へんな旅ばかりしています。

へんな旅をしているようなので、自分のための防備録的にやってみます。

九州の観光列車乗りまくり!その7:平成筑豊鉄道「ことこと列車」でまったり汽車旅。

これも水戸岡デザインだよ。

 

博多から福北ゆたか線の快速で直方まで向かいます。

 

817系電車は以前は転換クロスシートだった筈ですが、そのシートをそのままロングシートに改造されてしまった様子。

 

車端に一部だけクロスシート部分が残ってました。

 

JRの直方駅はかなり立派な建物なのですが、殆どが店舗などのスペースに充てられており「駅」としての機能は最小限。待合室などもなく、座れるのは軒先のベンチくらいです。

 

駅の向かいに西鉄バスのターミナルがあるんですが、こちらはコンビニ併設ながら小さな待合室に乗車券販売窓口もあり、下手するとこっちのほうが快適じゃない?

 

そのJR駅舎の下にひっそりと、平成筑豊鉄道直方駅が。九州の観光列車もこれが4本目、平成筑豊鉄道が2019年に運行を開始した「ことこと列車」に乗車します。受付の際に「いやぁ遠くから来て頂いて…」みたいなことを言われましたが、近場の方の利用が多いのかしら。

 

「ことこと列車」はこのために改造された2両編成。見ての通り、これもやっぱり水戸岡鋭治デザインです。逆に九州の観光列車とかで水戸岡さんが手がけてないヤツって存在する?って感じだよね…。

 

車内はボックスシートと窓に背を向けて座る2名掛けのソファシートが設置されています。1名利用は基本的にソファシートがアサインされるのですが、今回は座席に余裕があるとのことで、1週間前に届いた最終旅行案内書には2名ボックスシートに変更します、とのお知らせがありました。キャンセル等も発生して余裕があるので、と結局、当日は4名ボックス席を一人でゆったり使わせてもらうことに。

 

座席は背の高いパーティションで区切られ、開放感と個室感がちょうどいいバランス、といった雰囲気です。

 

座席には既にテーブルセッティングがされていました。

 

この列車、およそ3時間ほどの行程となるんですが、ちょっと変わったコースを辿ります。直方から伊田線を田川伊田まで行って折り返し直方に帰還、そこからまた伊田線で田川伊田、そこから田川線で行橋まで、と同じ区間を1往復半するんです。なお、パンフレット類の「重石」に使われていたのは石炭。ここ筑豊エリアはその昔、炭鉱で賑わったエリアですからね。

 

こちらが本日のメニューなんですが、「ことこと列車」のお食事は福岡のフレンチレストラン「ラ メゾン ドゥ ラ ナチュール ゴウ」監修です。このレストランが実はヤバくて、「アジアのベストレストラン50」に何度も選出されているような名店で、「食べログ」評価点も4.0もあります。よくそんな店引っ張り出してきたな…。

 

ドリンクメニューは裏面に。飲み物は基本的に別料金です。

 

その中から1杯目として「福智町キティ」を注文。地元産の無花果のソルベが入っていて、溶かしながら呑む趣向です。

 

動き出すと程なく食事のサービスが始まります。最初に供されるのは「ことことボックス」、水戸岡デザインの風呂敷に包まれて登場です。なお、この風呂敷はお持ち帰りOK。

 

風呂敷を開けると、列車名の焼き印のついた木箱が。

 

中には沿線9市町村の名産品や名物を上手にアレンジした9品が詰め込まれていました。どれも一手間掛けていることが解るお料理で、なかなかハイレベルです。

 

続いて地ビール。「TAGAWA 元気が出るビール」のペールエールで、製造自体は門司港ビールのようですが、田川の田蔵という酒店でしか手に入らないものだそう。なお飲み終わった後、スタッフさんがビールのラベルを綺麗に剥がして「記念にどうぞ」と持ってきてくれました。

 

次に登場したのは「地元産ホワイトコーンのブランマンジェ」ですが、これがもう絶品でした。下がコーンを使ったムース、上が雲丹や蟹などを閉じ込めたコンソメジュレの2層なんですが、下の層がコーンの甘みを生かしていて美味。これに雲丹とか蟹とか合わせたモノが不味いわけがありません。スゴいなコレ。

 

ここで車内ではちょっとしたクイズ大会が始まりました。内容はこの「あかぢ」駅の名前を当てるというもの。当初は「あかじ」だったそうなんですが、流石にウチの会社でこの名前は洒落にならんだろ、と「あかぢ」に変更されたとか。

 

田川伊田までの往復を終えて、約1時間後に直方に戻ってきました。ここでは20分ほど停車となります。駅周辺の散策もできますが、「ことこと列車」には車内にお手洗いの設備がないので、トイレタイムとしても設定されているようです。

 

駅前には地元出身の大関魁皇」の銅像が立っています。博多から直方までは特急も走ってますが、その列車名もなんと「かいおう」。勿論この魁皇関が由来なんですが、国鉄時代も含めJRの列車名で存命の人物の名前が付いてる例はこれが初めてだったりします。

 

平成筑豊鉄道直方駅は非常に簡素ですが、待合室にベンチが2つ置かれています。これも水戸岡デザインだそうです。本当は駅舎のデザインを依頼したかったのだけど、予算が足りずにベンチだけ…となったそうな。

 

ホームでは地元の染物屋さんによる手ぬぐいの販売もありました。なかなか可愛い感じの柄も多かったです。

 

列車は今度は行橋を目指して発車。魚料理のブイヤベースが用意されました。

 

包みを開くと魚介の濃厚な香りが立ち上ります。プチトマトも一緒に煮込まれており、これを潰しながら食べると風味が少しずつ変わる、という仕立て。こちらも旨かったです。

 

魚料理を食べ終わるころに金田に到着。ここでも12分間の停車があります。

 

平成筑豊鉄道の本社があるのがこの駅で、「鉄印帳」もここで販売。駅周辺には2箇所の日帰り温泉があって、それぞれ駅からの送迎バスがあるなど、そこそこ「拠点駅」になってるみたいです。

 

駅前には、「ことこと列車」を模したポストがあって、これが見どころの一つになっています。

 

「ことこと列車」の改造を手がけた会社が造ったそうなんですが、よく見ると足下の車輪のあたりとか無茶苦茶凝ってます。

 

車内に戻ると、肉料理が既に用意されていました。和牛のローストにはエディブルフラワーで飾られた小さなエクレアが添えられています。適温で提供されましたが、どうもこの列車のために金田駅に厨房を用意し、そこから出来たてを運んできているみたいです。

 

加えてバゲット門司港名物「焼きカレー」も、これも熱々です。厨房のない列車で料理を提供するにあたって「駅で積み込む」オペレーションは肥薩おれんじ鉄道の「おれんじ食堂」でも行っていましたが、いろいろ大変だろうなぁ…。もちろんお肉も焼きカレーも至福の旨さでございました。ごちそうさま。

 

先ほどは「ただ折り返しただけ」の田川伊田には、今度は15分間停車します。

 

ホームでは地元の特産品を販売するマルシェを開催。このままお家に帰るならいろいろ買えるんだけどな…。

 

田川伊田を出るとデザートタイム。地元の酒蔵の「九州菊」を使ったムースの入ったパフェが枡で供されました。

 

お供に和紅茶をお願いしました。

 

油須原駅で10分ほど停車。

 

この沿線では最古とされる駅舎がそのまま残っており、ロケなどでもよく使われるそう。

 

駅舎内も綺麗に整備されています。

 

駅事務室も公開。鉄道電話とか実演してくれますよ。

 

ここで「第2石坂トンネル」を通過。九州最古のトンネルとして登録有形文化財になっているところです。複線用として掘られたため、単線の線路に比べると大きめになっているのが解ります。

 

先ほどのデザートで使われていた「九州菊」の蔵元ですね。

 

崎山八幡神社の前を通過。ここは一の鳥居と二の鳥居の間を線路が横切っているという構造なのに加え、狛犬が何故か逆立ちしてたりするという珍スポットです。

 

最新しく開業したばかりの「令和コスタ行橋」駅を通過し、終点の行橋に到着です。「令和コスタ行橋」は「コスタ行橋」というモールへのアクセス駅として開業しましたが、水害で開業が延期になったうちに年号が令和に変わったので「令和」も駅名に追加したという経緯が。実はこの「平成筑豊鉄道」という社名も、本当は別の名前で決まっていたそうなんですが、新社名の発表日に「平成」の年号が発表されたため、急遽ソレいただき!と付けられたんだそうです。なんかミーハーな会社って気も…。そういう社風だからなのか関係ないのか、スタッフの皆さんは非常にフレンドリーかつサービスレベルが高く、楽しい旅となりました。おそらく九州外ではあんまり知られていないのかもしれませんが、コレ結構掘り出し物ですぜ皆さん。