へんな旅ばかりしています。

へんな旅をしているようなので、自分のための防備録的にやってみます。

久々の長旅、チェコ&ハンガリー、その4:チェコの歴史をひとめぐり?

プラハ4日目、今日はチェコの歴史めぐりっぽい感じで。

 

日本を出て5日目、プラハ滞在4日目ですがプラハは今日が最終日です。最初に訪問したのは国立技術博物館でした。

 

実はチェコ、かなりの工業国なんですよね。その一端がよくわかる博物館です。このホールには自動車や鉄道から飛行機まで、様々な乗り物が。

 

チェコは実はかなり初期段階から自動車産業が発展した国でもあり、展示品にも数多くの自動車が並びます。考えてみれば今でも、VW傘下になったとはいえシュコダとか、大型車のタトラといったメーカーがありますし。

 

これは1898年に製造された自動車。メーカーは今のタトラです。

 

これはプラガが1913年に製造したもの。プラガは今ではレーシングカーなどを製造しているようですが、ここも以前は乗用車屋オートバイを製造する大手メーカーでした。

 

これも1913年、後にシュコダとなるメーカーが製造した自動車です。日本では自動車の研究が始まったのは1910年代、トヨタ自動車が最初の乗用車を造ったのが1930年代ですから、相当な先進国だったワケですね、チェコって。

鉄道もこの大型急行用蒸気機関車は1911年に製造され、オーストリア国鉄で使用されました。当時のチェコってオーストリア=ハンガリー帝国の一部でしたからね…。旅客幹線用蒸気機関車として初の国産化となった8620型の製造開始が1913年とのことですから、鉄道でもかなり進んでいた国だったわけです。

 

オートバイの展示も。CZやプラガ、ヤワなどのメーカーがありましたしね。

 

チェコは航空産業も盛んだったりします。1969年に初飛行した小型の早発ターボプロップ機「ターボレット」は1000機以上を製造したベストセラー機。ちなみにまだ製造中でした。

 

そのほかの展示もなかなか興味深いものが多数。ソフトコンタクトレンズの素材を開発したのはチェコの科学者、オットー・ウィフテルレだったって知ってました?

 

チェコスロバキア時代に生産された家電なども展示されていました。

 

チョコレートや砂糖に関する展示。中央にあるのは甜菜糖を製造する工場のミニチュアです。ただ、チェコでのチョコレート製造が本格化するのはサトウキビの砂糖が入手しやすくなった後らしいのですけどね。

 

続いてチェコ音楽博物館へ。

 

中央の吹き抜けスペースはホールとしてコンサートなどが行われることもあるそうです。

 

館内には様々な楽器が並び、実際にその楽器が奏でる音を聞けるキオスクもあったりします。ただ壊れている機械があったり、展示室の照明が故障してたりと、なんとなくビミョーな感じも…。

 

なかなかユニークな楽器が沢山見れたからいいけどね。これ、楽器ですよ。

 

Googleマップを見ていたら、この音楽博物館からほど近いところに「ジョン・レノンの壁」なんて表示されているところがあります。なんだソレ? ジョン・レノンプラハに来たこともなく直接的な繋がりは何もないらしいのですが、1980年にレノンが殺害された際に誰かがこの壁にレノンの歌詞やイラストを描いたことをきっかけに、反体制的なメッセージが記される共産主義への反抗の象徴のような場所になったんだそうな。1989年のビロード革命を経て共産主義の支配が終わった後も、自由や平和、国際問題に関するメッセージが書かれ続けています。

 

まぁ書かれすぎてて何だか解らなくなってますけどね…。こんなに落書きしていいのか!ってのはこの壁の所有者であるマルタ騎士団が許可してるので大丈夫。

 

プラハの街中を歩いていると、至る所で見かけるのが「トルデルニーク」。日本語では「煙突パン」なんて呼ばれることもあるようですが、筒状に焼いたパンの中央にクリームなんかを詰めたものです。いろんなところで販売され、食べ歩きしている人も結構いました。ただお値段150コルナ前後、日本円で1000円ほどと意外とお高いのよ。

 

まぁでも名物みたいだし、と試してみました。

 

これは中にホワイトチョコレートのソースが入り、上にホイップが盛り盛り、というもの。筒状のパン生地がかなり厚く、これだけでもちょっとした食事くらいのボリュームがありました。これは筒状のパンがカップに入っていますが、コーン状のタイプも存在しています。

 

午後からは市民会館の見学ツアーに参加です。

 

ここは当時のチェコの英知を集めて作られた、といってもいいような場所。1911年に竣工しましたが、内装も当時のチェコを代表する芸術家が寄って集って作り上げています。エントランスホールの両側にはレストランやカフェが営業中。

 

見学ツアーは英語で行われますが、日本語の詳細な解説書も貸してくれます。

 

エントランスから入ると最初に正面に現れるのはクロークルーム。ツアーでもここで荷物やコートを預かってもらえます。

 

その両脇の階段を上がって、この扉の先が…。

 

メインの劇場となるスメタナホール、チェコを代表する作曲家の名を冠したに相応しい荘厳さです。左右にはプラハ市長とチェコ大統領専用のバルコニー席が配されています。

 

スメタナホールの隣のカフェ、コーヒーメーカーなどは建設当時のものだそう。

 

そのほか小規模なホールがいくつかありますが、どれも趣向が違います。この市民会館、第2次大戦中はナチスドイツに使われ、戦後は共産主義の趣旨に合わない豪華さから殆ど修復もされず、意図的に低俗な公演が行われたりレストランが大衆酒場のようにされていたりしたそうです。竣工当時の姿への復原工事が行われたのはビロード革命後の1990年代のことでした。

 

この市民会館の小さなホールのうち最大の見どころがこの「市長ホール」でしょう。これまたチェコ出身のアルフォンス・ミュシャが内装デザインを全て手がけたことで有名です。

 

ステンドグラスも言われてみればミュシャっぽいな。

 

この部屋はちょうど中央玄関の上に位置しており、大きなバルコニーがあります。1918年のチェコスロバキア独立宣言も、1989年の共産党政権の終わりもここで宣言されている、まさにチェコの歴史の舞台、なんですな。

 

市民会館に隣接して建つのは火薬塔。

 

ここから延びる通りをぶらぶら歩いて言ったら…。

 

旧市街広場に着いちゃいました。意外と近いね!

 

せっかくなので広場に面したティーン教会を見学してきました。この教会、広場から尖塔は見えるんだけど入口がどこにあるのか無茶苦茶解りにくいです。だってレストランやカフェの間を入っていったところに教会の入口、なんて想定外でしょ。

 

途中のショーウインドーで見かけたこの人形。えっ「ねほりんぱほりん」がチェコにまで?

 

www.nhk.jp

 

もちろんNHKがここまで!なんてワケはなく、チェコの国民的人気アニメ「もぐらのくクルテク」のキャラクターでした。

 

a-a-agallery.org

 

また先ほどの市民会館のあった共和国広場当たりまで戻ってきました。今日の最後の訪問先は共産主義博物館です。

 

入館するといきなり大きな赤い星にマルクス像。

 

展示は1930年代、第2次大戦前の時代から始まります。1938年のミュンヘン協定でチェコの一部をナチスドイツに占領され、その直後にチェコ全体がドイツに占領、スロバキアは共和国として分離するもののドイツの保護領となって実質的にチェコスロバキアが解体されることになったわけです。

 

そして戦争終結後、チェコスロバキアがどのように社会主義国家になっていったのかが解説されます。

 

プラハにはその昔、ソ連以外では最大級のスターリン像があったそうな。場所はレトナー公園、今日の午前中に行った技術博物館のすぐ近くじゃないですか。スターリンがチャコスロバキアの人々を導く、みたいな壮大なモニュメントだったそうですが、建立された1955年の直後にスターリン批判が始まったため、わずか7年後には跡形もなく破壊されてしまったとこのと。

 

共産主義時代の暮らしに関する展示もありました。

 

その先は一転、暗い内容が続きます。チェコスロバキアは1960年代後半に「プラハの春」と呼ばれる自由化政策を取り始めますが、ソ連が主導するワルシャワ条約機構の軍隊がプラハに攻め入り自由化政策をとった政治家を追放し、抑圧的な政治体制に戻ってしまいます。その時代、人々がどのように抑圧され支配されていたか。なかなか背筋が凍る内容でした。

 

共産主義時代に命を落とした人たちの名前を刻んだ壁。この国の人たちはあの時代の来たことを許していない。そんな気がしました。

 

その後、チェコスロバキア共産主義政権は1980年代末に終わりを迎えます。流血に至るような大規模な争議に至らず政権委譲が行われたことから「ビロード革命」と呼ばれるに至る流れが解説されていました。その後もチェコスロバキアの分離とか、まぁいろいろあったわけですが…。いずれにせよ、この国にとって共産主義の時代ってマジで「黒歴史」なんですねぇ。

 

夕食はすぐそばのショッピングモール「パラディウム」へ。レストランのほかにフードコートやスーパーマーケットなどもあって、凄く便利でした。

 

色々あって迷いましたが、チェコ資本のサンドイッチのチェーン店にしました。ここもオーダーはタッチパネルが導入されており英語にも対応で便利。

 

ツナサンドとポテト、ドリンクのセットで。ポテトはマヨネーズがかかってるのがちょっと欧州風?