新潟の第3セクター鉄道「えちごトキめき鉄道」がJRから国鉄型電車を買い取って今年から運行を開始した「観光急行」。
この夏に早速乗ってきたのですが、当時は単に有料急行として運行していただけでした。その後次第にパワーアップ?してきており、指定席が導入されたかと思ったらいつのまにか食事などのサービス付きになっていたりします。そしてついに「455系に一日中乗る」なんてヤバいプランが出てくる始末。これがなかなかの人気のようで、見ると満席の日も珍しくない感じです。11月からは一部日程で夕方の飲み放題付き「バル急行」なんてのも始まりましたが、その初日の席がちょうど空いていたので、再訪することにしてみた次第。
名古屋から直江津までどう行くか、ってのは意外と難題です。結局、最終の特急「しなの」で長野まで行って一泊、翌朝のしなの鉄道で妙高高原へ出てえちごトキめき鉄道管内へ入るルートとしました。
長野まではおよそ3時間。
もう10時過ぎですが晩ご飯を。駅前の「みそ家」に入りました。
この周辺でも高評価の味噌ラーメンを戴きます。
宿泊は「ホテルアベスト長野駅前」。名前の通り、ホントに駅の目の前という便利なロケーションです。
客室はごく普通のビジネスホテル、といったところです。最上階の10階にはフリースペースがあり、自由に戴けるコーヒーメーカーがあったりするのがちょっと気が利いてます。
翌朝は6時過ぎに長野駅へ、ここから「しなの鉄道」で妙高高原まで向かいます。車両は今ではレアになりつつある1115系、これも国鉄時代の車両ですね。
妙高高原で「えちごトキめき鉄道」の直江津行きに乗り換えです。車内で観光急行も含め1日乗り放題になる「ホリデーツアーパス」を購入しました。「朝から晩まで455」は指定席+サービス料で1ボックス1名で10800円かかるのですが、コレに加えて3000円の「ホリデーツアーパス」の購入が必要ということになっています。つまり、都合13800円が必要、となるわけですね。
直江津駅に到着したのは朝8時。
ここから「455系+413系」の約11時間の旅が始まります。まずは妙高高原まで追加料金不要の快速として往復してくる運用からスタート。
指定席になるのは3両の中で一番「急行」っぽいクハ455。もともとは急行用として社内にはボックスシートが並び出入口には客席とを仕切るデッキもあったはずなのですが、通勤仕様へと改造され一部はロングシートとなり、デッキも撤去されてしまいました。それでも昔ながらの直角シートのボックスが並ぶ姿はやっぱり「国鉄時代の急行電車」の雰囲気を色濃く残します。
ボックスシートは基本的に1名で占有となります。片側の座席スペースを覆い隠すほどの大きなテーブルが設置されていました。
直江津駅での受付時には「しおり」が配布されます。
本日の行程などの詳しい説明も入っていました。
今日乗車する6区間分+バル急行の指定券まで用意されていました。これも昔の窓口で売られていた手書きの指定券を模したもの。国鉄時代のきっぷのレプリカみたいですが、ホントの鉄道会社が発行しているコレはホンモノでもあるよね…。
さて、妙高高原行きの快速車内で早速最初のサービスが出てきます。
コシヒカリのおにぎりとお茶の朝ご飯です。いかにも「手作りおにぎり」といった佇まいが素敵。
遠くの山々を望みながら、まったりとした時間が流れます。
直江津駅に帰還。
ここで40分ほどの折り返し時間のあと、今度はいよいよ「急行」として市振まで走ります。
ホームに戻ってくると、自由席利用のお客さんもかなり増えてきた感じです。
急行車内ではパンフレットと記念乗車証が配布されました。
能生での運転停車は健在。
能生停車中に積み込まれたランチの釜飯がテーブルに用意されていました。能生駅前のお店が用意したもののようです。
フタを開けると「蟹いっぱい釜飯」の名に恥じないレベルで蟹がギッシリです。蟹汁も濃厚な出汁が出ていて美味。これだけで2000円くらいは平気で取るレベルじゃない?
お茶も用意されているのですが、昔の駅弁に付いてきたようなプラ容器ってのがいいですね。というか、コレってまだ手に入るものだったんだ…。
食後にはデザートまで出てきました。「あん味堂」の「あんショコラ」というチョコ味の羊羹なんですが、これも旨い。お店で常時販売されているわけではなく、高田の料亭「宇喜世」でデザートして出されているものらしいです。
糸魚川を出ると姫川を渡ります。
終点が近くなると、車内には「お賽銭箱」が回ってきます。日本広しといえども乗客にお布施を求める列車なんてココくらいかと思われますが、よく考えてみりゃ割と合理的かもしれません。クラウドファンディングみたいなモンだと思えば納得感あるような…。
なお、お布施のリターンとしてはお札が貰えます。
終点の市振に到着。殆どのお客さんがここで折り返しの直江津行きに乗車するようです。
復路では名立で運転停車がありました。
ここは橋の上にホームがあります。この名立駅、北陸本線の旧線ではもっと海沿いにあったらしいのですが、複線化に伴ってこの付近を長大トンネルで抜ける案が出て廃止になりかけた、という経緯があったようです。結局、周辺の自治体とも連携して駅廃止反対運動を行った結果、今の位置に駅を造ることになったんだとか。
直江津に戻り、ここで約30分の折り返し時間。
待ち時間を利用して駅のそば家「直江津庵」へ。
軽く「もずくそば」を頂きました。
11月だと日も短くなり、午後3時で夕方の雰囲気。
この車内では「スイーツを提供します」とのことだったのですが、思ったよりデカい箱で登場してきたじゃないですか。パッケージの包装も特製、「パーラーカー」ってのがツボですわ。
フタを開けると、かなりガッツリと「ちゃんとした」スイーツセットでした。上越IC近くの「パティスリー リ・リ」というお店のもの。一緒にコーヒーも提供されます。
この列車も能生での運転停車がありました。
およそ50分で糸魚川に到着しました。
実はこの企画、各駅での折り返しの際にも列車から降りずに車内で過ごすこともOKになっています。糸魚川では発車番線の入れ替えがあり、乗ったままであれば構内移動も体験できるようだったのですが、結局列車から降りてしまいました。50分ほどの待ち時間、駅構内の「ジオパル」で過ごします。残念ながら「トワイライトエクスプレス」レプリカ車内見学は既に終了の時間でした。
鉄道模型のレイアウトコーナーなども結構見ごたえあるんですよね、ここ。
これまで景勝地で減速してみたり運転停車してみたりと「急行=急いで行かない」列車だった筈が、この急行4号は直江津までほぼノンストップ、全力疾走する凄いヤツです。往路で約50分かかっていたところ、戻りは30分かからずに行っちゃうんですから。
すっかり夜といった雰囲気で、午後5時過ぎの直江津駅に帰還。
ここから「バル急行」として直江津までもう一往復します。
テーブルにはバルのおつまみボックスが用意されていました。
フタを開けると、これまた本格的なピンチョスが登場。直江津駅にもほど近い地元でも人気のビストロ「デザミアンティム」調製ですが、お味も本格的です。この企画、朝から晩まで出てくるお食事がどれも「こだわり」がある印象。チョイスした人、センスいいな。
で、バル急行ではドリンクも飲み放題です。
飲み物はロングシート部分に用意されていますが、スタッフさんがテーブルを廻ってお替わりを聞いてくれるので楽ちん。また、おつまみボックスに加えてナッツやおかき類のような乾き物のおつまみも用意されていたのが気が利いてます。メインが結構旨いので割とすぐ完食しちゃう感じなんですが、そうなると酒のアテがなくなっちゃうんですよね。そんなタイミングを見計らって乾き物出してくるセンス、ただ者じゃないぞ。
直江津の手前では電化方式が交流から直流に変わる「デッドセクション」という区間があります。その区間だけ架線に電気が流れていないので、昔の列車は車内の照明が消えたりしていたんです。この国鉄型の電車も照明が消えちゃうタイプなんですが、夜に乗ると照明が消える様子が良くわかります。
夜7時過ぎ、約11時間の列車の旅の終点、直江津に到着しました。折り返しの停車時間が割と長く、「乗りっぱなし」という印象はそれほど強くなかった気がします。これは今度は「折り返し時間も車内で過ごす」にしてみたら印象変わるかな…。「朝から晩まで」で追加1万円ちょっとというのは値段だけ見ればお高いようですが、4名用のボックスを一人で占有して、なかなかレベルの高い食事が用意されることを考えれば、コスパ的には決して悪くないように思います。
帰りは東京経由のルートにしたのですが、直江津から東京までは上越妙高まで出て北陸新幹線に乗るか、ほくほく線で越後湯沢に出て上越新幹線に乗るかの2つの経路が使えます。所要時間的にはどちらも大差ないのですが、新幹線特急料金が越後湯沢経由の方が1000円以上安かったのでコレで行くことに。越後湯沢行きの各停に乗りました。
越後湯沢からは「とき」で東京を目指しました。上越新幹線もE7系が主流になってる感じです。