へんな旅ばかりしています。

へんな旅をしているようなので、自分のための防備録的にやってみます。

「いま一番予約の取れない列車」かもしれないヤツに。その2:再来年で運転終了「奥出雲おろち号」に潜入してきた。

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今たぶん一番「予約の取れない列車」かもしれないヤツに乗れました。

 

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一晩明けて広島駅へ。新幹線口のペデストリアンデッキに指定された集合場所へ向かいました。

 

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今日はこれから日帰りのバスツアーに参加です。主催は阪急交通社。新幹線口は旅行会社などのツアーの集合場所としては「定番」らしく、他にも何社かの添乗員さんがいました。ここからバスツアーのスタートです。

 

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最初の訪問地は広島県北部の景勝地「帝釈峡」です。

 

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ここでは現地のボランティアガイドさんの案内で1時間ほど散策となりました。紅葉の名所ですが、見頃は少し過ぎている感じですね。

 

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暫く進んだところにある鍾乳洞「白雲洞」も見学しました。

 

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洞内は200mほどが見学範囲となっており、奥まで行って折り返すルートになっていました。

 

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洞内の壁の手が届くようなところにコウモリがぶら下がっていて、ちょっと吃驚。観光客が割とひっきりなしに通るところなんだけど寝れてますか?

 

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このあたりはカルスト台地ということもあり、奇石が谷間に数多く見られるところでもあります。

 

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お天気にも恵まれ、快適なハイキングという感じに。

 

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駐車場から歩くこと約30分、帝釈峡のハイライトとも言える天然記念物「御橋」までやってきました。

 

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これは川の浸食などでできた天然の橋で、長さは90mにも及ぶスケールの大きなもの。世界三大天然橋の一つ、と現地の案内板には書いてありましたけど…。実際に「橋」として使われていたこともあったそうです。

 

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帝釈峡のあとはJR線の備後落合駅までやってきました。

 

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バスを下車し、少し歩いて駅舎まで向かいます。

 

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普段は恐らく静かと思われるこの駅も、今日はかなりの賑わい。地元の方のグッズ販売まで出ています。

 

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さて、本日の主役が到着。JR西日本エリアでも屈指のローカル線である木次線の観光トロッコ列車「奥出雲おろち号」です。1998年に運行を開始、毎年春から秋にかけて土休日を中心に走っていますが、車両の老朽化を理由として今年、JR西日本が2023年度中の運転終了を発表しました。そのせいかこの列車、予約が全然取れなくなっています。夏休み期間も狙っていたんですが、何度チェックしても空席が一切出てきません。こりゃもう乗る機会ないかな…と思っていたんですが、この列車を利用するツアーがいくつか存在することを発見。地元も利用促進で旅行会社に助成金とかを出している様子でもあります。で、探してみたら阪急交通社が広島発着の日帰り紅葉ツアーの目玉として組み込んでいるのを見つけ、申し込んだ次第というわけ。実はこの「奥出雲おろち号」、予約が取れないだけでなく「行くのが不便」という点でもなかなか乗りにくい列車だったりします。列車の運行区間は木次から備後落合というのが基本なんですが、備後落合側での他路線への接続が絶望的に悪く、ほぼ周囲に何もない備後落合駅で数時間の待ち時間が発生してしまうんです。そういう意味では乗車駅まで送ってくれて下車駅で迎えてくれるバスツアーというのは悪くないチョイスかもしれません。

 

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列車はディーゼル機関車が1両に普通の客車が1両、トロッコ車両が1両の構成。普通客車はトロッコのお客が同じ席番のところに座れる「控え席」みたいな位置づけになっています。沿線自治体は「奥出雲おろち」の存続をJR西日本に求めていますが「安全性が担保できないほど老朽化している」ことを理由に拒否。製造後40年近い車両を山岳路線の特急でバリバリ使い倒すほど「古いものを大事に使いましょう」が得意なJR西日本も匙を投げるほどの状況なんでしょうねきっと。後継車両も「種車がない」「カネがない」等で後ろ向きの姿勢ですが、まぁ「奥出雲おろち号」どころか「木次線」自体を終了したいと思ってそうだもんなJR西日本

 

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そういう事情もあってか、木次線だけでなく中国地方山間部のローカル線沿線自治体は利用促進に積極的な姿勢を見せ始めています。備後落合駅の賑わいもその一環だったようです。

 

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トロッコ車両の車内はこんな感じ。窓などは一切ない開放感です。

 

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もう1両の座席車の車内。雨の日などトロッコ車両に居続けるのがツラい時はこちらに避難できるよう、指定席の同じ席番号の所に座っていいことになっています。

 

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この客車、もとは国鉄時代に急行用として製造された12系客車で、この存在も割とレアだったりします。車内は特急用として使われていた簡易式リクライニングシートに取り替えられているのですが、このシートも同じく最近では殆ど見かけなくなったもの。

 

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この車内で、ツアーのランチとして配布されたお弁当を戴きます。広島では有名どころの「むさし」謹製、「野球はカープ」ってコピーがいいねぇ。

 

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感染症対策としてバス車内では食事はNGとなっており「列車の中で食べてくださいね」と添乗員さんから指示がありました。

 

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備後落合を出て、暫くは山間の長閑な風景の中を進んでいきます。

 

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備後落合から2駅の三井野原を出ると、木次線のハイライト区間に入っていきます。車窓からは道路の「奥出雲おろちループ」の赤い鉄橋が。

 

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ここからかなりの高低差を下っていくため、道路の方はループで高度を稼いでいきます。

 

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鉄道の方は三段式のスイッチバックで高度を下げていきますが、ここで前後に進行方向が変わるのが見どころ。

 

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スイッチバックを通過し、出雲坂根に到着です。

 

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ホームには駅の標高が564mであることを示す標識がありました。

 

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先ほど通過した三井野原は726m、150m以上の高低差があったことになります。それにしても三井野原って「JR西日本で最高地点の駅」だったのね。

 

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ここで暫く停車。駅舎はかなり立派です。

 

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ここ出雲坂根は「延命水」という名水でも有名だそう。この水を汲んで持って帰るためのペットボトルまで販売されています。

 

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駅には売店もあり、「奥出雲おろち号」のグッズや地元の名産品などが売られていました。焼き鳥もその場で焼いており、周囲には香ばしい匂いが立ちこめています。

 

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出雲坂根を発車。

 

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難所を越え、列車は快調に飛ばしていきます。

 

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このツアーでは「奥出雲おろち号」には木次までの全区間乗車はせず、ここ八川で下車となります。まぁ木次線の一番の見どころは三段スイッチバック区間なんで、これでも充分堪能できたといえるんじゃないでしょうか。

 

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駅前に待っていたツアーバスに再度乗り込みます。

 

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続いて訪問したのは島根県の紅葉の名所でもある「鬼の舌震」です。本来であれば下高尾駐車場から宇根駐車場までを歩く予定だたったのですが、下高尾駐車場側からの遊歩道が数日前に通行止めになっており、急遽宇根駐車場側からの自由散策となりました。

 

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こちらは紅葉もほどほど見頃、といったところ。

 

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比較的歩きやすい遊歩道が整備されていて、なかなか快適な散策が楽しめるところでした。

 

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風景も変化に富んでいて、なかなかいいところですね。ツアーだと、こうして「自分ではなかなか行かないところ」に連れて行って貰えるのもアリかな。

 

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最後に「道の駅 酒蔵奥出雲交流館」に立ち寄ってお買い物タイムがありました。まぁツアーっぽいなぁ、という感じではあるんですが地酒の試飲がいろいろ楽しめて、思いの外堪能できたかも。加えて「駅の蕎麦屋」として有名?な亀嵩駅「扇屋そば」の蕎麦がお土産として売っていたのもポイント高し。

 

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あとはひたすら広島を目指し、19時過ぎに帰還しました。最後の添乗員さんの挨拶が「こうやってまた皆さんとツアーで出かけられて嬉しいです」と半分涙声だったのが印象に残りました。確かにコロナ禍で仕事もほとんどできなかっただろうしね…。

 

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せっかく広島に来てるんだし、お好み焼きくらいは食べて帰りましょうか。広島駅の新幹線改札近くのエリアには飲食店が多く入居していますが、お好み焼きも有名店がいくつが支店を出しています。そのなかで「いっちゃん」へ入店。

 

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カウンター席に案内されました。目の前でどんどんお好み焼きが出来上がっていきます。

 

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ビールとお好み焼き、という鉄板な組み合わせで晩ご飯としました。

 

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あとは名古屋へ一路、新幹線で帰りました。この時間だと名古屋終点の「のぞみ」なので、混み具合も程々。実はその前は東京行き最終となる「のぞみ」だったので指定席もほぼ満席だったんですよね…。