舟屋で有名な京都府の日本海側にある伊根町。20年以上前に泊まったことがあるのですが、それから日帰りでの訪問はあったものの「泊まる」機会がなかなか得られずにいました。基本的には民宿が中心なので週末に一人旅で泊まれるところはない上、ここ数年はインバウンドにも人気で予約もなかなか取れない状況だったんです。友人同士8名でどこか泊まりに行く話になって連絡してみたらこの「WATER FRONT INN 与謝荘」の予約が取れてしまい…。やっと念願が叶ったかたちになりました。
公共交通で行くかマイカーで行くか直前まで迷いましたが、結局クルマにしました。公共交通だと宮津か天橋立まで鉄道で行きバスに乗り換えるのですが、「地方あるある」で列車とバスのスケジュールが見事なまでに連動してません。乗り継ぎを30分以上待つようなものしかなく、これならクルマでもいいかな、と。3月初旬で雪の心配はありましたが、天気予報ではなんとかなりそう。名神高速から北陸道へ入り、敦賀で若狭道を通るルートにしたのですが、関ヶ原や北陸道の山越え区間では沿道にかなりの雪がまだ残っていたものの、路面のコンディションは問題なしでした。
伊根に到着したのはお昼過ぎ。まずは高台に位置する「道の駅 舟屋の里伊根」へ来てみました。
飲食店や売店もありますが、伊根湾を一望できる展望台が一番のウリでしょうね。
続いて観光案内所へ。ここから「舟屋ガイドとめぐる、まるごと伊根体験」ツアーに参加します。これは地元の方がガイドとなって舟屋の内部も含め1時間ほど案内してくれる、というもの。基本的に舟屋は個人のお家ですから勝手に入れないのですが、いくつか有料で公開しているところがあります。そういったところなどを巡りながら町中を歩いて廻りました。まずは案内所前の公園で町のアウトラインなどの説明が。今では漁師をやっている家もかなり減ってしまったようで、実際に船が出入りする舟屋もかなり減ってしまったとのこと。
で、舟屋の見学です。建物の構成としては街路を挟んで山側に母屋、海側に土蔵と舟屋、というのが基本だそうで。
これが舟屋の内部。ここに直接漁船を引き込むわけです。こんな構造で台風の時とか大丈夫なの?という感じですが、伊根湾は南側に開けているので波の影響が小さく、せいぜい何かが流されてくる程度なんだそうです。
途中に見かけた消防船。海に面した舟屋か火事になったときは海から消火した方が効率がいいからね。
今後は別の舟屋へ。ここだと山側から母屋・土蔵・舟屋の構成になっていることが良くわかります。
このツアーのもう一つの目玉「もんどり」見学。「もんどり」とは魚を捕る網で、中にエサを入れておくと魚が入ってきて出れなくなるという構造です。地元の方はこれで晩ご飯を調達していたとか。希望すればコレで採れてるお魚、お持ち帰りできます。この日はかなりの大漁だったみたいですが、残念ながら自分はこれから宿泊なので…。
既に漁業をやめてしまったお宅は、舟屋の船が入る部分を埋めて普通の「小屋」にしてしまっているところも多くなってきたそうです。
ツアーは最後に伊根の酒蔵、向井酒造に立ち寄ります。2019年の大阪で開催されたG20で供された「伊根満開」の蔵元さん。杜氏さんが女性なんですね。
ツアーのあとはちょっと遅いお昼ご飯。観光案内所の2階「舟屋食堂」へ。
店内はとてもお洒落な雰囲気。伊根ってこんなハイセーンス!な感じだったっけ?
大きな窓からは伊根湾の穏やかな海が。
定食物を中心にメニューは豊富。煮魚の定食を戴きました。
そして「WATER FRONT INN 与謝荘」へ到着。舟屋を改装したお宿です。
今日は我々8名のグループのみが宿泊者だそう。キャパシティはもう少し大きいのですが、食事の提供などの関係からその程度の人数に抑えているんだそうです。案内されたお部屋は猛烈なオーシャンビュー。殆ど「海の上」レベルで海が近いぞ。
窓からは舟屋の並ぶ姿が。
まだ陽も高いので周囲をもう少しお散歩。与謝荘は交通の便が割といいのも有り難いところ。駐車場が完備されているのは勿論ですが、観光案内所から歩いて5分もかからない場所なのでバスでもアクセス良好。伊根浦公園からもお宿がよく見えるほどです。まコレじゃ海の眺めがいいわけですよ…。
集落の奥の方へ進み「INE CAFE」で一休みすることにしました。
ここも最近できたお店らしいのですが、まぁ映え映え。
こんな露骨な映えスポットまで。マジで映えてるから仕方ないか…。
ケーキとコーヒーでちょっとのんびりしましたが、こんな風景が目の前ですからね。
お宿へ帰還。向かい側の高台に見えるのは海蔵寺で、庭の一本桜が有名なところです。桜の開花時期になると舟屋の向こうに咲く桜が綺麗で、隠れたお花見スポット。
お風呂は家庭風呂で2名定員、といった感じ。まぁ民宿ですしね。
お風呂場の脇に扉があり、そこを出るとちょっとしたテラスがありました。今日はちょっと寒いけど、もう少し温かくなってきたらココでビールとか、なんてのもステキそうです。
夕食は1階?の食堂で頂きます。恐らく、ちょうど舟屋の「船のガレージ」部分だったところだと思われ、こちらも海が目の前、みたいなロケーション。
では乾杯!
大きな舟盛り(これで4名分)も出てきて、お食事も満足です。
ご飯はちりめんが添えられ、にしんそばと共に登場。過剰な豪華さはありませんが満足です。
夜の舟屋も灯り控えめですが雰囲気あってイイ感じです。
翌朝もいい天気。
部屋の大きな窓からこんな風景が楽しめるなんて最高ですな。
朝食も昨晩と同じ食堂で。舟屋を眺めながらの朝ご飯も贅沢です。
シンプルな「旅館の朝ご飯」ですがお味は間違いない感じでした。
朝食を終えて部屋に戻ると布団が片付けられていました。改めて見ても、海の眺めが凄いわココ。
廊下を挟んだ反対側の部屋もこんな感じ。
午前9時前にチェックアウトしました。やっぱり伊根に来たら舟屋のお宿に泊まるべきですね…。
最後に伊根湾巡りの遊覧船に乗船しました。実は荒天のため昨日は遊覧船が終日運休していたんです。伊根湾の奥の方の海は穏やかに見えたのですが、遊覧船は湾外から発着しており、このエリアの海面のコンディションが宜しくなかったようです。今日はばっちり運行していました。なお、伊根湾の遊覧は海上タクシーも使え、料金は遊覧船と変わらないくらい。
およそ25分で伊根湾をぐるっとまわってくれます。白い遊覧船で出航です。
伊根湾はけっこう大きく、湾に沿ってずらっと並ぶ舟屋の眺めを楽しむなら、やっぱり海の上からが一番いいのかも。
昨日行った「INE CAFE」も。高台に立つのは道の駅です。
時間的にもちょうど適当といったクルーズ、なかなかお勧めです。