へんな旅ばかりしています。

へんな旅をしているようなので、自分のための防備録的にやってみます。

大人になったからしたいこと!「大人の休日倶楽部パス」使い倒し。その3:第3セクターもBRTも乗れちゃうぞ。

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今日の旅程は若干のんびりペースです。

 

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朝6時にホテルをチェックアウトして本八戸駅へと向かいました。

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街の中心地から本八戸駅へ向かう通りに並ぶ店舗には、なんか色々とフキダシみたいなのが貼られています。

 

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まずは八戸線の久慈行き各停に乗車。今日は月曜日で平日、通学の高校生らしき皆さんが結構乗ってます。

 

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八戸線は太平洋沿いを海の近くまで迫っているところも結構ありますが、途中から雨が降り出す生憎のお天気になってしまい、景色はイマイチな感じ。

 

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終点の久慈で三陸鉄道に乗り換えます。「大人の休日倶楽部パス」は一部の私鉄線や第3セクター鉄道も利用範囲に入っており、三陸鉄道もその一つ。ここ久慈から終点の盛まで乗り通すと普通運賃は3780円もするんですよ?これ乗るだけで「大人の休日倶楽部パス」価格の4分の1分くらいはモトが取れちゃう計算です。

 

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三陸鉄道線のホームへ向かうと、既に通学の皆さんなどが乗車を待ってました。結構使われてるな…特にローカル線は土日と平日の姿が結構違うことを感じますね。

 

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今日これから乗車するのは三陸鉄道全線を走破して盛まで向かう各停です。車両はクウェートへの感謝を示すラッピング。2011年の東日本大震災で大きな被害を受けた三陸鉄道ですが、クウェートが日本への支援として拠出した石油を換金したうちの20億円が配分され、新しい車両の導入に使われました。それに感謝を示すため、のようです。

 

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三陸鉄道って海沿いを走るイメージがありますが、実はトンネルが多くて海が見える区間はそれほど多くありません。そもそもリアス式海岸で地形が険しいので「海沿いに線路を敷く」とかムリですし、三陸鉄道の建設時期も比較的新しいので「橋とトンネルで突っ切る」ようなルート策定が一般的だったわけです。そのかわり橋梁は多く、そこからの景色はなかなかです。この大沢橋梁も三陸鉄道の車窓ハイライトの一つで、通過の際には案内のアナウンスとともに減速して通過するほど。 NHKの朝ドラ「あまちゃん」にも印象的に登場したところですね…ってあのドラマ既に8年前のハナシじゃん!

 

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島越駅は震災前は宮沢賢治の小説にちなんだ「カルボナード島越」という愛称が付けられ、ちょうどこの広場のあるところに青い屋根の欧風で瀟洒な駅舎が建っていました。今では駅舎は山側に再建されましたが…。旧駅舎の前は海でしたが、これも高い防波堤がそびえ立っており、昔の面影はほぼ残っていません。

 

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宮古駅で10分ほど停車。ここから釜石まではJR山田線だったのですが、2019年に三陸鉄道に移管されました。結果、それまで「北リアス線」「南リアス線」に分かれていた路線が一つに繋がり、総延長163kmの「日本一長い第3セクター鉄道」となったわけ。

 

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山田線の全通は1939年と古く、地形に沿って線路が敷かれているような区間が比較的多いため、海が自然な形で見えるところも意外とあったりします。

 

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釜石駅では15分停車。この列車、全区間を運行しますが実質的には「久慈~宮古」「宮古~釜石」「釜石~盛」の3本の列車といった感じで、列車番号もそれぞれ別。

 

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釜石駅前はすぐ目の前が製鉄所。さすが「鉄と魚とラグビーの街」だけあるな。

 

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釜石~盛間の「みどころ」の一つともいえる恋し浜駅では4分ほどの停車時間がありました。

 

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ホームに設置された小さな待合室の中には、帆立の貝殻の絵馬がびっしり。これ、全部地元産のホタテの貝殻らしいです。

 

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久慈から約4時間半、終点の盛に到着しました。

 

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ここで大船渡線BRTへ乗り換えです。

 

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このBRT、東日本大震災で被害を受けたJRの大船渡線気仙沼線をバスにて復旧させたもの。そのため運営は引き続きJR東日本が行っており、「鉄道路線」に準じた扱い。「大人の休日倶楽部パス」などでも利用できます。

 

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BRTは一部の区間を以前の鉄道の線路を専用道化して運行しているのですが、その区間はバス1台分の幅しかありません。その分、所々に行き違いのできるスペースが取ってあるのがユニークなところ。

 

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で、途中の「奇跡の一本松」駅、というかバス停で下車。

 

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高田松原津波復興祈念公園」が目的地です。ここは国と岩手県が整備した追悼・祈念施設で、2019年にオープンしました。ちょうどその直前、ここに来てたんですよね。

 

slips.hatenablog.com

 

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まずは腹ごしらえ、と施設内の「道の駅高田松原」の「まつばら食堂」で昼食にしました。

 

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メニューは色々揃っているのですが、今日は通常700円の「わかこちゃんラーメン」が500円!ということでソレにしちゃいました。わかこちゃんって誰やねん、という感じですが、広田湾特産のわかめを面に練り込んだ上にトッピングもして岩のりも載せました、という逸品。スープは塩ベースであっさり目なので、余計に磯風味が強く感じます。一緒に雲丹のおにぎりも頂きました。

 

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続いて「東日本大震災津波伝承館」へ。

 

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「いわてTSUNAMIメモリアル」という愛称がつけられている通り、主に岩手県内での被災状況や、岩手県が行政として行った対策などが紹介されています。実は国が整備に加わる追悼施設は岩手県に加え宮城県にも設置されることになっており、そちらは石巻に位置しています。展示内容には震災前と後との各地の様子を比較したものもありましたが、この施設のある高田の変わり様の凄まじいこと…。そもそもこの海岸は7万本の松が茂る風景で知られていたところですが、「奇跡の一本松」を除いて全て流されてしまってるんですから。

 

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施設から海側は広い公園になっています。

 

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海沿いには巨大な堤防が作られ、その上に展望台がありました。

 

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この高い堤防に登らないと海が見えないわけですね…。ここには松原を再生させるベく植樹が行われているようです。

 

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奇跡の一本松の周囲も綺麗に整備されていました。震災遺稿として保存されているYHの建物もそのままです。

 

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隣接して建っているのは以前の道の駅、こちらも将来的には震災遺稿として公開される予定です。

 

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再度BRTに乗車、南下を続けます。

 

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鉄道路線をバス専用道に転用した区間にはトンネルもありますが、バス1台でも結構ギリギリ感あるなぁ。

 

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終点の気仙沼駅に到着。

 

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こちらでは今放送中のNHKの朝の連ドラ「おかえりモネ」が猛プッシュされていました。NHKのドラマって経済効果凄いな!

 

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ここで乗り換えるのは気仙沼線BRT。気仙沼線は前谷地から柳津までは鉄道が残り、そこから気仙沼までがBRTとなっているのですが、BRTがそのまま前谷地まで直通している便も結構あったりします。このバスも前谷地行きです。

 

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ここから乗ったバス、座席にUSB電源のソケットが付いてる! 路線バスで充電できるのって珍しいよね。

 

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BRT専用線が一般の道路と交差するところもあるんですが、ユニークなのは遮断機がBRT線側についていたこと。普段は一般道から専用道へ流入しないように遮断機が下がってるワケですな。

 

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このあたりでも、震災後の復興工事が続く姿を車窓から確認できました。あれから10年、まだ終わってないんだなぁ。

 

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石巻線前谷地駅着。BRTのバス停は駅前に屋根付きの立派なものが作られていました。

 

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小牛田行きの各停に乗車。

 

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小牛田駅では陸羽東線へ乗り換えます。考えてみたら今ってちょうど「東北デスティネーションキャンペーン」絶賛開催中、の筈なのよね。「デスティネーションキャンペーン」とはJRの旅客6社が総力を挙げて?実施する大型の観光プロモーションで、集客効果も高いことから対象となった都道府県もかなりマジで取り組む案件だったりします。通常は1都道府県、多くて隣県を1~2箇所加える程度の範囲なんですが、この夏のキャンペーンは東日本大震災からちょうど10年ということもあって、東北6県という広範囲を対象とした大型のものになりました。それが緊急時対宣言やらまん延防止やらで各種イベントや臨時列車が取りやめになったりと、なかなか残念な展開に…。

 

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ここで古川行きへ。

 

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古川駅では新幹線へ乗り換えます。

 

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東京行きの「やまびこ」に仙台まで1区間だけ乗車です。実は小牛田で仙台方面の在来線を使っても仙台着の時間はそれほど変わらないのですが、せっかく「新幹線まで乗り放題」なんですもの、メリットは最大限活用しないとね。

 

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仙台に着いたのはもう夜8時。ここで晩ご飯、ということで焼肉の「仔虎」へ。仙台市内に複数店舗を持つお店ですが、仙台駅の新幹線改札そばに支店がありました。場所が場所だけあって一人でも入りやすい感じです。

 

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まずはビールから。お通しは豆腐の肉味噌載せ。

 

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出張帰りのビジネスマン狙いっぽい晩酌セットなどもあるのですが、月曜~木曜の平日夜限定で「定食セット」なんてのも用意されており、こちらをオーダー。牛タンに特選の牛肉4部位が出てきます。

 

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ご飯セットもついてきますので、焼肉オンザライスみたいなのもできちゃう。

 

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おいしい焼肉を堪能して、また新幹線へ。

 

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東京行き「はやぶさ」に乗車しました。

 

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東京駅に到着。

 

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「大人の休日倶楽部パス」は4日間有効で明日まで使えるのですが、今回は残念ながらこれにて名古屋へ帰還です。火曜日に外せない仕事入っちゃったんだよ…。で、帰りも夜行バス、ドリーム号を利用しました。

 

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こちらは往路と違い、最近導入が始まったスカニア製の新型の2階建てバス。シートは1階席は横4列、2階席は横3列の「クレイドルシート」が設置されています。「クレイドルシート」は座面も大きく動き、これも快適でした。

 

ちなみに今回の終始ですが、そもそも運賃だけでも凄いことに。

 

東京→新潟→郡山→小山→新前橋 10670円

新前橋→水上 900円

水上→高崎→大宮→盛岡 9790円

盛岡一ノ関→新庄→福島 6600円

福島→八戸→久慈 7160円

久慈→盛(三陸鉄道) 3780円

盛→気仙沼→前谷地→古川→仙台→東京 9030円

 

…と、これだけで合計48010円。パス代金の3倍になりました…。これに特急料金とか乗ってくるので、このパスがいかに猛烈にお得かが解ろうというものです。こういうのがあると歳を取るのも悪くないな、とか思っちゃうよねぇ。