さて、タイからの帰国にはタイ・エアアジアXを利用したのですが、足下が妙に広く感じました。
はたして、気のせいなのか。ホントに広かったのか。
気になったので検証してみます。
エアアジアのウェブサイトによると、エアアジアXやタイ・エアアジアXが使用するA330-300については3種類のシートマップが掲載されています。
「Aタイプ」として掲載されているもの。前方に「プレミアムフラットベッド」が12席あり、恐らくこれが一番一般的なタイプかと思われます。
「Cタイプ」として掲載されているものですが、「プレミアムフラットベッド」が30席もあり、Aタイプに比較するとエコノミークラスが横9列ではなく横8列と1列少ないのが目立ちます。昨年秋頃、「タイ・エアアジアXが元シンガポール航空の機材を導入し、座席配置そのままで暫く使うので乗り得、シンガポール航空ビジネスクラスの座席にお安く乗れる」と話題になったのがコレでしょう。
で、「Dタイプ」ですが、全てエコノミークラスの配置となっており、「プレミアムフラットベッド」の設置がありません。ラバトリーの位置などから推測すると、「Cタイプ」を改装したものではないでしょうか。また、その前には元中国東方航空の機材も暫くそのままの座席配置で使われていたようですが、これを改装したものもあるかもしれません。
今回、自分が乗ったのは全てエコノミークラスとなっている「Dタイプ」だったようです。座席は後方の通路側でした。
A330-300には片側4箇所のドアがありますが、前から3番目と4番目のドアの間には、「Dタイプ」だと15列の座席が並んでいます。
この「Dタイプ」の元と思しき「Cタイプ」の場合、窓側には15列、中央には16列並べられていますので、やっぱり座席間隔としてはレガシーキャリアと同じような配置になっており、「広いな」と感じたのはどうも気のせいではなさそう。とはいえ、横の幅については通常レガシーキャリアが8列のところを9列にしていますので、こっちについてはエアアジアX標準の「狭さ」ですけどね。
なお、「Aタイプ」を見ると、この部分については窓側は17列、中央は18列が配置されてます。最後尾のラバトリーの配置が「Cタイプ」「Dタイプ」が最後部ドアのより前にあるのに対して「Aタイプ」は最後部ドアの後ろにあるようなので、単純に「2列分多い」とは言い切れませんが、ラバトリーの幅が座席2列分までは占めないと思うので、やっぱり「Aタイプ」よりはシートピッチ広めなのではないか、と推測されます。
なお、他のA330-300を使用する航空会社を参考までに調べてみました。A330-300を一番多く保有しているのはキャセイパシフィック航空らしく、この会社なら日本人が使う機会も多いだろうな、と。キャセイのウェブサイトには3種類の座席配置パターンが紹介されており、その中で最も座席数が多いのがこちら。
4番目~5番目ドアの間は左の窓側17列、右の窓側16列となっています。とはいえ、他の2タイプはヘリンボーンスタイルのビジネスクラスを搭載した長距離向けらしく、この部分は1列分、そちらの方が少なくなっています。やっぱり、「15列」というのはなかなか悪くない数値っぽいです。
しかし。
ここで私は、とてもヤバいコトに気がついてしまいました。
エアアジアXの「Dタイプ」を再度見てみましょう。
1番目~2番目ドアの間は横9列配置が縦に12列並んでいますので、合計108席。いやぁ、この部分ってその前は30席のビジネスクラスが並んでいたんですが、座席数が3倍以上に増えています。そりゃビジネスクラスの運賃が高いわけだわ。
2番目~3番目ドアの間については、横9列が縦に15列続き、最後部は横7列。合計142席ということになります。
3番目~4番目ドア間ですが、横9列が縦に9列、その後ろは横7列になって縦6列が続きます。合計で123席ですね。
これを合わせると、この機材のトータルの座席数は373席。
あれ?
エアアジアXの「プレミアムフラットベッド」のある標準的な機材だと、座席数は「プレミアムフラットベッド」12席にエコノミークラス365席なので、合計で377席。
同じサイズの飛行機なのに、2クラスの機材よりもモノクラス配置の方が座席数が少ないの? それってやっぱり、モノクラスの方が1席当たりの配置スペースは多いってことじゃん…。
A330-300はエアバスのウェブサイトによれば、座席数は最大440席との記載。
実際、全席エコノミークラスにしている例ってあるのかな、と調べたら、フィリピン航空がハッジチャーター用に414席配置というのを一時使っていたようです。
現在も運航中のものでは、チャーター会社の「XL AIRWAYS」に408席という仕様の機材があるようです。
https://www.xl.com/en/our-fleet
つまり、やろうと思えばもっと座席を詰め込めたはずなんです、エアアジアさんも。
それが、何故やりすぎてないのかは、もしかしたら「ドア」のせいではないか、と推測します。
航空機は、基本的に緊急時には90秒以内に旅客の全員が脱出できるように作られていないといけない、ということになっています。しかも「ドアは全部使えない」前提で考えなきゃいけない。
で、A330-300ですが。
こちらが、エアアジアXに最初からデリバリーされたタイプ。
こっちは、元中国東方航空だった機材。
画像が解りにくくて申し訳ないですが、前から3番目、主翼のすぐ後ろのドアの大きさが違っているのが解るでしょうか? 1枚目の画像の機体には他と同じ大きさのドアがついているのに対し、2枚目の方は他よりも小ぶりなドアになっています。
もしかしたら、この「3番目のドアがちょっと小さいよバージョン」のA330-300だと、「90秒ルール」が守れるトータルの乗客数が370名くらいになるので、そのために「やむを得ず」ゆったり目配置になっているんじゃないでしょうか。
そうなると、流石に「ドアを大きなモノに取り替える」のはちょっと難しそうなので、この座席配置は一時的なモノではないかもしれません。
あとは座席数トータルをある程度揃えるため、という可能性もあります。都合によって直前に使用機材が変わることは航空会社では時々ありますが、そのときにあまり座席数が違いすぎる機材があると、「座席数が多い機材」から「座席数が少ない機材」へ変えなきゃいけないときには「座席が足りずに乗れない」お客さんがその分、発生することになります。最悪、クラスを変わってもらうだけで済むのであれば、その方が後々の影響が少なそうですし。
そんなわけで、とりあえず今のところは「タイ・エアアジアXを利用するときに全席エコノミークラスの機材だったら足下に余裕あるかもよ」というお話でした。