へんな旅ばかりしています。

へんな旅をしているようなので、自分のための防備録的にやってみます。

令和元年17発目、アブダビ経由のフランス。その10:ホテル・ル・コルビュジエに泊まる。

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マルセイユ・サン・シャルル駅から地下鉄とバスを乗り継ぎ、やってきました今日のお宿。「ホテル・ル・コルビュジエ」です。今回、マルセイユまでやって来たのはコレが目的。

 

この建物「ユニテ・ダビタシオン」は、世界三大建築家の一人に挙げられるル・コルビュジエが設計した集合住宅です。第2次大戦後の復興計画の一環としてフランス政府が庶民向けの住宅供給について依頼を受け、1952年に完成しました。実はル・コルビュジエはそれまで、どちらかといえば住宅など小規模な建築が中心だったのですが、その中でも初の大規模なプロジェクトにあたります。また、それまでル・コルビュジエが提唱していた「輝ける都市」構想や「近代建築の5原則」の集大成とも言われ、2016年に登録となった世界遺産の17点にも含まれています。そんな「ユニテ・ダビタシオン」の中にホテルがあり、是非泊まってみたいと思っていたんです。

 

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この「ホテル・ル・コルビュジエ」ですが、フロントは夜9時までのオープン。マルセイユ空港を出たのが夜8時頃だったので遅れそうな旨を電話で連絡したのですが「大丈夫」とのお返事。結局ホテルに着いたのは9時15分頃だったのですが、玄関ロビーの守衛室で部屋の鍵を預かっていてくれていました。

 

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今回宿泊したのは一番小さいシングルルーム。ちょっと変わった構造で、こちらが部屋へのドアなのですが、これはシングル2室分の入口になり、この中にそれぞれの部屋への扉があります。で、トイレだけが2室共用で、この扉の中に設置されているんです。もともとは居住者のゲストルーム(居室が家族4人用をメインにしているので、両親が遊びに来たよ!みたいな時に泊める場所)だったものをホテルにした、ということらしいです。

 

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こちらが室内。ベッドにデスク、非常に簡素な感じです。大きな家具で部屋に仕切りを作るのはル・コルビュジエの建築でよく見られるパターン。

 

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ドアの方を見たところ。扉にはル・コルビュジエの建築にはつきものともいえるモデュロール君がどーんと描かれていますが、夜中に見たらちょっとホラーでしょコレ。

 

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トイレは共用ですが洗面所とシャワーブースは部屋の中に。

 

 

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一晩明けて、部屋のバルコニーです。宿泊費は1泊目が78ユーロ、2泊目が89ユーロと何故か価格が違っていました。これに3.3ユーロの宿泊税が1泊毎にかかります。正直、ホテルとして凄く快適かとえいば微妙な面もあったりましますが、ル・コルビュジエ設計の世界遺産にもなった建物に泊まって住民のように過ごせる体験はまさにプライスレス。建築が好きなら泊まる価値は充分あります。

 

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早速、建物を観て廻りましょう。こちらはエントランスのロビー、奥に守衛室とエレベーターホールがあります。

 

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正面のエントランス前には車寄せがあります。もともとル・コルビュジエの「輝ける都市」というのは「これからはクルマ社会だから道路を広く取って歩行者と分離して、住宅部分は高層化すれば公園とかのスペースを広く取れるよね」みたいな考えなので、クルマを使うのは前提、ってことだったんでしょう。

 

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ル・コルビュジエの「近代建築の5原則」の一つであるピロティはこの建物を強く印象づけるもの。マッシブさを感じさせる太い柱で建物が支えられています。

 

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では、外観を鑑賞します。

 

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ホテルのあるフロアは表記上「3階」で、エレベーターでは「8階」までなのですが、実質は18階建てのビルであり、「3階」は8階にあたる位置にあるます。この画像だと右側のルーバーみたいな窓になってるところです。これは、通常の居室が1フロアと半分のメゾネット形式になっていて、それが上下に組み合わさって「3フロアで1体」みたいな構造になっているため、エレベーターが停止するのがおおよそ3階に1階くらいになっているためです。それにしても「庶民向けの住宅」でメゾネットとか贅沢でいいなーフランス。

 

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周囲は緑地になっています。

 

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外壁にもモデュロール君がいっぱいいるじゃん。

 

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全部で337戸、最大1600名が暮らせる大きさなので、なかなか全貌を収めるのが難しいくらいです。

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屋上も見学できます。

 

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屋上からもマルセイユの街が一望できます。

 

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屋上にも様々な機能が。周囲はジョギングコースになっており、ここに見える建物は以前は体育館として使われていたらしいです。

 

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ちょっとしたイベントスペースみたいになっています。

 

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こちらは以前は保育園があったところ。通常は見学不可なのですが、宿泊者は立入OKということになっています。

 

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このピロティの上のところが保育園だったようです。その下にはプールや広場など、子供達が遊び場にしていたんでしょうね、というエリアが。

 

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時期的にプールには水が張られていませんでしたが、雰囲気を感じることはできました。

 

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3階は商店街として設計されたエリア。この建物の中で生活が完結することを目指して、保育園に加えショップや郵便局なども設置していたとのこと。こちらのベーカリーは竣工当時から営業しているお店だそうです。

 

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昔はスーパーマーケットまで営業していたそうで、ここがその「跡地」。今はイベントスペースとして貸し出しています。

 

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ここがメインのショッピングアーケード的なエリア。今ではお洒落なブックストアやセレクトショップなど、日常使いという感じでないお店になっていますが。

 

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上の階にも商業エリアがあったようです。

 

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今では「お店」ではなく、会社のオフィスなどが入居しているようでした。

 

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この「ユニテ・ダビタシオン」、マルセイユでもかなり「推し」施設らしく、建物前のバス停はその名も「ル・コルビュジエ」。

 

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ここまではマルセイユ地下鉄2号線の「Rond Point du Prado」駅で下車してバスに乗り換えて行くのですが、バス停の近くに出ている看板がコレ。「Immeuble」はフランス語で「建物」の意味。つまり「ル・コルビュジエの建物はこちら!」って案内表示なんですよね…。