また船に乗ります。
今治から松山行きの普通列車に乗車します。7000系電車の2両編成。JR四国は車両の形式の名付け方が旧国鉄時代から大きく変わってるのが他のJR旅客各社と違うところですね。
高速道路は今治から松山までは山間部を突っ切って行きますが、予讃線は瀬戸内海に沿って迂回するように進んでいきます。
途中、堀江駅で対向列車待ちのため暫く停車します。実はこの駅、昔は鉄道連絡船があったんです。国鉄時代、本州と四国を結ぶ鉄道連絡船は岡山県の宇野と香川県の高松を結ぶ宇高連絡船がメインでしたが、第2次大戦後にそれを補完するものとして呉線の仁方とここ堀江を結ぶ航路が開設されました。ただ、鉄道連絡船といっても港と駅が離れていたため鉄道車両の輸送はなく、鉄道と乗り継いで利用する旅客も殆どいなかったようです。結局、1982年に航路廃止となりましたが、架橋やトンネル開通でお役御免となった他の国鉄/JRの連絡船航路と違い、これが唯一「赤字」を理由として廃止された航路なんだとか。この航路の功績としては、1979年に出版された宮脇俊三「最長片道切符の旅」において、この航路があったことで四国の組み込みが可能だったことかもしれないな。
松山に到着。
ここは伊予鉄道の郊外電車と市内電車の線路が平面交差しているので、鉄道の踏切を路面電車が渡るという不思議な光景が見られます。
高浜行きがやってきました。昔は東京の井の頭線で走ってた電車ですねコレ。
終点の高浜駅では、ホームを出てすぐの所に松山観光港へ向かう連絡バスに乗り換えが可能です。電車の到着に合わせて発車するので凄く便利。
松山観光港までは3分ほどで到着してしまう近さ。なお、乗車券も大手町駅で松山観光港までの通しで券売機から購入できました。
松山観光港からは本州側、呉までのフェリーを利用します。松山~呉~広島の航路は瀬戸内海汽船が高速船とカーフェリーを運航していますが、今日はフェリーで。
乗り場へ向かうと、これから乗船するフェリーがちょうど着岸するところ。
これが今日のお船、「シーパセオ2」です。海を意味する英語「シー」とスペイン語で散歩道を意味する「パセオ」を合わせた造語で、要は「公園みたいな船」ってコンセプトでデザインされたらしいです。最初に「シーパセオ」が2019年に就役、この「シーパセオ2」は姉妹船として翌年の2020年から運行を開始しました。
では乗船です。
船内に足を踏み入れると、お洒落な雰囲気がなかなかスゴイ。メインとなる客室にはゆったりとしたリクライニングシートが並びます。
前方には大きな窓が設置され、背もたれが低いソファシートが並ぶ展望エリアになっています。
窓の下にはコンセントが設置されているのが今風。
カーペット敷きのエリアもちゃんと用意されています。
靴を脱いでくつろげるソファシートも快適そう。
船内配置はこんな感じです。円形をモチーフにしたデザインが多いのが、ちょっと普通の船とは違いますね。
中央には案内所兼ショップが。軽食などもこちらで売ってました。
ショップ前のエリアはカフェのような佇まい。
海が一望できる窓に面したカウンター席。
誰かのお家のちゃぶ台みたいなコーナーまであります。それほど大きな船ではありませんが、これなら好きなところで思い思いに過ごせそう。
外部のデッキも様子が普通じゃありません。テーマパークのプロムナードとかにありそうな見た目です。
実は最後尾にも客室があったりするんですよ。ここは靴を脱いで上がるスペースになっています。
船内を見て廻っているうちに、広島に向けて出港。
上部の展望デッキも楽しげなムード。
まるでポッドのような「しお風のガゼボ」と名付けられたスペースがいくつか用意され、中には船体からはみ出したデッキの上になっているところまで。
おかげで、普通の船ではなかなかない、こんなアングルからの眺めも楽しめちゃいます。しかしまぁこの航路、観光路線というよりは四国と山陽を移動するための生活路線みたいな位置づけだと思うのですが、ソコでこんなにデザインとか頑張っちゃうの?という感想ですね…。逆に「日常」だからこそ非日常な感じにしたかったのかも、ですけど。
途中、同じ瀬戸内海汽船の従来型フェリーと行き違います。
高速船「スーパージェット」もいました。
今日は快晴、穏やかな瀬戸内海をのんびり進んでいきます。
この航路のハイライトかもしれないのが、呉到着前に通過する音戸の瀬戸でしょう。かなり狭い海峡?を通過します。
ここを過ぎると、呉はもうすぐそこです。
呉は古くから軍港として栄え、今でも海上自衛隊の重要な拠点です。自衛隊の艦船が停泊しているのが見えました。
松山から約2時間、呉港に到着です。すぐ目の前は大和ミュージアムとてつのくじら館が。
呉で下船すると、「シーパセオ2」はすぐに出港。終点の広島へ向かっていきました。
呉で博物館とか昼食とか…とも思ったのですが、今日はとっとと名古屋に帰ろうと思い、すぐに接続する呉線に乗車してしまいました。
広島から来た快速で広まで。
広で三原行きに乗り継ぎます。
この車内で軽く昼食。呉名物という「メロンパン」を買ってきました。これ、おそらく一般的な日本人が考える「メロンパン」とは大きく違っています。まずカタチがラグビーボールみたいだし、カリカリのクッキー生地も使われていません。その上、中には具リームがずっしりと大量に詰められているんですよ。まぁ旨くはあったけど、凄く腹に溜まるパンでした。
途中、仁方駅も通りました。こちらは仁方港までは歩いて10分以上かかるような場所らしいです。そりゃ誰も「鉄道連絡船」として乗らないよなぁ。
列車は「三原行き」表示でしたが、実は今、竹原~三原間は豪雨による被害で不通になっており、代行バスが運行されているんです。ここで列車を降りて改札へ向かいます。
駅前には三原行きの代行バスが停車していました。「青春18きっぷ」を提示して乗り込みます。
バスは国道185号に沿って、途中の鉄道駅の近くに泊まりながら走行します。国道のほうが海に近いところを通っているので、車窓風景としてはこっちの方が上かも?
列車でそのまま行くのに比べて15分ほど余計な所要時間をかけて三原駅に到着です。代行バスだとどうしても鉄道よりも遅くなります。
三原からはここ始発の播州赤穂行きを捕まえることができました。岡山を越えて赤穂線まで直通し、およそ3時間の距離を走ります。
播州赤穂では隣のホームの姫路行き各停に乗り継ぎ、網干で下車。
少し待つと、ちょうど網干始発の米原行き新快速に乗れるんですよね。姫路まで行ってからこちらに乗ってもいいんですが、米原までは長丁場なんで始発駅から席を確保した方が確実だし。
米原では豊橋行きの新快速に乗り継ぎ、名古屋へ帰還です。新快速運用には珍しい311系でした。