へんな旅ばかりしています。

へんな旅をしているようなので、自分のための防備録的にやってみます。

何しに行ったか謎になった旅、その2:また運休でピンチ!だったけど結果よかった件。

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本当はココに来る予定はなかったんですけどね。

 

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一晩明けて青森は曇り空。幸い雨は降っていないようです。ちょうど朝7時、携帯に着信がありました。かけてきたのはコチラ。

 

www.tohokukanko.jp

 

青森から下北半島を結ぶ高速船を運航する「シィライン」です。実は今回、この船で佐井まで向かい、そこからバスで大間へ移動して「津軽海峡フェリー」の函館行きに乗って北海道に渡るプランを考えていたんです。普段はシィラインと津軽海峡フェリー、そして佐井と大間を移動する下北交通バスのスケジュールが合っていないので同日中の移動はできないのですが、お盆などの繁忙期だけ津軽海峡フェリーの大間~函館便が増便されるため、子の時期に限っては乗り継ぎができるようになります。しかも佐井で3時間以上の待ち時間が発生するため、その間に最近絶景スポットとして人気急上昇中の仏ヶ浦へ行く遊覧船にも乗れてしまいます。こりゃカンペキだ!と思ったのですが、そもそもそのシィラインが欠航が決定…。まぁここ最近雨続きで天気が悪く、シィラインも欠航が続いていたので「もしかしたら」とは思ったんですけどね。明日チャレンジする手もなくはないのですが、函館に着くのが午後7時過ぎなので、そこから名古屋に帰る手段がありません。今日は函館まで出て、明日に逆ルートをトライするということも考えたのですが、このスケジュールだと佐井で仏ヶ浦観光船に乗る時間はありません。シィラインの船上からも仏ヶ浦を眺めることはできるようなのでソレもアリかなと思ったのですが、これはこれで別の問題が。函館発ルートが青森まで繋がるのは、お盆の時期だけ下北交通バスが増便され、そのバスなら接続できるようになるから。しかしながら暫く前の大雨で下北地区の国道で橋の流出などが発生したため、お盆増便を実施しないことになってしまったのです。まぁ結局、当初予定していたルートは今回は諦めるしかない、という結論になりました。

 

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とりあえず朝ご飯。東横インといえば無料朝食がウリで、コロナ禍の前は各ホテルで特色あるビュッフェ形式での提供でしたが、今は個別提供になっています。しょぼいお弁当みたいな感じの所もあるようですが、ここの内容は以前とあまり変わらない感じ。

 

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以前であれば自分で盛り付けていたような内容のものが予めプレートに盛られて用意されていました。豪華さは一切ありませんが、このくらいでも充分でござい、って感じですよね。あと味噌汁が具だくさんで謎に旨かったです。

 

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それで今日はどうするの?なんですが、午前中は青森で観光して午後の船で函館に渡ることにしました。主要観光地などを巡るルートバス「ねぶたん号」に乗車。

 

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バスの終点は、青森市では恐らく今トップクラスではないかと思われるスポット。

 

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三内丸山遺跡です。そんなに遺跡とかに興味があるわけではないのですが、折角ここまで来たんだし…という程度での立ち寄りです。

 

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そういえばココ、つい最近「世界遺産」に登録されたばかりのホットな場所じゃないですか。

 

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ちょうど10時からボランティアによるガイドツアーが始まるところだったので参加しました。来場者は結構多く、密を避ける目的もあって2グループに分けられました。

 

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実は相当昔から、この辺に遺跡があることは認識されていたようで、江戸時代にも記録が残っているそうなのですが、ずっとスルーされていた様子。青森県の公園だったこの場所に野球場を作ることになって工事を始めたら遺跡が出てきて、調査してみたら結構スゴイ価値のあるものであることが解ってきて、保存されるに至ったんだとか。

 

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最初に案内されたのはゴミ捨て場。ここには約1500年間、人の定住があったとされていますが、生活のゴミをずっとココに捨てていたため、1500年分のゴミが下から層になって残っている貴重なところだったりするんです。

 

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中に入るとその断面を見ることができます。

 

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住居は固まって建てられていたようです。木製や藁、土を盛り上げたものなど、当時ここにあった住居を想定したものが再建されていて、中に入ることもできます。入口の向きは遺跡から判明した方向になっているそう。

 

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三枚丸山遺跡といえばよく出てくるビジュアルがコレでしょう。6本の大きな柱を決まった間隔で建てていた跡が見つかったことが、ここを遺跡として残す決定打となりました。柱は4.2メートルの間隔で揃って建てられている上、周囲を焦がすなどの防腐処理も行われていたらしく、かなり高度な技術があったと推定されているそうです。なお、6本の高い柱が立っていたことまでは解っていますが、実際どんな建物が建っていたのかは実は解っていません。柱が内側に傾いて立てられていたので何かの建物ではないか、とされており、ここに再現されているのは「多分こうだったんじゃないかな」という説の一つ、だそうです。

 

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先ほどの建物の脇に大きなドームがあり、実際にあの6本の柱の跡が出土したところが保存されています。

 

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屋外展示だけでなく、屋内の展示もあります。

 

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こちらのほうも興味深く、当時の暮らしなどがより深く理解できる内容でした。つまりこの遺跡、「縄文時代の日本人がどんな暮らしをしていたか」の情報が無茶苦茶たくさん詰まってる、ってわけなんですな。栗の木を植えて育てたり、農耕をしたりしていた痕跡も見つかっているようです。

 

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でも一番の驚きは「そんな時代に日本各地との交易があったらしい」ということかもしれません。北海道や北陸にしか存在しないはずの石などがここから多数見つかっており、そういった地域の人との交流があった証拠ではないか、とされています。いやぁ、ココ面白いじゃないですか! 船の欠航で、と消極的な理由で来ることになったのですが、結果としてはこっちも全然アリです。ボランティアガイドの説明も分かりやすくて面白く、展示も充実していて「この遺跡とは何か」「何がそんなに有り難いのか」が素人でも理解できるようなものになっています。これは青森に来たなら訪問する価値ありです。

 

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最後にガイドさんに「是非見てって!」とお勧めされた「縄文ビッグウォール」を見学。ここから出土された土器を壁に無数に埋め込んだもので、ガイドさんも作業に参加したんだそうで。

 

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結局2時間ほどじっくり見学してしまいました。今度は青森市営バスに乗車。

 

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区間だけの乗車で青森県立美術館へ移動。正直、充分歩いて行ける距離でした…。

 

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この美術館の目玉の一つはコレ、シャガールの「アレコ」舞台背景画でしょう。青森県美術館では4点のうち3点をコレクションしていますが、残り1点も所有者であるフィラデルフィア美術館から2023年まで借用し、4点コンプリートのカタチで展示中です。縦9m、横15mの巨大な絵が部屋の四辺を埋め尽くす姿は圧巻です。

 

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青森県出身の奈良美智の作品も多数収蔵しているのも特徴でしょう。ここで一番有名なのはこの「あおもり犬」でしょうね。奈良美智の作品のうち、これだけが撮影可能。また「あおもり犬」だけを見たいなら、美術館に入場しなくても鑑賞可能だったりします。

 

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棟方志功も青森出身。青森市内に棟方志功記念館もありますが、こちらにも比較的充実したコレクションが鑑賞できます。しかも、こちらは全部撮影OK、太っ腹ですな。

 

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1時間ほど美術館鑑賞を楽しんだあとは、また「ねぶたん号」へ。

 

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津軽海峡フェリーの青森フェリーターミナルまで移動しました。「ねぶたん号」はここと青函フェリーのターミナルの両方を経由するルート。新青森駅にも停まるので、フェリーと鉄道とのアクセス手段としても活用できます。

 

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次に出港する函館行きのフェリーの乗船券を購入します。

 

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これから乗船するのは津軽海峡フェリーの「ブルーマーメイド」。就役は2014年と、青森~函館航路に就航する4席の中では最古参にあたります。お隣から出る青函フェリーのほうが運賃が安く、どちらにするか迷ったのですが、繁忙期割り増しで料金が上がっているこちらの方が通年同料金で安い青函フェリーよりも空いていてのんびりできそう…と考えてコチラを選択。

 

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出港までの時間、ターミナル2階の「ハーバーキッチン」で遅めの昼食を頂きました。

 

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青森らしいモノを!と「青森りんごカレー」をチョイス。サラダ付きで700円なら悪くないお値段です。カレーもマイルドで美味しゅうございました。

 

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20分ほど前から徒歩乗船開始。

 

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定刻14:20に函館に向けて出港。隣にはこの船の少し後に出発予定の青函フェリーの船も見えます。

 

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それでは船内を散策。エントランスエリアにはちょっとしたロビーと案内カウンターがありました。この上の階は個室などが設置されていますが、階段付近は2フロア分吹き抜けになっています。

 

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青森や函館のお土産品やフェリーのオリジナルグッズ等も充実した売店も。

 

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自動販売機コーナーもあり、電子レンジが何台も並びます。

 

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まさかここで長万部駅の名物駅弁「かにめし」を売っているとは…。冷凍モノなので、電子レンジで調理して頂くことになります。

 

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窓側はプロムナードになっており、椅子とテーブルが並べられています。ここで過ごすのもなかなか快適な感じ。

 

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船の中央に桟敷席が。枕や毛布などの備え付けはありませんが、横になってくつろげるのは有り難いです。

 

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船の前方は追加料金がかかる指定席「ビューシート」で、大ぶりなリクライニングシートが並んでいました。この日は予約上は「満席」表示でしたが、実際には空きがあるような感じ。恐らく三密回避で販売数を制限しているためかもしれません。

 

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このフェリーの売店、販売商品のチョイスに拘りがみられます。せたな町のひらかわ牧場のアイスとか仕入れているじゃありませんか。

 

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折角なのでお高めですが買ってみました。確かにミルクが濃厚な感じですね。なおスプーンは小泉大臣も安心な木製でしたよ。

 

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下北半島を通過する際、ずっと遠くですが仏ヶ浦らしきところを見ることは出来ました。

 

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3時間40分の航海で函館港に到着です。

 

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函館フェリーターミナルに着岸。

 

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実はここから函館の中心街へ行くのもちょっと面倒な感じです。通常であれば函館駅方面へ行くシャトルバスが午後6時半に出るのですが、お盆時期は特別ダイヤになっていて1時間ほど遅い時間になってしまっています。路線バスもあるのですが五稜郭方面へ行く路線しかなく、そこから市電に乗り換えるルートで遠回り。鉄道の最寄り駅は七重浜ですが、歩くにはちょっと遠い距離です。どうしようか調べていたら、七重浜から函館行きの道南いさりび鉄道の列車が間もなく出る時間で、タクシーあたりで駅まで行けば間に合いそうな感じ。ターミナル前のタクシーに乗り込んで移動です。

 

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ほぼワンメーターに毛が生えた程度の料金で七重浜駅まで来れてしまいました。

 

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もしかしたら「道南いさりび鉄道」になってから乗るの、初めてかもしれない…。駅は無人ですが、きっぷの自動販売機が設置されていたりと管理はしっかりしている様子。

 

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程なく函館行きの各停が到着。2駅だけの乗車ですが…。

 

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塗装はすっかり新会社ですが、車内はJR時代そのままのようです。

 

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わずか10分で函館駅に着きました。しかも五稜郭と函館の間はJR線でしたね。

 

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函館駅前から市電に乗り継ぎ、十字街の電停で下車しました。

 

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これからホテルへ向かうのですが、今夜の夕飯の調達のため「ハセガワストア」へ立ち寄ります。

 

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ハセガワストア」といえば「やきとり弁当」で有名なコンビニ。焼き鳥もオーダーで焼いてくれるのですが、お盆時期はメニューをやきとり弁当だけ限定で営業の様子…。