国会議事堂を出ると、もう夕方の5時過ぎ。夏のロンドンは日が長く、まだ周囲はかなり明るいのですが、美術館や博物館の大半は夕方5時か6時までの開館。そんな中、夏期だけ夜7時まで開いてたのがココ「チャーチル博物館・内閣戦時執務室」でした。場所も国会議事堂からすぐのところにあります。
国会から近いってのはある意味「必然」で、ここは第2次世界大戦中にドイツからの空襲に備えて戦争遂行機能を維持するために整備された施設で、大蔵省のビルの地下にあるから。なお入場料は22ポンド、オーディオガイドがついてきますが、こちらも日本語音声は用意されていませんでした。
こちらが閣僚の会議室。奥の正面、地図の前がチャーチルの席です。
ここはアメリカ大統領とのホットラインがあった電話室なんですが、イギリスにとって戦争遂行にはアメリカの協力が不可欠だったこともあり、アメリカ大統領との繋がりは重視され、ここにその「要」があることを極秘にするため、この部屋は「チャーチル専用トイレ」ということになっていたらしいです。そりゃ扉の向こうでおっさんが便器にしゃがんでると思えば誰も開けたくないな。
この施設は、第2次隊戦闘時の執務室の復元とともに、チャーチルに関する博物館にもなっています。チャーチルの生涯を辿ることができますが、まぁ他国の指導者なので興味的には「まぁ普通」という感じかも。
ちょっと面白かったのがこの展示。イギリスではチャーチルって戦争を勝利に導いた英雄なわけで、様々なグッズなどが作られたようです。殆どゆるキャラじゃん。
それに対して敵国でだったドイツや日本では「チャーチル悪いヤツ!」だったわけで、そのプロパガンダの一部が紹介されていました。下の小さな枠の展示が日本が作成したもので、インドで「皆さんチ
ャーチルに騙されてますよ!」的な内容でばらまいたビラなんだとか。
首相公邸「ダウニング街10番地」のドアの実物も展示。チャーチルが住んでいたときもこの扉が設置されていました。1991年にIRAによるテロがあった際に爆発物対応のドアに取り替えとなったため、ここの展示品になりました。なお、このドアは外側から開けることができず、内側にいる守衛が確認の上でドアを開けるようになっているそうです。
この地下施設の天井のスラブの一部が見えるようになっています。実はこの施設、ドイツからの空襲から完全に防御できるだけの強度はなかったらしい。
こちらは作戦会議室。いくつかの重要な戦略もここで決定されたそう。
この施設は主要な政府機能が長期でここに置かれる想定なので、暮らせるような施設も用意されています。ここは首相用のダイニングルーム。
そのため、当然ながらキッチンもあります。
閣僚や関係者の居室もあり、こちらはチャーチル夫人のお部屋。なお、スタッフ級の皆さんはこのワンフロア下に2段ベッドなどに詰め込まれていたようです…。
チャーチルの居室は、やはり他の閣僚級の部屋に比べても広く取られていました。
BBCのラジオ放送施設も設置され、首相から国民へのメッセージ放送などが実際にここから行われていたようです。
そしてここが戦争遂行の要ともいえる「マップルーム」です。このエリアにごく限られたメンバーしか出入りが許されていませんでした。グーグルマップとかですぐ調べがついちゃう現代とは違い、「地図」は相当重要な「機密」だったでしょうし、それをもとに立案した作戦もデリケートな情報なわけですから。
次に向かったのは、EUで最も高いビル「ザ・シャード」の展望台。高さは310m、日本一の「あべのハルカス」よりも高いです。ロンドンでは他にこれだけの高さの展望施設がないし、夕方以降に開いている展望台もここくらいのせいか、割と混んでました。チケット購入時に「次に入場できるのは30分後」と言われたよ。
エレベーターの指定時間まで、ビルの周囲を散歩します。三角形のデザインが目立ちます。設計は関空のターミナルも手がけたレンゾ・ピアノ。
このビル、国鉄のロンドンブリッジ駅のそば、というか駅と一体化して建てられています。え、これ「駅ビル」じゃね?それだと名古屋駅の「JRセントラルタワーズ」のギネス世界記録「世界一大規模な駅ビル」の座は安泰なのか?とちょっと心配になってしまったのですが、後で調べたら、そもそもセントラルタワーズのギネス記録が3年ほど前に取消になっていたのでした(^^;)。どうも「駅ビル」じゃなくて「複合ビル」だよね?って話になったようです。現在では「世界一大規模な駅ビル」というカテゴリ自体が存在していないとか。
指定時間になったので展望台へ。33階で一度エレベーターの乗り換えがあり、68階へ到着。このフロアはエレベーターホール的になっており、展望台は69階と71階がメイン。駅の真上に建っているビルなので、いきなり凄いトレインビューが眼下に広がっていました。
ロンドン橋の近くには規模の大きな三角線も。列車本数も多いので観ていて飽きないです。
やはり300m近い高さだと見晴らしが違いますね。線路がずっと延びているのがよく見えます(そっちかよ)。
展望台はこんな感じで、全てガラス張り。ただ、このガラスがあんまり綺麗じゃないんだよね…。人が触った跡がかなりベタベタついてて、もうちょっと掃除しようよ…と思わなくもないです。またガラスが凄く反射するので、写真が凄く撮りにくい感じ。反射を抑える加工とか、できないのかな。
とはいえ、単に景色を眺めるだけなら別に大きな支障はありません。69階と71階のどPちらにもバーが設置されていて、そこそこリーズナブルなお値段でアルコールを含むドリンクが提供されています。モエ・エ・シャンドンが15ポンドくらいなので、一杯飲みながら景色を楽しんでいる方も多かったです。
展望台に上がったのは夜8時頃、だんだん周囲は暗くなり、景色は夜景になっていきます。
ロンドン・アイも見えます。
下りのエレベーターに乗る頃には、すっかり「夜」になっていました。タワーブリッジの夜景とかもいいですね。
「ザ・シャード」の内部。シャングリラホテルがあるんだ、ここ。
宿の最寄り、ウォレンストリート駅に戻ってきました。もう夜9時過ぎ、晩ご飯でも…と駅からほど近いパブへ入ってみます。
店内もいい感じ!でも今日はフードメニューは提供が終わっちゃったんだって…残念。
でも折角来たので、ビールくらいは戴くことに。
近所にフィッシュ&チップスで割と有名なお店があるようなので、そちらに行ってみました。この時点で閉店30分前で「テイクアウトなら出せるよ」とのこと。
結局、宿の部屋に持ち帰って食べました。あ、スーパーでビールも買っちゃったけどね。なんか包み紙がイイ味出してるわ。
中身はこんな感じで、なかなか美味しかったです。ただ、調味料などが手元にないので味変ができないのが若干ツラかった…だってさ、このボリュームのポテトを同じ味で食べるのってさ、いくら美味しくても単調じゃないですか?