へんな旅ばかりしています。

へんな旅をしているようなので、自分のための防備録的にやってみます。

謎の充実感、「マスプロ美術館」訪問記。

愛知県って割と世界的とか全国的に有名だったりする企業が結構あります。「トヨタ自動車」はもちろんのこと、飲食店でよく見かける製氷機とかのメーカー「ホシザキ」とかもそう。意外なところだと最近人気の食べ放題「焼肉きんぐ」も豊橋の会社だったりします。「マスプロ電工」もそんな企業の一つで、おそらく40代以上くらいの方だと「見え過ぎちゃって困るの~」のCMソングが記憶に残っているんじゃないでしょうか。昔は安いアパートだとTV受信の共同アンテナが付いてないところも結構あって、TVに室内アンテナとか付けてたりしたんですよ。そのため「マスプロアンテナ」って割とBtoC製品だったりしたんだよなぁ…。

 

www.maspro.co.jp

 

で、そんな「マスプロ電工」が「マスプロ美術館」なんてのを運営してるそうじゃないですか。本社に併設されており、基本的には開館日は平日なんですが、最近は第2・第4日曜日も開館しているようです。ちょうど日進市あたりへ行く用事もあったので、立ち寄ってみることにしました。

 

クルマで行ったのですが、道路沿いに美術館の看板が立っていたりして親切。開館中の案内やJAF協定施設の幟も出てました。

 

日曜日なので会社は休業中。静まりかえってます。

 

この本社屋の2階が「マスプロ美術館」。1階のエントランスが受付になっており、ここで入場料を支払い、チケットとパンフレットを受け取ります。

 

美術館内は撮影禁止で、2階ロビーのここだけが撮影OKでしたので今回は画像少なめ。

この「マスプロ美術館」は主に浮世絵を蒐集していますが、そのなかでも「開化絵」と呼ばれる幕末~明治期に制作されたものに特化しているというユニークな構成です。マスプロ電工の創業者である端山孝氏が個人でコレクションした作品を展示する目的で、開館したのは1975年と結構歴史もあったりして。

展示作品は主に開国して外国人が多数やって来た横浜を描いた「横浜開化絵」、文明開化で近代化が進む東京を写し取った「東京開化絵」、日本各地の様子を描く「地方開化絵」がメインですが、これがかなり面白いんですよ。「横浜開化絵」は当時の日本人が外国人をどんな目で見ていたのが解りますし、「東京開化絵」も変わりゆく街を活き活きと描いています。ちょうど150年前の日本初の鉄道開業も「ネタ」として美味しかったらしく数多くの浮世絵に描かれているのですが、どうも実物ではなく海外の雑誌などを参考にして描いたものも多く、車体に書かれた英文もそのまま書き写してしまったもの(恐らく英語とか解らないんで、それが文字とは思わなかったんでしょう)が混じっていたりしてご愛敬です。詳細かつ個性的な説明文もつけられており、じっくり見て廻ったら半日でも足りないレベルでした。まぁ1時間もあれば充分でしょ、とか思ってたら大間違い…。

なお「東京開化絵」は「最新の東京の様子」を伝える東京土産として2000円くらいで販売されていたんだとか。当時としてはある意味、使い捨ての大量生産品みたいなもんだったのかもしれません。そこに価値を見いだして収蔵するって、目の付け所がいいんでしょうね。

また、他にも浮世絵の美人画や陶磁器のコレクションもありますが、「開化絵」に比べればユニークさの点ではちょっと見劣りするかな、という印象。いやこれも貴重なんですけど。

ちなみに「MASPROミュージアム」として会社の歩みを紹介するコーナーもあります。こちらも意外と面白く、まだ海外旅行が珍しかった頃に香港へ社員旅行に行ってみたりとか、いろいろと話題の多い会社だったことが伺えます。最近ではあんまりコンシューマー向け商品を見かけない気がしてましたが、RFIDとかまで手がけてるようで。

ちょっとマニアックですが、幕末とか明治維新とかに興味がある方なら充分楽しめる、なかなか面白い美術館だと思います。何気に愛知県の観光キャンペーンとかにも参加してたりしてて「ちゃんとやってる」様子ですし。

 

www.pref.aichi.jp