午後からは、こちらもライト設計の「モノナテラス」の見学ツアーに参加です。ここ、要はコンベンションセンターで、1938年にライトが設計し1997年に完成しました。
え?
最初の設計から約60年後に完成ってどうゆうことよ?
ライトとしては、生まれ故郷のウィスコンシン州の州都に自分の建築を遺したい、というような想いがあったようです。マディソンが新しい市民向けの公共施設を計画した際にライトが設計案を提出したのは、そのような背景がありました。ただ、建設費の問題や、ライトの悪しき評判(以前ご紹介したとおり不倫などのスキャンダルもありましたし、金銭的トラブルでも知られていたようです)もあり、市民の間でも議論があり、市当局としてゴーサインが出せない状態が続いてしまいました。その間もライトは何度も設計案を作り直しましたが、このときに用意されていた設計者向けの報酬は250ドル。ここまでくると、報酬とかは問題ではなかったんでしょうね。その後もタリアセンのスタッフが後を引き継ぎ、1992年になってやっと建設が決定したという次第。
さすがにライト建築ということもあり、こちらでも毎日午後1時から1時間ほどのガイドツアーが開催されています。
4階にあるギフトショップがガイドツアーの出発点。チケットもここで当日購入となり、参加料は5ドルです。
ギフトショップ付近は会議室のあるエリアですが、ここにライトの頭像があります。ライトの頭像は世界に3体しかなく、ほかの2体はタリアセンとタリアセン・ウエストにあるそうです。
こちらはシアター。この建物、基本的には円と直線の組み合わせをモチーフにしており、このシアターも半円形です。
内装もカーペットや看板、ドアのハンドルまで「円」のモチーフで統一されています。
4階のメインエントランスから湖側へ向かう通路。湖側のスペースではイベント開催中でした。
メインエントランスのレセプション。
レセプション脇にはライト建築であるプレートが掲げられていました。
ここがモノナテラスで一番大きいボールルーム。4つに分割して使うこともできます。天井にはライトっぽいデザインのアクリルのシャンデリアが。
同じ4階にはもう一つ大きめのホールがあります。こちらは6分割できる構造。全般的にライト建築にしては(失礼だな)すごく普通に使いやすい感じのホールとして設計されているという印象でした。
2階は湖側にバンケットルームが用意されています。大きな窓からはモノナ湖が一望できるロケーションです。
大きなテーブルの会議室もありました。
1階はコンベンションホール。中央で2分割できる構造です。
1階の湖側の外観。自転車道とジョギングロードが湖沿いに整備されています。
次は6階のルーフトップテラスへ向かいますが、そこへ上がるスロープは5階から入ります。この5階のエントランスからはウィスコンシン州議事堂が真っ正面に見えるようになっています。
6階のルーフトップテラスの州議事堂側には噴水が。当初の設計では3カ所に噴水を設けるはずだったのですが、予算の関係で断念。「噴水なし」で進めることで纏まりかけたところで、地元の篤志家からの寄付で1つは作れたんだそうです。
モノナテラスの建物の屋根全体がほぼオープンスペースになっているので広々としています。
テラスからはモノナ湖を一望でき、非常にいい雰囲気です。今日は天気がイマイチだけど…。
見学ツアーは約1時間で、ルーフトップテラスの見学までで終了です。その後、しばらく館内をもう少し見学してみることにしました。4階の湖側のホールはイベントで使用中だったのでツアーでは入りませんでしたが、イベント自体は入場自由だったのですこし見学。
このエリアには小さいですがカフェスタンドがあったので、まだ喰ってなかったランチにしました。プルドポークのサンドイッチ、なかなか旨かったです。
カフェ前には大きな窓に面したフリーススペースがあるので、こちらで食事しました。
ギフトショップ前の階段スペース。ここのデザインもなかなか美しいのですが、下のフロアに何やら展示物が。
階段を降りてみたら、モノナテラスに関する展示スペースになっていました。これが1938年にライトが提案した最初の設計案だそう。
そのほかにも年代を追ったライトやモノナテラス実現までの流れの紹介、検討段階で作られた建築模型なども。
いろいろ紆余曲折あって実現したモノナテラスですが、この建築物による経済効果は建築開始時の想定の3割増と試算されているのだそうです。まぁそれにアジアの島国からわざわざコレ観に来るヤツいたりするんだから、それってのも凄い効果だよねぇ。