新型コロナの1回目の非常事態宣言が解除され、夏に向けて人の移動が再開に向かっていた2020年の7月、JR九州は「みんなの九州きっぷ」という企画乗車券の販売を開始しました。土休日の2日間有効で九州全域で利用可能なのにお値段1万円という吃驚プライスはちょっとした衝撃でした。このお値段で特急も九州新幹線も乗れちゃうという太っ腹さだし…。そもそも、JR九州には20年ほど前には「JR九州エリア内を3日間グリーン車も含めて乗り放題で2万円ちょっと」というヤバいきっぷがあったんですが、その後は「乗り放題」タイプのものは期間限定で時折リリースされるくらいになっていました。今回はもう数年ぶりの「乗り放題」設定なうえ、価格的にも過去ないようなレベルだったので、何回か活用させてもらいました。2021年にも秋に設定があり、今年も5月末までの販売が行われましたが、ここ最近のコロナの「オワコン」ぶりを見ていると、こんな阿呆みたいな割引率のものはこれが最後じゃないかな、という感じ。ちょうど福岡にいる友人のところへ行く用事もあったので、「使い収め」しておくことに。
今回は金曜夜に福岡入り。仕事を終えてセントレアに直行です。じゃらんパックで「中部ー福岡の往復ANA便+ホテル1泊」をクーポン利用で27000円でゲットしました。
19時発のANA便。中部~福岡間は大半の便がスターフライヤーとのコードシェア便になってしまっており、ANAが運航する分は1日2往復くらいしかありません。昔はJALとのダブルトラックだった時代もあったのに…。
セントレアのANAではお馴染みB737-800。7~8割くらいは埋まっている感じで、人の動きがだんだん戻ってきているのが感じられます。
定刻に福岡空港に到着。
地下鉄で中洲川端駅で下車します。
今日のお宿は駅から徒歩10分ほどのところにある「ザ・ワンファイブマリン福岡」。住宅街の中のようなところに位置しています。
構造がちょっとユニークで、フロントが最上階の10階にあります。いったんエレベーターでここまで上がって、チェックイン後に自分の部屋のあるフロアへ降りていくような流れになります。
エレベーターの中にはキーの回収ボックスが設置されています。チェックアウトの手続きは不要で、ホテルを出るときにはここにキーを返却すればOKとのこと。
客室は至って普通のシングルルームといった佇まいです。
翌朝はバスで博多駅まで出てみました。ネット予約で購入済みの「みんなの九州きっぷ」をここで引き取ります。この旅行用で手配したのは九州北部用の8000円のもの。2020年は「全九州版1万円、北部九州版5千円」という激安価格でしたが、昨年からは「全九州版1万5千円、北部九州版8千円」に値上がりしました。それでも安いけど…。また、6回まで指定席が利用可能なのですが、指定席の手配は「きっぷ」そのものがないと出来ないようになっています。そこで、乗る予定の列車の指定席もここで入手。一部、ネット予約で押さえておいて直前にキャンセル、間髪を入れずにこっちで指定券ゲット…なんて手も使いました。観光列車など全車指定のものも結構ありますからね。
まずは九州新幹線「つばめ」で熊本を目指します。
今では九州新幹線の「主役」は山陽新幹線へ乗り入れるN700系って感じですが、開業当初からがんばる800系も独特の雰囲気があっていいんですよ。
熊本からは豊肥線をゆく特急「あそぼーい!」に乗り換え。
おそらくJRとしては唯一となった展望室をもつキハ183系が投入されています。製造から既に30年以上が経過し、外観もちょっとガタが来てる印象も否めないかしら。もともとは「オランダ村特急」として運行されていたものが「ゆふいんの森」になったりまた長崎まで戻されたりと転々としながら今のポジションに収まりましたが、「あそぼーい!」になってもう10年以上が経過。ここが安住の地なのかもしれません。
展望席も普通車指定席ですが、利用には追加料金がかかります。
一般席はリクライニングシートが並ぶ、一般的な特急型の雰囲気。
車内にはフリースペースも。
2号車はファミリー車両として親子向けシートが設置されています。カフェカウンターもこちらです。
お子様用のお遊びスペースもあるんですが、感染症対策で閉鎖されていました。
カフェカウンターで「こどもぷりん」を購入。「おとなぷりん」と「こどもぷりん」が用意されているんですが、「あそぼーい!」運転開始10周年記念のラッピングだったので「こども」にした次第。「おとな」のほうが洋酒風味だったりするらしいです。
スイッチバックとなる立野駅に到着。ここで乗車したかったお客さんが数名いたようですが、この「あそぼーい!」は全席指定で、しかも今日は予約で満席。残念ながらお断りされていました。
立野を出ると新阿蘇大橋の近くを通過。熊本地震で崩落し、震災遺稿として保存された阿蘇大橋跡も車窓から見ることができました。
阿蘇駅に到着すると、家族連れの多くがここで下車していきました。熊本からここまではおよそ1時間半弱、子供を乗っけてちょうど飽きるくらいの塩梅ですな。
大分で下車。
お昼ご飯は関サバ!と思って、JRおおいたシティの「寿司まどか」を訪問。鹿児島の会社が運営している回転寿司店でした。
残念ながら関サバは入荷がないそうですが関アジは頂けました。
寿司だし呑んじゃえ、と焼酎「二階堂」の水割りを頼んでみたら、こんな大がかりなものが出てきて驚きました。焼酎一合に水割りセット、これで税込み420円とはお得じゃないですか。
大分産のぶり、真鯛にいかの3点盛りなど、地のモノも一通り揃っていました。
これまた大分名物の「りゅうきゅう」。
〆はとり天。本当はとり天握りを頼んだつもりだったのですが、オーダーシートに「とり天」としか書かなかったのでコレが出てきました。単品もあったのか!
大分からは久大線経由の博多行き特急「ゆふ」に乗車します。久大線といえば観光特急「ゆふいんの森」が有名ですが、観光向けじゃない特急も1日3往復も設定されているんです。車両はキハ185系、国鉄末期に四国内の特急用に製造されたもの。利用者の減少を見越して短い編成での運転を想定し、バス部品を流用するなどのコストダウンも図られたのですが、JR四国はその後高速バスとの競合のため振子式の高速運転が可能な新型ディーゼル特急を導入しました。その結果として余り気味になった185系をJR九州が購入した、というわけです。
JR九州に移ってから車内は改装され、木材が多用されています。
「ゆふいんの森」だと徐行運転してくれる「慈恩の滝」、この車窓からも見れました。
博多駅に到着。
友人との待ち合わせ時間まですこし余裕があったので「福岡アジア美術館」へ。ちょうど開催中だった「アニメージュとジブリ展」を観に行ってみました。
「宇宙戦艦ヤマト」劇場版のヒットで盛り上がっていた1978年に創刊されたアニメ雑誌「アニメージュ」。単にアニメの紹介に留まらず新しい才能を発掘しコンテンツの制作にまで関わったこの雑誌が見つけたのが「宮崎駿」でした。「風の谷のナウシカ」はそんな流れの中で実現した映画。実は興行成績は14億円ちょっとと、当時のアニメ作品としても決して大ヒットといえるレベルではなかったのですが、「スタジオジブリ」が設立されるきかけともなりました。スタジオジブリのプロデューサーとして知られる鈴木敏夫も、もとは「アニメージュ」の編集者。こういう流れが解りやすく展示され、なかなか面白かったです。