「みんなの九州きっぷ」利用2日目です。
この日はのんびり朝10時過ぎのスタート。最初に乗るのは特急「しんぺい」です。この列車、本来は「日本3大車窓」と名高い肥薩線の人吉~吉松間の観光列車として走っていたもの。直近では熊本まで運転区間が延長され、人吉からは特急に格上げまでされていました。ところが2020年7月の豪雨で肥薩線が壊滅的な被害を受け、八代から吉松までの区間は運休に。そこで、車両の有効活用や被災した人吉地区のPRなども兼ねて、博多~門司港間の臨時特急として運転されることになりました。
もともと普通列車の指定席だったこともあり、車内にはボックスシートが並び、改造の度合いも「そこそこ」といった印象です。
普通列車用のディーゼルカーを改造しているのですが、ボックスの座席案核は少し拡大されています。
車両中央には「展望スペース」も。
この特急「しんぺい」、特急「かわせみ やませみ」と併結され、計4両で運転されます。
「かわせみ やませみ」は熊本~人吉間の特急列車「D&S列車」として改造されたので、内装はかなり凝ってます。
座席もリクライニングシート。そのせいか「いさぶろう」はガラガラだったのに「かわせみ やませみ」の方は指定席が満席でした。
2つの列車は貫通路で繋がっているので行き来は自由。「かわせみ やませみ」の方に設置されているサービスカウンターで「晩白柚サイダー」を所望しました。乗車記念スタンプも両列車分もらえるし。
博多から約1時間20分の小倉で下車します。この区間の特急はだいたい45分ほどで走ってしまうので、ずいぶんのんびり走るわけです。「特に急がない」特急だな。
昼食は小倉で。
以前から行ってみたかった地元で人気のお店にやっと来ることができました。小倉駅から歩いて5分強くらいのところにある「サンドイッチファクトリーOCM」です。確かにこの日も2階の店舗へ続く階段にまで行列が。さすが「小倉っ子のソウルフード」と呼ばれるだけのことはあるな。
サンドイッチは様々な具材が用意され、2つまで好きなものを選んで作ってもらうことができます。一番人気という「オリジナル&チキン」、パンをトーストしてもらい店内で頂きました。「オリジナル」挽肉がたっぷり入ったミートソースですが、野菜やグリルチキンとの相性がよくて美味。このボリュームで500円台というお値段もお手頃かな。なお地元の方はテイクアウトが多いようで、行列が長くてもイートインできない、という感じではなさそう。
小倉駅へ戻り、ここから特急「ソニック」で博多方面へ引き返し。
この883系、内装が結構奇抜。浦安にいる某ネズミみたいなヘッドレストだし。
特急でわずか2駅分、折尾で下車。
ここから筑豊線に入ります。まずは直方行きに乗って…。
博多行きの普通列車へ接続です。
車内はロングシートですが、どうも以前は転換クロスシートだったものを方向を変えて取付なおした感じです。
列車は桂川から篠栗線へはいってしまうのでここで下車。筑豊線を更に先に進みます。桂川駅はいつのまにか高架駅になってました。
駅舎の隣にあったショップは変わらず営業中でしたけどね。
ここ桂川から鹿児島本線に再合流する原田までの区間は非電化。国鉄時代から頑張るディーゼルカーが投入されています。
車内はあまり手を加えておらず、昔ながらのノスタルジックな雰囲気。
原田までの短い非電化の旅を楽しめました。
下り方面の快速に乗車。
車内は転換クロスシートですが、なんかちょっとヘンです。本来であればドアの間に5列ほどあるはずの座席がドア直近分を1列づつ撤去されているんですよね。コロナ禍で減便や編成短縮などが行われた結果ラッシュ時の混雑が激しくなったため、立席スペース拡大を目的に施工したようです。地元では「座れなくなった」とちょっと不評みたい。
暫くすると熊本側から列車が入線してきました。
この「SL人吉」も名前の通り「人吉」まで肥薩線を走っていた列車。こちらも肥薩線での運用を失った結果、週末を中心に鳥栖~熊本間での運行となっています。肥薩線のD&S列車、みんな出稼ぎしてるんだなぁ。
ただ、転車台が使えないらしくSLは鳥栖側に連結されたまま。熊本側にはディーゼル機関車が連結されていて、熊本行きのときにはこのDLを先頭にSLを最後尾にぶら下げ走ることになります。「どうしてもSLが先頭にいる列車じゃなきゃヤダ」という方は熊本発のほうに乗った方がいいけど、DL牽引ってのも珍しいですよ実は。
SLとDLの機関車に挟まれた客車は3両。ゆったり目のボックスシートが並びます。この車両、もとは国鉄時代に「客車で運転する普通列車」で使うことを想定した50系客車です。「機関車が引っ張る鈍行」自体が既に登場時でもレアな存在だったこともあって淘汰は早かった形式ですが、SL用やトロッコ列車などに改造されたのが一部生き残ってます。あと京都鉄道博物館に休憩スペースとして1両、ほぼ原型を留めたヤツがいます。アレ、実は凄く貴重だと思うのだが。
両端は展望スペース。誰でも自由に出入りできます。こちらはL熊本側。
鳥栖側はこんな感じ。ちょっとソファが違うのが置かれたりしてますね。
車内にはSLの模型などを展示するショーケースもあったりして。
肥薩線の沿線案内の看板も掲示されています。実は肥薩線、鉄道で復旧するかどうかもまだ確定していない状態です。もともと大きな赤字を出していた路線なうえ、復旧費用も200億円以上と膨大な金額になってしまいます。ただ、国の支援などでJR九州の負担が10分の1程度まで圧縮できそうな目処がついたようで、いい方向には向かっているような気はします。JRは更に上下分離で線路の維持費の地元負担を求めたいようなので、まだ予断は許しませんが。
車内で先ほどの「サンドイッチファクトリーOCM」でテイクアウトしたサンドイッチをデザートにしました。
「フルーツとクリームチーズ」、これも結構なボリュームです。「フルーツ」は生クリームでフルーツを和えていますが、クリームチーズとの相性は抜群。トーストしないパンもしっとり旨いです。
熊本までの道程は約2時間半。同区間の各駅停車よりも1時間は余計にかかるという鈍足ぶりですが、急ぐ人が乗る列車じゃないのでヨシ。あと、意外とガラガラでした。まぁ日曜夕方の熊本行きって、確かにどう使うんだよ、ってダイヤかもしれない。
そういう自分はすぐに「さくら」で博多まで戻るわけですが。
博多で地下鉄に乗り換えて福岡空港に着いたのは午後7時すぎ。1時間ほど前には熊本駅にいたのにね。
福岡空港はリノベーションがどんどん進んでおり、JAL・ANAとも上級会員向け保安検査プライオリティレーンが整備されています。
ラウンジもここからアクセスできるようになってるんですね。セントレアもいい空港だと思うけど、国内線のエアラインラウンジの貧弱さやプライオリティレーン不設置とかは是非改善してほしい。
名古屋への戻りはANAとスターフライヤーとの共同運航便。今では中部~博多路線の大半を占めるまでになっています。
明らかに他よりも前後の座席間隔が広いことが感じられるシートに座ると、程なく出発。
機内サービスもスターフライヤーらしい黒い紙コップで。