JR東日本の会員組織「大人の休日倶楽部」。50才から入会可能で、切符の割引など様々な特典が要されているのですが、一番の目玉?なのが「大人の休日倶楽部パス」かもしれません。JR東日本エリアを4日間、新幹線や特急も含めて乗り放題で、お値段なんと15270円。しかもJR線だけでなく青い森鉄道などの並行在来線や伊豆急などの私鉄も一部利用範囲に入っていたりします。指定席も6回まで利用可能と、そのお買い得感は相当なモノですが、残念ながら利用できるのは年間で3~4回程度、それぞれ10日間ほどの期間に限定されています。また「指定席6回まで」というのが意外と曲者で、というのもJR東日本エリアには「はやぶさ」のような全席指定の新幹線や「あずさ」「踊り子」などの在来線特急でも全席指定が基本のものが多数あるため、「6回をどこで使うか」というのは結構練らないといけなかったりします。
「大人の休日倶楽部」には昨年入会していたのですが、入会の目的の相当分を占めていたのがこのパスを使うこと。この6月、やっと利用するチャンスがありました。今回はとにかく鉄道に乗り倒してやろう!とプランを組みました。
「大人の休日倶楽部パス」が有効なのはJR東日本エリアですので、もちろん名古屋から適用されるエリアまでの移動は別途用意しないといけません。名古屋からだと塩尻まで出るのが距離的には一番近いのですが、東京駅へ早朝に着きたかったので夜行バスを利用しました。なお、パスの購入は前日までにJR東日本管内で行わないといけないのですが、これは5月末の「レストランHONU」参加の際に済ませておきました。今では「えきねっと」での購入が可能になったので、こういう苦労は不要です。
夜行バスでの移動は久しぶり。東名ハイウェイバスの「ドリーム号」では現状で最上クラスとなる「プレミアムシート」を奢りました。2階建てバスの1階部分に3席のみ用意されていますが、厚いカーテンに囲まれ「ほぼ個室」。シートも大きく深く倒れるのでぐっすり眠れました。JR東海バスもこれまで「ドリーム号」の主役だった2階建てバス「エアロキング」が老朽化で引退が進んでおり、新しく導入されたスカニアへの世代交代が進みつつあります。新しいバスにもこういうシートが装備されてくれればいいんだけど。
翌朝6時、東京駅に到着。
早速パスを使って一駅隣の神田まで。駅前の「快活CLUB」でシャワーを使わせてもらいました。現状、東京駅の周辺には早朝に到着して入浴やシャワーができる所が殆どありません。以前駅前にあったネットカフェも閉業してしまった様子。「VIPラウンジ」はありますが、基本的には高速バス「VIPライナー」利用者向けの施設で、入場料とは別途にシャワー利用で550円かかるなど、ちょっとお高め。「快活CLUB」だとシャワー利用に別途料金がかからず通常の使用料だけで済み、タオルも使えるのがありがたいところ。幸いなことにちょうど空きが出てすぐ利用できました。
東京駅に戻り、ここから新潟へ向かいます。乗車するのは「Maxとき」です。
やってきたのは今年秋に引退が決まったE4系。オール2階建ての8両編成という収容力で活躍してきましたが、最高速度が240km/hと他の新幹線車両より鈍足なことが災いし撤退となりました。実はもっと早い時期にリタイアする予定だったのですが、2019年の台風で北陸新幹線のE7系が水没により半減してしまったため、それをカバーするために延命したという経緯があったりします。JR東日本のオール2階建て新幹線といえばこの一代前のE1系から始まってますが、新幹線通勤の増加に対応するために登場したもの。E4系が引退すると新幹線からダブルデッカーは消えることになるのですが、輸送力よりも速度が重要になってきているんでしょうね。
車体にはE4系ラストランのラッピングが。
車内に入ると、1階と2階へ繋がる階段がどーんと鎮座しています。
2階席の指定席を確保し、いざ出発。
ちょっとした防音壁など越える2階席からの視点の高さ、魅力だったんですけどね。
新潟駅に到着。
ここで新津行きの各駅停車に乗り換えました。新津かでは電化区間ですが、投入されているのはGV-E400系。3両も繋がってます。
新津からは「SLばんえつ物語」へ乗車して会津若松まで向かいます。以前はこの「ばんえつ物語」、新潟発着でした。それが新潟駅の高架化で勾配を登れなくなったため、新津発着に改められたようです。先ほどの新津行き普通列車も、ほとんどSLへのフィーダーみたいなものなのかもしれません。
今日はグリーン車を奮発。
「SLばんえつ物語」のグリーン車は横3列、クラシカルな雰囲気のシートが並びます。この列車は全席指定なので普通車でも指定席料金530円がかかりますが、グリーン車指定席は1700円。それほど無茶苦茶高いわけでもなく、ボックスシートの普通車との設備の差を考えれば妥当な感じかも。
グリーン車には展望スペースもあり、会津若松行きはこちらが最後尾になるので後面展望を楽しめます。グリーン車への立ち入りはグリーン車の乗客に限られており、車掌によるチェックも行われています。この展望室に入れるのもグリーン車を選ぶ大きなメリットです。
では出発進行! 早速朝からこんなことをしてしまいます…。実は「大人の休日倶楽部パス」の特典として、NewDaysなどのエキナカでのお買い物が10%割引になるというのがあったりするんですよ。
展望室から阿賀野川沿いの風景を楽しみながら、列車は進んでいきます。
途中、津川駅で16分の停車。ここでSLへの補給や点検を行っているようです。乗客にとってもSLとの撮影タイムになります。
このあたりで昼食。新津駅で購入した駅弁「SLばんえつ物語弁当」です。
鶏に鮭に帆立やイクラなど、なかなか豪勢ですな。
車内には売店もありました。
こちらでアイスを買って食後のデザートとしました。
山都駅でも10分の停車。こちらはSLが停車するホームの先がちょっとした見学スペースのようになっていました。
新津からたっぷり3時間半かけて会津若松に到着しました。
SLとは一旦ここでお別れ。
お次は快速「あいづ」で郡山まで向かいます。
快速「あいづ」には昨年から車両の一部にリクライニングシートを設置した指定席が導入されました。こちらを試してみようと思ったのですが生憎満席。ただ自由席も空いてたので問題なかったんですけどね。
郡山駅に到着。
郡山始発の「なすの」へ乗り換えました。
各停タイプですが最新鋭のE5系が使われていました。
郡山駅でご当地グルメ「クリームボックス」を発見したのでおやつに頂きます。郡山の隠れた名物なんですが、駅周辺で売ってるところが意外とないのよね。
郡山から4駅目の小山まで乗車しました。フリーパスだとこういう短い区間でも気軽に新幹線を使えるのが嬉しい。
小山からは両毛線で前橋方面へ向かいました。時間的にはそのまま東北新幹線で大宮まで出て、そこから高崎行きの上越・北陸新幹線へ乗り換える方が早く着くんですけど、それもちょっとつまらないかなぁ、と思いまして。
どこかで夕食を…と伊勢崎駅で下車しました。
やってきたのは駅前にある「ぎょうざの満州」。埼玉中心のチェーンですが、普段なかなか行く機会がないお店でもあります。
ベーシックに餃子定食を頂きました。「餃子の王将」とかに比べると皮がすこし厚めな印象で「おかず」よりは「主食」よりなのかな。これはこれで旨いけどね。
既に夜8時というのに水上駅前は妙に賑わっており、お店も開いています。それというのも今日は年に数日しか運転されない「SL YOGHISYAみなかみ」の運転日だから。例年はホタル観賞のバスツアーが出たりと様々なイベントがあるようなのですが、今年は新型コロナのこともあって、イベントっぽいものはナシ。駅前店舗の営業時間延長と、ちょっとしたライブなんかがある程度でした。
駅の近くの転車台の方へ行ってみます。
このあたりは公園としても整備されており、静態保存のSLも置かれていたりしました。
高崎からの下り列車を牽いてきたSLはすでにこちらで方今転換済みだった模様。
奥の方から客車牽引のために出てきました。
水上駅に戻り列車へ。この「SL YOGISYAみなかみ」の客車は昔から使われてきた旧型客車です。ちょうど先ほどのSLが連結されるところでした。
「SL YOGISYAみなかみ」を率いるのはD51。ヘッドマークも特製です。
車内はボックスシートが並びます。
水上駅を発車する際、花火でのお見送りが。
車内の雰囲気はすっかり夜汽車です。この日は客車のバッテリーの調子が悪かったようで、車内照明が消えてしまったりしたことも。ただ、それはそれで「夜行列車で減光しました」的な雰囲気でナイスでした。
こちらも車両の一部を改造して売店が設置されています。
座席のボックスのテーブルには栓抜きもそのまま残されています。そのため、売店では瓶のドリンクも売られていたりするので、コレを使うことも可能。
途中、沼田駅で暫く停車。列車をじっくり眺める時間がありました。
渋川駅でも20分ほど停車しました。
各駅停車でも1時間程度の距離にほぼ倍の時間をかけて、終着の高崎駅に到着です。この時間でもまだ東京や長野への新幹線に乗り継げるんだよね…。
ムードのいい客車ともここでお別れ。
今日の旅程はここまで。高崎で一泊です。
今夜のお宿は高崎駅東口すぐの「ホテルサンコー高崎」です。
ごく一般的なビジホのシングルといったところですが、リニューアルされたようで室内は綺麗でセンスいい感じに纏まっていました。