内販売のパンで。前日に予約しておくと、当日朝に船内で焼いたパンが手に入ります。これがなかなか旨いのよね。
神戸港到着後は連絡バスに。
阪神の御影駅近くのバス停で下車しました。連絡バスはフェリーターミナルから六甲ライナーの「アイランド北口」駅までは無料ですが、その先のJR住吉駅や阪神・阪急の御影駅までは有料となります。
そのまま阪神本線で梅田まで移動しました。
今日は阪急梅田店で開催中の「鉄道模型フェスティバル2021」を見てから帰ります。コロナ禍で色々なイベントが中止となる中、鉄道模型関連のイベントも影響を受けています。毎年8月にビッグサイトで開催されていた「鉄道模型コンベンション」も来年まで開催なし、ですし(まぁこっちはコロナよりもオリパラの影響が大きいみたいですが)。そんな中、数少ない鉄道模型関連で「開催されてるイベント」だったのがコレ。折角大阪に来たタイミングでやってるんだし。
鉄道模型各社の新製品の展示も多く、この旅行で乗ったHOT7000系も年末発売予定でKATOが製品化することから、その試作品が展示されていました。展示の中で一番人気だったのが阪急沿線を再現したレイアウトだったのは場所柄ですわな。流石に会場がデパートなので、中古販売業者の即売会みたいなのはなかったです。
名古屋までは久々に近鉄特急「ひのとり」にしてみました。
これも久々の利用となるプレミアムシートで。運良く運転席後ろの最前列の席がG取れました。それにしてもこの座席、ホントに快適だよなぁ…。