へんな旅ばかりしています。

へんな旅をしているようなので、自分のための防備録的にやってみます。

あいの風とやま鉄道の観光列車「一万三千尺物語」がかなり良かったので皆乗ってほしい。

なんかイマイチ目立ってないんですが、結構いいんですよ。

 

直江津からはえちごトキめき鉄道の「観光急行」。運行開始から1年ほどしか経ってませんが、既に3回も乗ってるのよね…。

 

slips.hatenablog.com

 

前回は朝から晩まで一日中乗ってましたが、今回は片道のみ。

 

乗車した車両も前回のクハ455と変えて413系の方にしてみてます。今日は日曜日なんですがお客さんは少なめ。普段は指定席扱いのクハ455も自由席扱いでの運転になっていました。もうちょっと混んでると思ったのになぁ…。

 

晴天の中、青く輝く日本海を眺めながら進んでいきます。

 

急行の終点は市振。ここで下車し、次の列車を30分ほど待ちます。

 

泊行きに乗車。

 

泊では「あいの風とやま鉄道」の富山行きに乗り換えます。同じホームの前後に列車が停車するので乗り換えは非常にラク

 

富山駅は周辺の整備がどんどん進んでいる様子です。

 

新しい商業施設もオープンしていました。

 

1階には光岡自動車のクルマが展示されていましたが、この会社って本社が富山だからか!

 

では、これから「一万三千尺物語」に乗ります。これは2019年から運行を開始した、「あいの風とやま鉄道」の観光列車。週末を中心に1日2便あるのですが、午後の便だとちょうど観光急行から乗り継げ、名古屋へも帰れるスケジュールだったので試してみた次第。

 

富山駅改札内にはカウンターが設置され、ここで受付があります。利用の1週間前くらいに案内一式が郵送されてきますが、その中に記念乗車証が入っており、これで改札は通過可能。なお、この「記念乗車証」は利用日にに有効な「あいの風とやま鉄道」前線パスとしても使えるので、今日も「えちごトキめき鉄道」から富山まではこの特典を活用させてもらいました。

 

ホームに上がって暫くすると、列車が入線してきました。

 

この「一万三千尺物語」、国鉄時代に製造された近郊型電車「413系」の3両を改造したもの。この413系、さっき「観光急行」で乗ってきたのと同じです。あちらはオリジナルをほぼ保ってますが…。

 

ドアにはステップも用意されています。早速車内へ。

 

1号車は山側にロングカウンターを設置、海側にボックスシートという構成になっています。

 

指定された座席には既にお料理のお重がセットされていました。

 

席について程なく、ウェルカムドリンク「幻の瀧 柚子スパークリング」が運ばれてきました。これは代金に含まれているもの。林檎ジュースかコレかを予約時に選択できるようになっていました。早速頂きながら、富山駅を発車です。

 

本来であれば山側には白山が見えたりするんでしょうが、今日は視界があまり良くないらしく、殆ど見えませんでした。実は旧北陸線の「あいの風とやま鉄道」となった区間は内陸部を通る区間が多く、日本海を眺められるところは多くありません。ただし、山の景色は綺麗に見えるポイントが多く、山側の方が大型窓を配するなど景色がよく見えるような構造になっていたりするんですよ。ちなみに車内では案内放送が随時入りますが、「あいの風」ってのは「日本海沿岸で沖から吹く夏のそよ風」を意味し、古くは万葉集にも出てくる由緒あるコトバだったの、初めて知りました。「なんだよ”あいの風”なんてキラキラネーム付けやがって」とか思っててゴメンね。

 

列車は20分ほどで高岡駅に到着。ここで20分ほど停車し、また富山方面へ折り返しです。

 

停車時間で改札を出て…。

 

ドラえもんポスト」へご案内です。郵送されてきた案内には絵はがきも封入されており、それをここから送ると特製の消印が押されて届くんです。切手を販売しているセブンイレブンへの誘導まで付くなど、なかなか親切。ここ高岡市は「ドラえもん」の生みの親である、藤子・F・不二雄先生の故郷でもあることから、街中には「ドラえもん」やそのほかの作品にちなんだものが数多く存在しています。ただ、高岡市と先生との関係は決して良好なものではなかったようで。その現れの一つが、氏の亡き後に「藤子・F・不二雄ミュージアム」が故郷の高岡ではなく永年暮らした川崎にできたことかもしれません。最近では関係修復が進み、だんだんと縁の施設なんかも出来てきた、という感じのようですね。

 

高岡駅を発車し、今来た線路を引き返していきます。駅構内には氷見線を走る「忍者ハットリくん列車」が見えました。作者の藤子不二雄Ⓐ先生、氷見市の出身なんですよね。

 

では、そろそろお食事タイムとしましょうか。お重には本日のお品書きが添えられています。

 

2段のお重を開けると中身はこんな感じ。富山の和食店千里山荘」が用意したというお料理はどれも丁寧な作り込みで美味。仕出しも行っているだけあって、温かくない状態でも美味しく頂けるような工夫が伺えます。お造りは食事を始めたくらいのタイミングでスタッフさんが持ってきてくれましたが、富山名物の白えびもたっぷり。なかなかゴージャスですな。

 

飲み物は別料金ですが、地ビールでも500円程度となかなか良心的。

 

富山も美味しい日本酒がたくさんあるところですから、勿論そっちも揃ってます。

 

富山駅から乗ったので、富山市岩瀬浜、「満寿泉」を頂いてみました。なんとこの列車オリジナルのボトルで出てくるじゃないですか。

 

さぁ喰うぞ!と思ったら高岡出発から10分ほどで小杉駅に停車となりました。

 

ここ小杉は左官職人が漆喰で作り上げる鏝絵で有名なところだそうで、駅舎にもいくつか鏝絵が展示されています。10分ほどの停車時間、駅員さんの案内でこれを鑑賞させてもらいました。

 

車内に戻り、今度こそは本格的に喰うぞ!というわけですが、また10分後くらいに凄いイベントが発生します。なんとこの列車、富山駅を「通過」するんです。富山駅は言わずと知れた富山県の県庁所在地となる富山市の代表駅ですから、新幹線や特急も停車しますし、過去に遡っても夜行ですら通過扱いだった列車はほぼなかったんじゃないでしょうか。そんな拠点駅を「停まらずにスルー」って実はレア体験じゃん?

 

富山駅を過ぎると車両基地のエリアを通過しますが、ここでは窓から見える車両の解説が案内放送で行われます。職員の皆さんも手を振ってお出迎えしてくれました。

 

ここで茶碗蒸し登場。温かい状態でサーブされるのですが、車内で作ってるのかしら。

 

最後にお食事、じゃこご飯と白えびのお吸い物が運ばれてきます。ごちそうさまでした。

 

滑川と魚津の間を流れる早月川の鉄橋を渡るところは、この車窓から日本海が見える数少ないスポット。

 

よく見ると岸辺で地元の皆さんが大きな旗などを振って盛大にお出迎えしてくれてるじゃありませんか。

 

高岡を出ておよそ1時間、黒部駅に到着です。ここでも駅員さんのお出迎えアリ。

 

ここで車両をじっくり検分。かなり種車は年季入ってる筈なんですが、非常に綺麗な外観です。

 

また、この列車のウリというか特徴はこの大きな窓でしょう。実はウェブで予約して数日後、お電話を戴いたんですよ。「ご指定頂いた席だと眺望が良くないので変更させて戴きたいのですが」とのことで「まぁ他の予約が入って配席調整したいんだろうな」とか思ってたんですけど、実はマジでこの大きな窓のど真ん中の席にするための変更でした…。なんか凄い親切でしょ。

 

駅舎内には売店もあります。ここで爆売れしていたのは…。

 

雷鳥のぬいぐるみです。車内に置かれているこの大きな雷鳥のぬいぐるみ、以前は黒部駅売店に飾られていたものだそうで。「ぜひ皆さんも連れて帰って下さいねー」というアナウンスに釣られ、小さな雷鳥のぬいぐるみを買ってしまうお客さんが続出していたのでした。まぁ自分も買っちゃったけどな!

 

黒部では15分ほど停車し、また富山へ折り返していきます。なお昼頃に運転される「1号」は富山からこの先の泊まで行って折り返して富山に戻るコースとなり、お食事はお寿司が出てきますよ。

 

ちょっと他の車両も見てみましょうか。2号車は1両まるごとサービスカーになっており客室はありません。このあたりは厨房がある模様。

 

3号車側の車端には富山の名産品等を展示したショーケースが。

 

1号車側には売店兼サービスカウンターと、記念スタンプなどが設置されたフリースペースがありました。

 

ちなみに3号車の客室は全てボックス席になっています。

 

〆のデザートはここで登場。用意されたコーヒーですが、なんとYKKの商品。あのファスナーとか作ってるYKKなんですが、ブラジルに自社農園があるんだそうな。

 

www.ykk.co.jp

 

なかなか美味しいコーヒーで、お替わりも戴いちゃいました。

 

そして間もなく富山駅へ、楽しかった観光列車の旅ももうすぐ終了です。車窓からは先日引退した「北陸色」と呼ばれる塗装の413系が停まっているのが見えました。

 

およそ2時間半の行程を終え、富山駅に戻ってきました。これ、もっと評価されてイイやつですよ絶対。料金は1万3千円しますが、最近の食事付き観光列車だと2万円近く取るのも増えてきてるんで、まぁまぁ悪くない水準かと。しかも「あいの風とやま鉄道」の一日乗車券が込みになってますし、そのほかにも各種施設やお店などでの割引券もいろいろ貰えます。車両も外装も勿論、内装もモダンジャパニーズみたいな設えで意外と凝ってて綺麗。そしてスタッフの皆さんのホスピタリティのレベルの高さはなかなのものです。列車のクルーだけでなく停車駅の駅員さんも全面協力といった感じで、お互い協力しながらお客さんに楽しんでもらいましょう、みたいな気合いが伝わってきます。このエリアの観光列車だとお隣の「えちごトキめき鉄道」の「雪月花」や「しなの鉄道」の「ろくもん」あたりが有名で、なんとなく影が薄いような気がしちゃうんですが、コレも充分その辺と戦えますよ。

 

名古屋までは高速バスで帰還。鉄道で行くのと時間的にそれほど差がないのに、料金が全然違うんだもん。コレ、北陸新幹線敦賀まで伸びたらどうなるんだろうね…。