へんな旅ばかりしています。

へんな旅をしているようなので、自分のための防備録的にやってみます。

古の観光ルートを辿る旅、その1:フラッグシップふたたび、「さんふらわあくれない」乗船記。

気合い入ってるってことだね。

 

大阪まで近鉄特急「ひのとり」で移動。そういえば近鉄、この4月から大幅な運賃値上げの予定です。名古屋~難波までの運賃も現行の2410円から2860円とおよそ2割もの上昇。「ひのとり」の料金と合わせると合計で4990円になるんですが、名古屋~新大阪を新参戦自由席で移動するのに比べ1000円程度の差でしかなくなってしまいます。「EX予約」なら5680円ですし、2名以上からしか使えませんが「EXこだまファミリー早特」4280円や「ぷらっとこだま」通常期4800円だと近鉄「ひのとり」より安くなってしまいます。近鉄、大丈夫? 昔は近鉄名阪特急の回数券が出回っており、3500円くらいで往来できたので「安さ」では圧倒的だったのになぁ。

 

「ひのとり」は車端部のディスプレイが2面になっており、駅名も日本語+外国語で掲示されます。「津」ってハングルで書くとかわいくない?

 

大阪メトロでニュートラム「トレードセンター前」駅で下車。今日はここから「フェリーさんふらわあ」の新造船「さんふらわあくれない」に乗船し、別府を目指します。

 

これが今年1月に就役したばかりの「さんふらわあくれない」です。瀬戸内海を航行するフェリーとしては最大級の大きさで、全長199.9m、総トン数1万7300トン。LNGを燃料にするのも日本のフェリーとしては初で、船尾の燃料タンクが目立ちますね。

 

ターミナルエリアの一角には「さんふらわあミュージアム」がありました。

 

ここでは「フェリーさんふらわあ」の前身となった関西汽船や「さんふらわあ」の歴史についての展示がありました。

 

見どころは船舶模型じゃないでしょうか。これが今日これから乗るフェリーの名前の由来となった「くれない丸」です。大阪と別府を結ぶ航路は関西汽船が開拓しましたが、ここに投入されるフラグシップ船には代々「くれない丸」「むらさき丸」の名前が付けられてきました。これは3代目にあたり、1960年に就役しました。当時としてはかなりの俊足で、昼の瀬戸内海を航海する観光ルートを形成しました。設備もかなり豪華で「瀬戸内海の女王」と呼ばれていたそう。

 

そしてこちらが1972年に登場した初代の「さんふらわあ」です。今は「マリックスライン」となった照国グループが「国際級の豪華船」を目指して建造しました。確かに当時の常識を越えるハイグレードなフェリーは大きな反響を呼び、「さんふらわあ」ブランドが広く知られることとなったわけです。2番船は「さんらいず」という名前が付けられる予定だったところ「さんふらわあ」があまりにも人気になったため「さんふらわあ2」になったなんてハナシも…。ただ豪華フェリーをどんどん作る過大な投資や海運不況のため数年で経営は行き詰まってしまいます。で、紆余曲折を経て「さんふらわあ」ブランドは商船三井傘下に収まることになりました。「さんふらわあくれない」の船名は「豪華フェリーの代名詞」+「関西汽船フラグシップ船」という、なかなか気合いの入ったものと言えるのかもしれません。

 

これは1971年に就役したフェリー「まや丸」。関西汽船は伝統的に純客船を運航してきていましたが、この頃になると長距離航路はカーフェリー化が進んできており、その流れで投入されたもの。ただし乗用車しか搭載できないものでした。新幹線の博多延伸もドル箱だった関西~別府航路に打撃を与え、本格カーフェリー化が進行し、瀬戸内の風景を楽しめる昼行便もいつの間にか姿を消してしまったわけです。

 

ターミナルのオフィスで乗船手続き。「全国旅行支援」の対象となるため、その手続きで通常より時間がかかっているようでした。

 

乗船口はこちらから。すぐそばに「ガスト」もあって便利。もともとここATCには店舗もいくつか入っており、「ダイソー」なんかもあったりします。

 

待合室も用意されています。この向かい側にコンビニ「ローソン」が。

 

乗船開始は午後6時半ころ。ここから見ても結構デカいな。

 

では潜入。

 

エントランスを潜ると広いロビーが。

 

中央は3フロア吹き抜けとなっており、大きな階段が設置されているのが印象的。

 

デッキプランはこんな感じ。客室は6階・7階・8階と3フロアにあり、8階は上級客室専用フロアみたいになってます。レストランやショップは6階、展望浴室は7階です。

 

客室の通路には昔のポスターのレプリカなどが飾られていました。

 

昔の観光地図もあって、なかなか見てると面白い。

 

今回利用したのは「スーペリアシングル」。窓はありませんが広さは意外とあります。この「さんふらわあくれない」、1名向けの個室も多めに設定されているんですが、外から施錠できるのは「スーペリアシングル」だけ。これより下の「プライベートシングル」などは内鍵だけしか施錠できないんですよね…。設備としては冷蔵庫まであったりしますが。ベッドの上にはナイトウェアにフェイスタオル、歯ブラシが置かれていました。

 

ベッドの足下側にはテレビ、その脇には小さなデスクもあります。

 

空気清浄機も置いてありました。スリッパは使い捨てですが、「さんふらわあ」マークの入ったなかなか立派なもの。

 

「スーペリアシングル」はバス・トイレ付き。とはいってもシャワールームがあるだけでカーテンで仕切れる程度の大きさですから、使い勝手は微妙かも。まぁ大浴場があるから別にかまいませんけど。

 

客室の区画には給湯室も。製氷機や電子レンジも設置されていました。

 

出航前ですが先に夕食、ということでレストランへ行きました。

 

食事はビュッフェスタイルでの提供で、広いエリアに2箇所に分散して料理が配置されています。お一人様でも使いやすいカウンター席が多いのは有り難いかな。

 

ソフトドリンクは料金に含まれています。アルコールはこちらに生ビールの自動販売機がありますのでコチラから。

 

そのほか、カウンターで対面販売しているお酒も。

 

レストラン内には自動販売機もあって、缶ビールなどは市場価格に近い値段で売られていました。

 

「就航記念」を謳っていたのでいつもより豪華なのかしら。関西や九州の名物料理が数多く用意されていました。

 

もうちょっと頂きますよ。

 

カレーは外せないぞ。

 

デザートまで頂いて満足。まぁまぁ旨いですよ。

 

食事が終わる頃、大阪南港を出港しました。

 

1時間ほどで明石海峡大橋を通過。多くの乗客がデッキに集まっていました。

 

ちょっと船内を見てみます。こちらは案内カウンターとショップ。

 

案内所の隣には貴重品ロッカーなどが。

 

大型荷物のロッカーもあります。コイン返却式ってことは無料だね。

 

自動販売機はアイスクリームやカップラーメンなどもありました。

 

中央の大階段の裏手はキッズコーナー。こんなオープンな感じのキッズコーナー、フェリーでは珍しい気がする。

 

吹き抜けの天井では毎晩プロジェクションマッピングが行われます。

 

最後にお風呂にでも。浴室には大きな窓が設置されており、特に朝は海がよく見えて爽快です。

 

翌朝、お天気はよさそう。

 

別府の街が近づいてきました。

 

別府港のターミナルは新造船就航に合わせ新築されたもの。奥には旧来のターミナルがありますが、あちらの大きな「ようこそ別府へ」のネオンサインも風情があってよかったような気が。

 

港にはタンクローリーが待機しています。恐らくLNG燃料の補充でしょうか。

 

徒歩乗船者の下船案内の放送があり、ロビーへ集合。

 

このターミナル、1階と搭乗階を結んでいるのがエレベーターのみ、ってのが少し不便な気が。荷物が小さければ確実に階段から行った方が速いです。

 

新ターミナルの全景。最小限の設備しかなく、お土産購入とかはココで済ませるわけにもいかんだろうしなぁ。

 

この「さんふらわあくれない」、嘗ての豪華で知られた看板船の名前を再起用しただけあって、かなり豪華さとかには気を配って建造されたという感じです。個室化が進む最近のカーフェリーにあって、パブリックスペースが非常に多いのも印象に残りました。