へんな旅ばかりしています。

へんな旅をしているようなので、自分のための防備録的にやってみます。

JR東海の新しいCM、実は凄いのかもしれない、という話。

今回は旅行記じゃないやつです。

 

新CM、話題ですね。

 

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JR東海の新しいキャンペーン「働くあなたを今日も乗せて<会うって、特別だったんだ。>」が始まり、CMが公開されました。起用されたのは深津絵里。「33年ぶりにJR東海のCMに登場」と、メディアでも話題になっています。

 

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その「33年前」のCMというのがコレです。放映されたのは1988年の年末、まさに「昭和」が終わろうとしていたとき。そしてこれが「伝説」とまで言われることのあるJR東海の「クリスマスCM」の事実上の第1弾です。今やクリスマスソング定番の山下達郎「クリスマス・イブ」は1983年発表ながら、このCMに起用されたことでブレイクした曲だったりするんです。

 

まぁ「クリスマスエクスプレス」シリーズのCMとしては翌1989年の牧瀬里穂出演のほうが印象に残っている人が多いような気はしますが…。

 

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そもそも、このCMのターゲットは誰だ?

 

「あの伝説のCMふたたび」的なニュースになってますが、ちょっと不思議に感じました。だって、前のCMって33年前、平成飛び越えて昭和ですぜ? 確かに「クリスマスエクスプレス」シリーズは強烈な印象を残していますが、それはやっぱり当時これをリアルタイムで観ていた層にとってでしょうし、正直いまの30代以下なら「ふーんそうだんだ」って感じでイマイチ響かないんじゃないでしょうか。

 

でも逆に言えば、この新CMは実際に出張にバンバン行くような年代層ではなく「昔のCMをリアタイで観てた層」がターゲットなんじゃないのか、と。

 

「クリスマス・エクスプレス」の頃。

 

「クリスマス・エクスプレス」への流れは、国鉄分割民営化直後の1987年にJR東海が打ち出したキャンペーン「シンデレラ・エクスプレス」から始まります。

 

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当時、東京発夜9時発の新大阪行きの最終「ひかり」のホームには、週末を東京で過ごして帰る遠距離恋愛カップルが見受けられたそうです。既に数年前から話題になっていたようで、このCMで流れている松任谷由実の曲「シンデレラ・エクスプレス」も1985年のアルバム「DA・DI・DA」に収録されていたもの。これ以降、JR東海は「××エクスプレス」と銘打ったCMシリーズを展開していきます。

 

1998年には「プレイバック・エクスプレス」として同窓会をテーマに。

 

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その次は「ホームタウン・エクスプレス」というタイトルで「都会で働く若手ビジネスマンに帰省をお勧めする」的なキャンペーンを展開しています。

 

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深津絵里出演のCMはこの「ホームタウン・エクスプレス」のクリスマス編として制作されました。

 

ここまで、JR東海の「エクスプレス」CMシリーズが一貫してテーマとしてきたのが「会うのがいちばん。」です。JR東海は「東海道新幹線」という高速鉄道を「人と人とを結びつけるコミュニケーションツール」として位置づけ、そのメッセージを発信しようとしていたわけです。

 

さて、このコロナ時代において、そのメッセージを誰に伝えるべきなのか。

 

動きを止めているのは誰だ。

 

JR東海の新キャンペーンのキャッチコピーは「働くあなたを今日も乗せて」。まさにコロナ禍で激減した出張需要をいかに回復させるか、を目的にしたものであることは誰の目にも明らかです。

 

じゃ、なんで出張が減ったの?といえば、ぶっちゃけていえば「会社がダメって言ってるから」です。

 

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新型コロナの感染が広がり始めた2020年の3月の調査でも、既に半数が「出張自粛・中止の要請があったので延期や中止をした」と回答しています。

 

実際、ここ最近の艦船再拡大においても、多くの企業が「出張の禁止や自粛」を打ち出しています。

 

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つまりは、会社のお偉いさんが「出張は自粛しよう」と言ってるから出張が止まっている…と言えなくもないわけです。

 

「会うのがいちばん」を思い出して欲しい人へ。

 

実はここにJR東海が「33年前のCMを今になって持ち出してきた理由」があるんじゃないか、と感じたんですよね。当時、あのCMが「刺さる」年代だった皆さんはもう軒並み50代以上でしょう。恐らくこの年齢であれば、企業でも上級管理職や役員クラスまで出世していてもおかしくありません。そう、まさに「我が社の出張をどうするか」についての決定権を持っている人たちなんです。

 

そういう人たちに対して「会うのがいちばん」だよね?ということをまた認識してほしい。この目的のために、その昔「会う方がいいよね?」というテーマで強烈な印象を残したCMのイメージを活用したのであれば、なかなかのアイデアだなぁ…と感じたわけです。もちろん社員の感染リスクなどもあるので、このCMだけで「じゃ出張解禁だ!」ってワケにはいかないですが、実際に会うことの価値を再認識させるキャンペーンは、今後それなりに有効に作用するんじゃないかな、と思うんですよ。

 

JR東海、本気出してきたかも。

 

JR東海ってあんまり鉄道ファンには「面白みがない」という感じで評価イマイチだったりするんですが「実は凄いのでは?」と…。昨年は「実質子供無料」という衝撃的なキャンペーンを行ってみたり。

 

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これもよく考えれば11月から12月半ばまでって基本的にはファミリー層が動く時期じゃないから利用者はそう多くなかっただろうし、実質的には「エクスプレス予約」の利用促進キャンペーンなんですが、「子供運賃無料」というインパクトの強さでかなりのパブリシティを獲得できていました。

 

定番の「そうだ京都、行こう。」キャンペーンも、最近は特別拝観など結構なレアもの企画が増えたような…。

 

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車両も見た目は同じようなヤツばっかりですが実は新車が積極的に投入されていたり。どちらかといえば今までは「真面目に鉄道事業やってます」のところ、コロナ禍で余力が出来た分の能力を他に割り振ったら結構スゴイもの出来上がってきた、みたいな感じなのかも。今後、もっと面白いものがでてきたりして。