へんな旅ばかりしています。

へんな旅をしているようなので、自分のための防備録的にやってみます。

秘境と桜とご開帳in信州、その1:急行「飯田線秘境駅号」でJR東海の弾けっぷり堪能。

愛知県の豊橋から長野県の辰野までを結ぶJR東海のローカル線「飯田線」。もともとは4社の私鉄だったのを統合して国有化したことから200km足らずの距離に94もの駅があり、普通列車で乗り通すとたっぷり6時間はかかるという、ある意味「偉大なるローカル線」です。豊橋からの都市近郊路線から山間部の険しい区間まで車窓風景が変化に富んでいるのも特徴ですが、この路線を有名にしているものの一つが「秘境駅」でしょう。周囲に人の気配がないとか駅まで道が通ってないとか「なんでこんなトコに駅が?」というようなところにある駅を「秘境駅」なんて呼んだりしますが、その「秘境駅」が飯田線には多数存在しています。ただ、もともと本数の少ないローカル線に存在することから「秘境駅」を巡るのは大変。それを逆手にとるかのごとく、JR東海が2010年から運転しているのが急行「飯田線秘境駅号」です。もともとはツアー用の団体列車として始まったのですが好評だったのかその後は臨時の急行列車として、毎年春と秋の週末に運転されるようになりました。運転開始から既に10年以上経ちますが、訪問しにくい秘境駅をまとめて堪能できる魅力から常に満席。そんな列車が運良く確保できたので、久々に乗ってみることにしました。

 

今回は東京からの友人と豊橋で合流。こちらも豊橋で前泊することにしました。宿泊先は「豊橋ステーションホテル」、「ステーション」と名乗る割には豊橋駅からはちょっと離れてるぞ…。

 

こちらは「くれたけイン」グループのホテル。夜のウェルカムドリンクのサービスはこちらでも行われていました。夜8時までってのがちょっと短いけど、タダで貰えるんだから文句言っちゃダメよね。

 

お部屋はごく普通のビジホスタイル。

 

メンバーが揃ったところで晩ご飯へ、「広小路でんでん」にお邪魔します。こちらは豊橋名物ちくわ「ヤマサ」の直営店なんです。

 

そういうわけで、ここでは「ちくわ」が主役。名物メニューという「握りちくわ」は卓上に用意された炭火コンロを使い、自分でちくわを焼いて食べるというもの。

 

常にくるくる回さないと、均等で綺麗な焼き色が付きません。結構難しいなコレ…。でも楽しいし、なんせ旨いな焼きたてのちくわって。他にもちくわや練り物のメニューが多数揃っていて美味だし酒にも合ってサイコーでした。

 

一晩明けて豊橋駅へ。いよいよ「飯田線秘境駅号」へ乗車しますが、駅の出発案内板も特別仕様になってました。

 

しかもデザインが変わるという手の込みよう。

 

豊橋駅では東海道線の列車なども発着する4番線からの出発。ホームには特製のトレインマークを付けた371系が入線してきました。

 

ホームにはお見送りの駅員さんも多くいて賑やか、観光列車の出発らしい雰囲気になってます。あれ?JR東海も結構がんばってない?

 

ホームでの盛大なお見送りを受けて豊橋駅を定刻で発車しましたが、その先でも気合いの入ったご挨拶が。おいおいどうしたキミ達。車内アナウンスも基本は押さえつつ所々にボケをかましてきます。なんか「普段は真面目な学級委員長をカラオケに連れて行ったらヒゲダン激ウマで歌い始めた」みたいな気分…。

 

車内では引き続き沿線案内などのアナウンスが結構入ります。ここで豊橋仕入れてきた「ブラックサンダー」のカップアイスを頂きました。これは豊橋駅からも近い地元の洋菓子店「マッターホーン」で販売しているもの。「ブラックサンダー」で有名なユーラク製菓は豊橋に工場があるのですが、その直営店で販売するために「マッターホーン」がほぼ手作りで製造しているんだそうな。帰るのは豊橋と東京・小平の工場直売店とこの「マッターホーン」だけ。チョコアイスの中に超ミニサイズのブラックサンダーがさくさくのまま入っていて旨いです。

 

最初の停車駅は新城。ここで24分間停車します。駅員さんも歓迎のボードでお出迎えしてくれました。

 

なお、ここは新城市の中心部にあたり「秘境駅」ではありません。指定券の買える「きっぷうりば」もあるしね。

 

駅の待合室にも歓迎の飾り付けが。気合い入ってるなぁ…。JR東海というと「新幹線の儲けで喰えてる、面白みのないカイシャ」って印象が強い方も多いと思いますが、実は「やればできる子」なんだと思いますよ。

 

駅構内では地元の皆さんによる特産品などの即売会が行われていました。「くまコロッケ」ってのがありましたが、隣で「くまコロッケって何が入ってるんですか?」「熊入ってますけど」なんて会話が。割とカジュアルにジビエ売るな…。

 

ここでは豊橋行きの上り列車の交換と、あとから来た飯田行き特急「伊那路」の通過待ちがあります。長閑な駅のホームに3本の列車が並ぶのも壮観かな。

 

お次は柿平

 

秘境駅ランキング170位ということで「秘境感」はそれほどでありません。2019年秋の運行から停車するようになったとか。

 

次の東栄には10分停車。ここは秘境駅扱いではなく、立派な駅舎があります。

 

東栄の駅前でも特産品販売が行われていました。蕨の醤油漬けが旨そうだったので所望。豊橋駅で購入しておいたアルコールと共に摂取です。

 

次は大嵐。

 

16分停車しますが、ここでも物産販売が。駅自体は浜松市に位置しているのですが、川の向こうは愛知県の豊根村。この販売隊も豊根村の皆さんです。

 

駅の前には佐久間湖が広がり、いかにも山奥です。

 

さてさて、いよいよこの辺から「秘境駅号」の本領発揮です。次の停車駅は小和田、秘境駅ランキング3位という大物登場。

 

実はこの駅、30年ほど前にちょっとしたブームを呼んだことがあります。いまの皇后である雅子さまの旧姓は読み仮名は違いますが漢字は同じ「小和田」。ご成婚の際にそれが話題になり、ここで結婚式を挙げるイベントなども行われました。その時に運転された臨時列車のヘッドマークが、今でも飾られています。

 

回りには朽ち果てた建物しかありませんが、駅舎はかなり丁寧に扱われている印象です。ここは静岡県・愛知県・長野県の県境が交わるところでもあり、ホームにその標識があったはずなんですが、今回は見つけられませんでした。

 

続いて秘境駅ランキング10位の中井侍

 

ここは急斜面に張り付いたような茶畑の麓のような場所に駅が設置されています。駅を使いそうなのはこの上のお茶農家の皆さんくらい、って感じ。

 

次は伊那小沢秘境駅ランキングは61位だそうです。

 

相変わらず周囲には何もなく「何のための駅?」という感じですが…。

 

午後1時半頃に平岡に到着、34分と長時間停車します。

 

ここ平岡駅は駅舎に温泉・ホテル・レストランが併設されている、なかなか立派な建物になっています。30分あれば日帰り入浴くらいできるかも?

 

でも駅脇の広場では多くの出店があって、こっちを見る方が楽しいかもしれません。特産品など、いろいろ売られていました。

 

地元の皆さんの賑やかなお見送りで出発。

 

次は為栗秘境駅ランキングでは13位です。

 

ここも周囲に人が住んでいる気配はなさそうですが、近くにあった集落がダム建設で水没して消滅、駅だけ残された…といった事情だそうな。なお、ここで乗務していた車掌の2名が下車しました。どうもここで上りの秘境駅号へ乗務するようです。

 

駅の目の前には天竜川がすぐ迫ってます。

 

お次は秘境駅ランキング5位の田本。

 

トンネルに挟まれた山の急斜面に位置し、見るからに「秘境駅」といった感じです。駅から出る唯一の通路はトンネルの上を通っており、そこが駅全体が見渡せるスポット。条約数が多いので2交代で順番に訪問するよう誘導されました。この「飯田線秘境駅号」、今日は満席のご予約。巡りにくい秘境駅を手軽に回れるのはいいのですが、3両編成で満員のお客さんが一度に降りるので「賑やか」になっちゃう点だけが玉に瑕かもね…。

 

次に停車する金野も秘境駅ランキング6位という強者。駅名標の「金」の文字に触ると金運が上がるとかなんとか。

 

ここも周囲には何もない様子。それもそのはず、駅名の由来となった金野の集落まではここから歩いて1時間、らしいしね。

 

そして「秘境駅」としては最後の停車駅となる千代。

 

秘境駅ランキング20位だそうですが、駅前?にはクルマが入って来れそうな道路は繋がっている様子。

 

飯田線の中でも主要駅の一つである天竜峡ですが、3分ほどの停車ですぐ発車です。ここで運転手と車掌は総入れ替えとなります。

 

天竜峡から乗り込んできた車掌さん、「いよいよここからオレの最高のアナウンスが火を噴くぜ!と思ったらあと15分しかないから黙っておきます」的な車内放送をかましてくれました、お茶目。で、いよいよ終点の飯田に到着しました。ここまでなんと5時間40分! ただ、途中の停車駅でのイベントや見学も楽しく、あっという間に過ぎてしまった感じです。JR東海の皆さんや沿線の皆さんのサービス精神もなかなかのもので、JR九州JR四国の観光列車と比較してもいい勝負かもしれません。車両は一般的に使われている371系のままですが、人的な対応だけでも充分「観光列車」にはなり得る、って感じなのかも。

 

駅には飯田周辺のゆるキャラの皆さんのパネルもお出迎えしてくれました。かなり手の込んだ371系の模型も置かれてるし。

 

飯田からは飯田線を先に進んでいきます。

 

20分の接続で上諏訪行きの普通列車に乗り換えたのですが…JR東日本所属の211系、オールロングシートの車両じゃん…。ちょっとガッカリ。

 

実は豊橋駅で買い込んでおいた壺屋の稲荷寿司があったのですが、「飯田線秘境駅号」乗車中が忙しくて食べそびれていました。飯田から乗り換える車内で食べればいいや、と思っていたんですが…。結局ロングシートに座って食べましたけどね。