こんなご時世ですが、1月末に上京する用事ができました。そこで、ちょうどこの週末で閉館してしまう施設に行ってみました。
それは国会議事堂の正面に位置する「憲政記念館」。1960年に「尾崎記念会館」として開館したのですが、当時のモダニズム建築としての特徴がよく出ている、地味に評価されている建物でもあります。新しい国立公文書館と統合した新施設を造ることになったため、この1月末を持って閉館して現建築も取り壊されることになりました。その前に訪問してみたかったのですが、機会があってよかったなぁ。
いったん閉館ということで、企画展も「ふりかえり展」です。
本館は中央の中庭を挟んで低層棟が横一直線に並ぶ、すっきりとしたスタイル。奥は後で増築された新館です。
中央の池の真ん中には銅像が。これが「憲政の父」とも呼ばれた尾崎行雄、1890年から1953年までの63年間、25回も当選したという凄いお方です。そう、当初の「尾崎記念会館」はこの方を記念して造られたワケですな。
展示室は入って左手の棟になります。
受付で手続きをして奥へ。
主な展示スペースは新館の方に位置しています。中央の吹き抜けの階段がシンプルながらレトロモダンな雰囲気。
吹き抜けのホールには国会議事堂周辺のジオラマが。
その隣には衆議院の議場の模型があります。なんで衆議院だけ?と思ってしまいますが、実は憲政記念館って衆議院の付属施設の扱い。「尾崎記念会館」だったものが衆議院に譲渡され、増築を経て今の「憲政記念館」になったんです。
2階に上がると展示室。実は他にも映像資料のシアターや模擬議場などの設備があるのですが、新型コロナ対策で閉鎖中でした。
一角には記念撮影コーナーとかもあったりして。
ショーケースの中には、かなり貴重と思われる、日本の議会政治の資料が並んでいます。これは大日本帝国憲法発布の官報。
第1回の議会の速記録だそうです。複製のものもありますが、おおむね興味深い内容でした。ただ「日本史あるある」かもしれませんが、第2次大戦頃までの資料は充実しているのに戦後の資料はショーケース1列分しかない、ってのはちょっとアンバランスな気が…。
1階にも小さめの展示室があり、こちらは国会の紹介が中心。国会で使われる速記や歴代の議員バッジ、以前使われていた設備などが置かれています。
尾崎行雄を紹介する「尾崎メモリアルホール」は本館に。ちなみにこの方、国政での選挙区は三重県だったそうですが、出身は今で言うところの相模原。当時、父親が伊勢で隠居していたから、らしいです。あと、ワシントンDCのポトマック川岸の桜並木は、もともと尾崎行雄が東京市長だったときに日米親善のために贈ったものが発祥とは知りませんでした。
あとは暫く館内を見て廻ります。ホールもいくつかあるのですが、もともとは中高生などが社会見学に来るようなことも想定していたようです。
2階の事務所スペースへの階段もいい雰囲気です。
建物の外観。横に伸びるすっきりしたラインが印象的です。
裏手には団体向けの休憩スペースも用意されていました。
隣には同時に建てられた時計塔があります。三角形のカタチは「三権分立」を意味したもの。
それで、この日の夜の宿泊先は「モクシー東京錦糸町」です。「モクシー」はマリオットホテルのブランドの一つで、いわゆる「モダンラグジュアリー」とか「ブティックホテル」とか呼ばれるようなカテゴリになります。昔ながらの「高級ホテル」には魅力を感じないミレニアル世代あたりをターゲットにしてる感じですかね。ランクのお高い方から「Wホテル」「アロフト」「モクシー」って印象ですが…。ここ東京錦糸町は日本初の「モクシー」ブランドとして開業したホテルです。ロケーションは錦糸町駅の南口から歩いて5分ほどと便利なんですが、周辺環境はなかなか凄いです。歓楽街&ラブホ街みたいなエリアで、ホテルに行くまでの道すがら、お姉さんのいるお店への勧誘の人たちのお声がけがあったりするんだもん。
1階ロビーのバーカウンターのようなフロントでチェックインし、お部屋へ向かいます。随所にポップなイラストが描かれていたりして、なんだか「パリピ」です。
客室は「モクシー」らしいシンプルな感じです。設備的にもほぼ同じですが、以前泊まった「大阪新梅田」や「京都二条」にあった「冷蔵庫」が室内にありません。そのかわり、ということなのか「ソフトドリンクがいつでも無料で貰える」というサービスがありました。これゴールドエリート向けだったかな? 非常に有り難いサービスですが、1階のフロントまで行く必要があります。できれば室内でルームウェアのままダラダラしたい派なんで、飲み物を貰うためにイチイチ着替えて部屋から出る、ってのはちょっと面倒だったかな…。なお、室内にはミネラルウォーターのボトルが2本用意されています。あと、何故かベッド下のフロアライトの消灯ができませんでした。部屋の中のどこを探してもスイッチが無いんだもん。
ベッドサイドには、これまた「モクシー」らしいダイヤル式の電話。ルームウェアはここに置かれていました。
バスルームもホテルというよりはアパートの一室みたい。
バスタブはなくシャワーのみ。シャワールームの床が少し高くなっています。どうもこのホテル、もともとはオフィスビルだったらしいんですよね。その関係で水回り工事の都合でこうなった、という気がしなくもない。
朝食は昨晩買ってきたパンで済ませます。コーヒーはフリードリンクで貰えるやつ。
結局、午前11時前にチェックアウト。その前に暫くロビーでまったりしてました。このホテル、部屋に籠もるよりはロビーあたりのソファでドリンク片手にのんびり過ごす、って方が正しいのかも。
ゲームなどが置かれたコーナーも。サッカーゲームとかパリピが遊ぶヤツだ。
エントランスもこのポップさ。
「モクシー」ってある意味、ちょっと変わったホテルですが、ベッドの快適さとかの最低限のラインはしっかり満たしてるのな…。お値段次第では使えます。