JRの松山駅です。
ここから乗車するのは、JR四国の観光列車「伊予灘ものがたり」。週末を中心に運転されていますが、1日4往復の列車は「号数」のかわりに「XX編」とそれぞれ名付けられています。朝の松山発は大洲行きで「大洲編」というわけ。
ちょうど列車が入線してきました。2014年7月の運転開始ですから、もう5年目なわけですが、相変わらず人気は高く、この日も多くの乗客がホームで待っていました。
アテンダントさんに迎えられて乗車です。ドア前にはちゃんとマットが敷かれて用意されていたりするのが、JR四国の「気合い」を感じるところかも。
コンセプトは「レトロモダン」だそうですが、落ち着いた雰囲気が素敵。
今回は窓に面したカウンター席を利用。
テーブルにはおしぼりにパンフレット類やメニューブックなどが設置されています。メニューブックはテーブル毎に違う装丁のもの。また、「伊予灘ものがたり」5周年記念の「うちわ」も用意されていました。あと、みかん(^^;)。
列車は定刻に松山駅を出発。ホームからは駅員さんが総出でお見送りしてくれましたが、ホームからだけでなく車庫の方の職員さんも登場。凄いなおい。
この列車、「全車グリーン車指定席の快速列車」扱いとなっており、乗車券に「普通列車グリーン券」を購入することで乗車可能です。その追加料金は980円…ってなんか安すぎるような気もしないでもないなぁ。とはいえ、JRの観光列車が「普通列車の指定席」扱いのものが多かった当時、「グリーン車指定席」扱いにしたってのは新鮮でした。「青春18きっぷ」では乗れないしね。
あと、別途「食事券」を購入すると、車内での食事サービスがあるのですが、実はこの「食事券」の購入が一苦労でした。指定席券は全国のJR駅の「みどりの窓口」や「きっぷうりば」で購入できるのですが、食事券についてはJR四国・JR西日本・JR東日本・JR九州で…って「JR東海」どこだよ! そう、JR東海エリアの皆さんには「駅で買う」というチョイスはないのですよ。一応「主な旅行会社」でも買えなくはありませんが、この「食事券」についてはJR乗車券等を購入するのとは扱いが違い、基本的に「取扱手数料」がかかる対象となる模様。今回はちょうど所用で関西方面に行く機会があったので、先に手配しておいた指定券を持参して、JR西日本の駅の窓口で食事券の発券をお願いすることでなんとか解決できました。なお、JR四国の予約センターに電話で申し込むという手もあるようですが、こちらは食事券の送料が別途かかるらしいです。
さてさて、発車すると程なく、食事をオーダーした乗客には、アテンダントさんが本日のメニューを配布してくれます。朝なので、メニューの内容は「朝食」。松山駅近くの、地元ではかなり評判が良いらしいカフェ「ヨーヨーキッチン!」が担当したお料理です。このお店、「食べログ」でのスコアはそれほど高くありませんが、どうも投稿数の関係っぽい印象。地元の方のブログや、メディア等でもよく取り上げられているお店みたいです。
さて、お料理が運ばれてきました。列車内には調理設備などはないのでぜんぶ冷製ですが、どれも丁寧に仕込まれていて美味しく頂けました。特にスープがレベル高かったよ。あと、パンについては、これも松山で最近評判らしい「ぱんやさんRin」のものだそうですが、こちらも旨かったなぁ。
車窓には瀬戸内海が見えてきました。梅雨時なのでお天気には期待していなかったのですが、ラッキーなことに今日は快晴、青い海が拝めるとは。
食事の最後にはコーヒーがサーブされます。
松山からおよそ1時間、ゆっくり食事してコーヒー飲んでのーんびり、という絶妙なタイミングで、列車は下灘駅に到着しました。ここはこの列車で唯一、下車が可能な駅。時刻表上では「停車駅」にはなっておらず、要は「運転停車」って扱いですね。
駅では多数の地元の皆さんがお出迎えしてくれました。なんと!猫駅長までいるじゃないですか。かわいいよネコチャン。手作りっぽい駅長帽もナイス。ずっと飼い主さんの手の中で若干不機嫌気味ですが、乗客から撫でられても大人しく応じてくれて、意外とイイやつかも。
駅にはこんなメッセージボードも。なんかほっこりしていいですよね、こういうの。この列車が地元の皆さんにも歓迎されてるのが感じられます。
海がすぐ近くに見える駅は「映え映え」なので、皆さん写真をばしばし撮ってます。台湾人らしき方も乗っており、インバウンド需要も取り込んでるのはちょっと吃驚。
10分ほどの停車の後、列車は下灘駅を後にしました。
串駅を通過してすぐ、列車は鉄橋を渡ります。すぐ下に海が見れる場所ということで、減速して通過。
喜多灘駅を通過。
ここは伊予市と大洲市の境界線にあるとのことで、アテンダントさんが描いた看板が設置されています。
のどかな海沿いの風景が続きます。
伊予長浜駅を通過すると、列車は肱川に沿って内陸へ進路を変えました。河口にかかるのは「長浜大橋」。日本では道路可動橋として現役で使われている唯一の橋、なんだそうです。
八多喜駅を通過しましたが、駅のホームではこんなお見送りが。手には「はたき」を持っている…って、だじゃれ?
線路沿いのお宅からもお出迎え。
五郎駅では…。
たぬき駅長が親子でお見送りです。
なお、たぬき駅長は2名いる模様(^^;)。
こちらのご家族も盛大にお迎えしてくれました。ちょっと色々不安を感じさせる部分は無くはないのですが、個人的に楽しむ分にはいいんだよねきっと。
およそ2時間の列車の旅でしたが、終点の伊予大津駅に到着しました。
大洲城からのお出迎えがありました。
正直、この列車、かなりお勧めです。車内の雰囲気が素敵なのは勿論、アテンダントのサービスレベルも非常に高く感じられました。2両編成の列車にアテンダント6名という手厚さですしね…。また、全国に「食事を提供する観光列車」は増えてきていますが、料金は1万円オーバーくらいになるのも普通になってきています。その中で、内容を考えるとこの「伊予灘ものがたり」はかなりリーズナブルな価格設定と言えるのではないでしょうか。例えばこの「大洲編」でも、乗車券+グリーン料金+食事料金の合計で4430円。昼の運転分のランチも食事券の料金は4500円ですからね。全体の行程も、ちょうど中間くらいの下灘駅でのブレイクってのが、車内での食事が一段落ついたくらいってのがタイミングとして絶妙。たまたまなのかもしれませんが。