へんな旅ばかりしています。

へんな旅をしているようなので、自分のための防備録的にやってみます。

九州&北海道の旅、その1:特急「かもめ」最終日に立ち会う。

普段はあんまり「廃止最終日」とか「開業一番列車」とかには興味のない方なんですが、今回は友人のお誘いもあって「西九州新幹線」開業前後の長崎へ行ってきました。

 

九州への移動、今回は新幹線です。「EX予約」には「グリーンプログラム」といって貯めたポイントでグリーン車へのアップグレードができる仕組みがあります。必要ポイントは東海道山陽新幹線区間にかかわらず「こだま」600ポイント、「ひかり」800ポイント、「のぞみ」1000ポイントと一律。毎年6月末でプログラム期の切り替わりとなるのですが、今年6月末で失効するポイントがちょうど800ポイント分あったんですよね。「EX予約」では初回購入日から3ヶ月以内であれば予約変更は何度でも可能。で、名古屋からは何故か早朝に1本だけ博多まで直通する「ひかり」があるんですよ。9月下旬であればギリギリ行けるので、これでグリーン車利用とした由です。

 

この「ひかり」、名古屋からは新大阪まで各駅に停車し、そこからは「のぞみ」並に飛ばしていきます。名古屋を出たときにはグリーン車はガラガラでしたが、新大阪からはかなりのお客さんが乗ってきました。

 

博多駅に到着。ここで航空便で福岡入りした友人2名と合流しました。

 

博多からは長崎行きの特急「かもめ」に乗車します。ちょうど西九州新幹線開業の前日にあたり、博多から長崎へ直行する電車特急も今日が運行最終日なんです。

 

この「かもめ」に投入されているのは885系、振子機能がついてカーブの多い路線も速く走れるように設計された車両です。指定席を取りましたがほぼ満席という盛況っぷり。「最終日だから」と乗ってる人もいるのかな?

 

「かもめ」の走る長崎本線は、有明海沿いに走る区間の車窓の風景が結構いい感じ。そのかわり海岸線に沿ってカーブが多く、振子式車両が使われているのもそのためです。

 

長崎の手前、諫早で下車。

 

改札を出てみると、在来線改札の隣に明日から供用開始となる新幹線の改札口が。

 

諫早からは普通列車でいま来た路をまた戻ります。

この西九州新幹線、なかなか複雑な生い立ちの路線です。長崎までの新幹線建設は早くも1970年代前半には決定していたのですが、紆余曲折あって着工に至ったのは2008年のこと。それも当初は「フリーゲージトレイン」という在来線も新幹線も走れる車両を使用し、武雄温泉駅までは在来線を走ろ、そこから長崎までは新幹線を建設する、という予定でした。ところがその肝心な『フリーゲージトレイン」は開発がうまくいかず、結局ここでは使われないことになっていまいました。

そもそも、そんなことになっているのは現状の「整備新幹線」建設の仕組みだと佐賀県としては大したメリットがないどころか失うモノが多すぎるから。新幹線が出来ても、佐賀県としては一番利用者の多い佐賀駅までだと博多や大阪あたりからの時間短縮効果はそんなに大きくありません。また基本的にJRは並行する在来線を切り離して地元に押しつけることが可能なので、通勤通学などの足ともなる在来線は佐賀県が面倒を見てあげなきゃいけません。もちろん新幹線の建設費負担もあります。つまり時短効果は佐賀県として小さいのに、建設費は出さなきゃいけないわ儲からないこと決定の路線も面倒見なきゃいけないわ、という厄介なハナシになってくるわけです。長崎県は時短効果が大きいので全線フル規格での整備を希望していますが、佐賀県としちゃお隣の県が便利になるのになんでウチの県の予算を使わなきゃダメなの?って感じでしょう。

で、「フリーゲージトレイン」前提で「並行在来線」としてJRから分離対象とされたのが肥前山口諫早間です。ところが沿線値自体からの反発は大きく、最終的には線路は佐賀県長崎県が所有するが鉄道経営はJR九州が引き続き行うことで纏まりました。ですので明日からもこの区間JR九州の路線ではあるのですが、運用コストを削減するため電化設備を撤去してディーゼルカーで運転されることに。つまり、ここを走る「電車」の不通列車も今日限り、なんです。

 

諫早駅で買ったお弁当を車内で頂いてランチ。西九州新幹線「かもめ」のカタチのお弁当箱に入った駅弁です。

 

中は「肉めし」でした。お値段は1350円とお高めですが、容器代だと思えばこんなもんかと。

 

特急列車が頻繁に行き交う区間なため、行き違いや追い越しが何度もありました。

 

長崎本線佐世保線の分岐駅となる肥前山口で下車しました。

 

実はこの駅名なのも今日が最後。新幹線開業に合わせ、明日から所在する自治体名と同じ「江北」駅に変わります。ちょうどきっぷ売り場の路線図が新しいものに差し替えられているところでした。

 

改札前には歓迎の横断幕が。「最長片道切符のゴール」だって?

 

JRの運賃計算ルールでは一筆書きになればどんな長い距離でも「片道切符」として発券できます。現在、稚内を起点としてコレをやるとここ肥前山口が終点となるんですよ。2004年にNHK BSで放送された番組にちなんだ記念碑が駅前に設置されていました。

 

お隣の時計塔にも同じ記述が。ただ、これも実は今日までのお話でして、明日からは最長片道切符の終点は西九州新幹線開業と同時に新しく開業する新大村駅になるんです。このへんの看板とか、どうするんだろ。

 

肥前山口からは再度「かもめ」に乗車して長崎を目指します。今度は787系がやってきました。

 

いよいよ終点、長崎に到着。この787系の車内にこの表示がでるのも今日が最後です。電化設備が撤去されてしまうので、電車自体がここまで来れなくなりますならね。

 

隣は新幹線のホーム。さすがに今日は新旧並びは拝めず。

 

コンコースに降りると、既に新幹線のエリアも準備完了、といった雰囲気です。

 

改札前には明日の新幹線開業日の注意事項の掲示がありました。やはり色々と規制が行われるようです。

 

まずは一旦お宿へ入ります。宿泊先は「東横イン長崎駅前」ですが、「駅前」というのはちょっと遠いかな…。

 

お部屋は安定?の東横イン仕様。ホントにどこの東横インに行ってもほぼ同じ、って凄いよね。

 

折角長崎まで来たので少しくらいは観光したいところ、夜景を見に行くことにしました。

 

路面電車で石橋まで向かい、「グラバースカイロード」で坂道を登ります。これは長崎の急坂を登るための斜行エレベーターで「道路」扱いなのでタダで利用可能。

 

斜行エレベーターから少し歩くと垂直エレベーターが。そこまで登ると見える風景がコレです。いかにも「港町の夜景」って感じですが、これがタダで登れるところから見れるのがステキ。

 

実はここは「グラバー園」の入園口のすぐそば。春から秋までは夜間開園もあいているので、折角なので入ってみました。

 

グラバー邸をはじめとした建物、夜間も公開されています。

 

園内にも長崎の街並みを見下ろせる展望テラスがあり、ここからの眺めも良かったですね。

 

ここで夕食。思案橋エリアまで移動し「雲龍亭」へ。

 

まずは餃子とビールで乾杯です。

雲龍亭では「追加注文はNG」とのことなので、河岸を変えて続きを。すぐそばの「満福」へ入りました。

 

ここは「カレー皿うどん」は名物なお店。長崎皿うどんは旨いし、中華屋のカレーも旨い、それが合わさって不味いわけがありませんよね。

 

夕食後は一度ホテルに戻りましたが、夜12時前に長崎駅に再集合しました。ホームには明日の一番列車になると思われる新幹線が既に停まってました。

 

深夜0時ちょうどに長崎駅に到着予定の、本日最終の特急「かもめ」のお出迎えにやって来たんです。同じように考えている人は多く、入場券を買う券売機の前には長蛇の列も出来ていました。結局「お支払いは出場時でいいから改札内に入れ」とのアナウンスがあり、そのまま入場してホームへ上がりました。

 

ホームではJR九州のスタッフさんがお出迎え用のフラッグを配布していました。

 

定刻から15分ほど遅れ、最後の特急列車が長崎駅に到着しました。

 

長崎駅のホームに停車する最後の特急電車です。途中の区間も含め電化設備が撤去されて電車が走れなくなってしまうので…。

 

12時半過ぎ、回送列車として引き上げていきました。