この10月から来年2022年の3月まで、近鉄が「近鉄全線3日間フリーパス」というのを販売しています。
実は近鉄では以前から「近鉄週末フリーパス」という3日間有効の切符は販売していました。
「近鉄週末フリーパス」は土日を含む3日間で利用可能ですが、「近鉄全線3日間フリーきっぷ」は曜日の指定はなく任意の3日間で使えます。そして何よりも驚くべきなのはその価格。「近鉄週末フリーパス」は4200円でしたが、こっちは3000円です。そもそも、近鉄名古屋から大阪難波までの片道運賃って2410円なんですよ? 近鉄の場合、名古屋エリアの金券ショップに行けば株主全線乗車証が手に入り、その相場はおよそ1800円くらいといった感じです。そのため、「近鉄週末フリーパス」の4200円というお値段は「単に名古屋と大阪を往復する」だけだと、そんなにお得感がありませんでした。でも3日間で3000円となれば、もうぶっちぎりでお買い得です。そんな折に京都と大阪へ行く所用があったので、この「近鉄全線3日間フリーきっぷ」を使ってみることにしたのですが、このパスで乗れる範囲には近鉄が運営する2つのケーブルカーも含まれます。用事の合間で、ちょっと乗ってくることにしました。
ただ正確には生駒駅近くの鳥居前駅から乗ることになります。2つの駅の間はペデストリアンデッキで結ばれていました。
駅構内に入るとちょっとファンシーな感じ。終点は遊園地ということもあって、お客はファミリー層が中心でした。運賃は片道で500円、往復で1000円なんですがコレもフリーきっぷで乗り放題という太っ腹ぶりです。
近鉄生駒ケーブルは終点の生駒山上駅までは「宝山寺線」と「山上線」と2つの路線を乗り継いで行きます。まずは中間乗換駅の宝山寺駅まで。この区間には犬をモチーフにした「ブル」と猫をモチーフにした「ミケ」の2両が配置されていますが、ホームにいたのは「ブル」のほうでした。
およそ5分で宝山寺駅に到着。ここで乗り換えです。
山上線はおよそ片道7分。
生駒山上駅に到着です。
駅前に「生駒山上遊園地」の入園口が。入園は無料で、遊具で遊ぶのは有料、というシステムなので入園してみました。
園内はいい感じで子供連れのご家族で賑わっていました。遊具は基本的にお子様向けで、昭和の雰囲気が漂います。
山の上ですので、眺望の良さも魅力の一つ。展望エリアもいくつか用意されていました。
ここから大阪平野が一望、といった感じです。
生駒山上遊園地の名物?ともいえそうなのが、この飛行塔。1929年に設置され「日本最古の大型遊具」だそうです。戦時中にこの手のモノは金属不足のため軍に供出されてしまったものが多い中、この飛行塔はそのまま軍の施設として使われたために生き残ったんだとか。そろそろ100年が経とうとしているのに、構造体は当時のままと言うから驚きですな。
おっさんが一人で長居するような場所でもないので、麓に戻ります。
通常ダイヤは40分間隔での運行なのですが、この日は週末で利用者もそこそこ多かったので、10分間隔程度に増発されていました。
山上線には途中駅が2箇所あったりするのも面白いところ。
山上線の車両はピアノを模した「ドレミ」とケーキを模した「スイート」の2両。今乗ってるのは「ドレミ」で、途中「スイート」とすれ違いました。
宝山寺駅で乗り換え。2路線はほぼ接続するダイヤで運行されているようです。
乗車するのは往路でも乗った「ブル」でした。隣に停まっているのは宝山寺線の2号線の車両。1953年製と日本で現存する最古のケーブルカー車両ですが、ピークシーズンにはこちらもちゃんと運転される現役です。
途中で「ミケ」とすれ違います。
麓の鳥居前駅に戻ってきました。大阪の市街地から層遠くないところなのに、ここまで「ガッツリ」な感じのケーブルカーがあるものなのね…。
お次は「近鉄西信貴ケーブル」。大阪上本町駅から急行で15分ほどの河内山本駅で信貴山口駅まで2駅、約5分で到着です。これまた大阪の市街地から近いね。
信貴山口駅では改札内でケーブルカーに乗り換えることができます。登った先にあるのが温泉やお寺と地味めなせいか、生駒ケーブルカーに比べると閑散とした印象。運転感覚もおよそ40分毎と、そんなに多くはありません。
かなりの急勾配を登っていきます。途中、下りの車両とすれ違い。
山頂駅までは約7分です。
終点の高安山駅です。
駅の脇の丘に登れる階段があり、その上がちょっとした展望台のようになっています。
ここからも大阪の街並みを大阪湾の方まで見渡す絶景が楽しめます…が、大阪平野の展望が開けるのは、この辺りではここくらいしかないようです。
駅前にはバスが一台停まっています。信貴山朝護孫子寺へのアクセスとして信貴山門までを結ぶバス路線が、ケーブルカーと接続する形で運行されているんですね。
バス乗り場近くにはホームらしき跡が。実はここから信貴山門までは鉄道が敷かれ、ケーブルカーと連絡して運営されていたんだそうで。ケーブルカーとともに戦時中に不要不急線として資材を持って行かれてしまったのですが、戦後にケーブルカーのみ復活し、鉄道線の方はバス、ということにされてしまったんだとか。
信貴山門まではおよそ5分で到着、立派な待合所を備えたバス停がありました。ここから奈良県側の王子駅方面へのバスもありました。
このバス停から、温泉街や朝護孫子寺への参道が延びています。
この橋を渡ると朝護孫子寺。
…ですが、今日は時間がないのでお参りはまた次回に。
橋の上からは温泉街のホテルなども見えます。
ここではバンジージャンプもやってるようで、結構な人数がトライしているようでした。
またバスで高安山駅へ折り返します。
下りのケーブルカーに乗車。改札まわりは、何だか普通のローカル駅の風情で、ケーブルカーみたいなレジャーっぽいモノがいる雰囲気があんまりないなぁ。
やっぱり、なんだか勾配がほかよりキツめな気がするな…。
このケーブルカーから見る大阪平野の風景もなかなかのものです。
信貴山口駅に到着、ここで電車に乗り換えです。こんなに便利な構造ですが、あんまりお客さんがいないみたいですな…。
信貴線のホームは終着駅っぽい雰囲気。また大阪へ戻りました。