へんな旅ばかりしています。

へんな旅をしているようなので、自分のための防備録的にやってみます。

さよなら?寄港便、新日本海フェリー「らいらっく」で過ごす二晩。

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トマムからの帰路はフェリーで。

 

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トマムから1時間強で南千歳に到着。ここで新千歳空港行きへ乗り換え…せずに下車します。

 

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駅前のロータリーにあるバス乗り場には1台のバスが待機していました。新日本海フェリーが発着する苫小牧東港フェリーターミナル行きの連絡バスです。苫小牧港には多数のフェリー航路があり、名古屋から仙台を経由していく太平洋フェリーの航路もありますが、八戸からのシルバーフェリー、大洗からの商船三井フェリーとも苫小牧市街地に近い苫小牧西港のフェリーターミナルからの発着となり、連絡バスは基本的に苫小牧駅発着となります。これに対し新日本海フェリーは苫小牧から東に大きく外れ、日高本線浜厚真駅あたりまで行ったところにある苫小牧東港をターミナルとしているんです。以前は苫小牧駅までの連絡バスがあったのですが、今では南千歳駅発着になっています。正直なところ、このフェリーを徒歩で利用する人の大半は苫小牧ではなく札幌あたりが目的地でしょうし、苫小牧東港から苫小牧駅までのバスも30分以上の所要時間がかかっていました。それであれば、本数も多い快速エアポートが捕まえられる南千歳駅のほうが利用者には親切ということかも。

 

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南千歳駅から約40分で苫小牧東港フェリーターミナルに到着です。これから乗船するのは新日本海フェリーの苫小牧東~秋田~新潟~敦賀航路。新日本海フェリーは4つの航路を運航しており、今年のGWにマイカー乗っけてお世話になった小樽~新潟、小樽~舞鶴、苫小牧東~敦賀の毎日運行が基本の直行便に加え、途中で寄港しながら苫小牧東から敦賀まで2晩かけて行く航路があったりします。全区間を運行するのは週1便だけで、あとは苫小牧東~秋田~新潟間の折り返しなんですが、新日本海フェリーから「12月から当面の間、寄港便の敦賀発着を休止」「11月中の新潟~敦賀区間を運休」というアナウンスがありました。日本の長距離フェリーで「船内で2泊」というのは他に東京~徳島~北九州のオーシャン東九フェリー太平洋フェリーくらいしかないので、「船内で丸一日のんびりできる」貴重な航路がまた一つ消えるかもしれないわけです。今回、トマムからの特急に乗って南千歳で連絡バスにうまく乗り継げるスケジュールだったので、お別れ乗船をしましょうか、と思った次第。苫小牧東港の出発は毎週土曜日、敦賀には月曜の早朝に到着するので、名古屋まで帰っても会社の始業に間に合うし。

 

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ターミナルで乗船手続きを済ませます。意外と一般の利用者はいるような印象です。

 

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2階の待合室は新日本海フェリー1社の利用としては広めで、ショップも割と充実してます。

 

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午後7時前に乗船開始となりました。配船されているのは「らいらっく」。2002年に就役と、既に20年近くが経過している、日本の長距離フェリーの中では古参と言っていいくらいの船です。最近の大型フェリーはエントランスに大きな吹き抜けロビーを設けて開放感を出すようなのが多いので、やっぱり設計には古さを感じさせるところが。ただ、2017年に改装されていることもあって綺麗に保たれており、老朽化している印象はありません。

 

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客室は3階・4階・5階の3フロア構成。3階はツーリストクラス客席がメイン、上等級の個室とレストラン等の施設やパブリックスペースは4階に。5階は個室が並びます。

 

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今回利用する客室は下から3番目にあたる「ツーリストA」で、カプセルホテル的なベッドになります。窓のあるところに客室が配置されているので、こちらにしてみました。

 

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区画は小さめに分けられており、この部屋でベッド数は10しかありません。

 

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一番奥のベッドを選ぶと、窓のある壁に面したところにあたるので、ちょっとプライベート感があります。このくらいの等級で外が見える窓が近くにあるのって貴重なんですよね。

 

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上段にあたるベッドも階段で上がるので、梯子などを苦労して登る必要がないタイプ。

 

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入口側の区画は2名分のベッドが向き合うカタチですが、片方はベッド上段にあたる部分がないので天井までの高さが得られます。ここもお買い得スペースかも。

 

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まもなく出航なので展望デッキに出てみます。4階の後方のみが、この船で外に出れるエリアです。

 

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午後7時半、苫小牧東港を定刻で出航しました。これから太平洋から津軽海峡を横断して日本海へ出て、最初の寄港地である秋田へと向かいます。津軽海峡を横断する航路ってのも意外と少ないんですよね。

 

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夕食は船内のレストランで。

 

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カフェテリア方式での提供ですが、並んでいるのは基本的には冷製のものなど。温かい料理は注文毎に調理され、出来上がると呼び出しブザーで知らせてくれるので取りに行く、といったスタイルです。

 

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お昼がクラブメッドのビュッフェだったので、夕食は軽めにしてみます。以前から気になっていた「道産牛のローストビーフサラダ」をチョイスしましたが、これがなかなかの美味。お値段も620円と、クオリティを考えればお値打ちです。

 

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もう一品はチキンカツ。これも揚げ立てのサクサクなやつで、ビールに合います。

 

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食後は新潟名物、ヤスダヨーグルトフローズンヨーグルト売店で購入してのんびり。

 

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今日は「雲海テラス」のために早起きもしたことなので、風呂に入ってとっとと寝ます。さすがに20年前の設計なので、最近のSHKグループのフェリーでは定番施設ともいえる露天風呂はありませんが…。

 

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乗船2日目、朝7:35に最初の寄港地である秋田港に着岸しました。ここで1時間ほど停泊します。

 

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貨物需要はかなり旺盛なようで、トラックが何台も下船していきます。

 

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フェリーターミナルの向こう側に、なんだか青い列車みたいなのが…。これ、上野~青森で運転されていた寝台特急「あけぼの」で使用されていた24系客車なんだそうで、海外への譲渡の話があるため、ここに保管されているんだとか。でも、2015年からこんな状態らしいんですよね…。そんな長期にこんなトコに置きっ放しにしても、譲渡して欲しいなんて国があるのかしら。

 

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停泊中に朝ご飯。レストランでもよかったのですが、売店で買ったパンとコーヒーで済ませました。この缶コーヒー、北海道キヨスクのオリジナル商品だった筈。なんでこんなところで売ってるの?

 

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朝8:35に秋田港を出港。「らいらっく」の全長は199.9mと法規上での「巨大船」にはあたりませんが、タグボートがついていました。

 

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秋田港外に出たら進路を大きく南に変え、次の寄港地である新潟を目指します。

 

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船内設備の営業時間はこんな感じで各所に掲示されています。

 

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秋田港を出て暫くすると、4階中央にあるカフェの営業が始まりました。とはいえ、このカフェって「午前9時から10時まで」「午後1時から2時まで」と1日2回、それぞれ1時間しかオープンしないというレア施設だったりして。

 

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扱っているのは軽食やドリンクが中心です。

 

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カフェ前のスペースはかなり広く取られています。カフェ利用者でなくても使えますし、そもそもカフェのオープン時間が短いので、実質ここが一番広いパブリックスペースみたいな感じです。パブリックスペースでテレビがあるのもここだけで、2台設置されていました。

 

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では、せっかくなので船内をいろいろ見てみましょうか。カフェの奥にあるのはレストランとは別に用意されている「グリル」で、これも新日本海フェリーの各船に必ずある特徴的な施設です。ランチで3500円、ディナーで4500~5500円というちょっとお高めなコースや懐石を提供しています。最近では4~10月の夏期のみの営業みたいですね。一度ここで喰ってみたいとは思うのですが、なかなか手が出ずにいます。内容を考えるとお高い印象はしないんだけどなぁ。

 

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カフェスペースの対面に売店。お菓子やドリンク類も勿論、お土産がかなり充実しているのが面白いところ。寄港地となる北海道・秋田・新潟に敦賀舞鶴の名産品などもある上に、中には結構ツウなチョイスが入ってたりするのがニクい。フェリーのオリジナルグッズもあります。

 

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レストランや展望デッキに繋がるプロムナードには椅子やテーブルに加えマッサージチェアも。

 

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ゲームコーナーもこのあたり。

 

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ホッケー台などが置かれたコーナーもありましたが、新型コロナ対策で閉鎖中です。

 

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売店の裏手あたりがロビーで、小さいですが吹き抜けになってます。

 

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4階の前方には、これまた新日本海フェリーご自慢?の「フォワードサロン」が。

 

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前面の進行方向に向かって大きな窓が設置され、船の進む先の大海原を眺めてゆったりできるのはこの船ならでは。

 

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一つ下の3階にも同様のスペースがあるのですが、こちらはスモーキングルームになっています。ちょっと入ってみましたが当然ながら煙草の匂いが凄く、非喫煙者にはツラい所になってます。こんな「一等地」が喫煙者向けになっているあたり、20年という時代の流れを感じさせます。

 

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4階の案内所前のロビー付近。ここにもソファなどがあります。

 

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自動販売機があるのもこの付近。

 

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ビデオボックスみたいな個室もありますが、これもコロナ対策で閉鎖中でした。

 

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ビジネスコーナーとかもあります。椅子とテーブルと電源があるだけですけどね。

 

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キッズコーナーも使用中止中。

 

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ここにも比較的大きなスモーキングルームがあったり。イマドキのフェリーではあんまり見ない厚遇っぷりです。

 

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そのほか、5階にシアタールームがあります。午前中に映画の上映をやってたのですが行きそびれた…。

 

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ランチはレストランで戴くことに。営業時間はお昼12時から午後1時までの1時間です。

 

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なんだか新日本海フェリーに乗ると必ずどっかで喰ってる気がしますが、やっぱり海老味噌風味ラーメンを選んでしまうワタシ。

 

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で、カレーも付けちゃうんだよね…。旨いからいいけどさ。

 

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午後1時から開いたカフェでソフトアイスのメロンを所望。北海道発の航路なので勝手に赤肉メロンかな?と思ったりしてましたが、普通に緑のメロンでした。

 

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午後3時半に2つめの寄港地の新潟港に到着。

 

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こちらも貨物の動きは活発な様子。トレーラーだけフェリーに搭載しているのが多いらしく、それを引っ張り出すためのキャブが続々と船内に入っていきます。

 

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新潟港でも1時間停泊し、16時半に出港、いよいよ終着の敦賀へと向かいます。

 

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ちなみに4階の他の客室も覗いてみましょうか。自分が利用した「ツーリストA」の一つ下、「ツーリストB」です。

 

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昔ながら、といいった印象の2段ベッドが並んでいます。船の中央区画にあり、窓がある部屋はありません。

 

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一人用の「ツーリストS」もあります。

 

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一応「個室」っぽいですが、通路との仕切りはカーテンのみ。これも船の中央区画に位置しているので窓のある区画がない感じです。これであれば、混んでない限り「ツーリストA」でも充分かも。

 

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フォワードサロンに行くと、ちょうど海原に沈む夕陽が見れました。

 

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夕食は「ホエー豚ジンギスカン風定食」で。

 

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さすがにこの区間は利用者もそれほど多くなく、船内にはまったりした空気が流れます。明日も早起きですし、今日もとっとと寝ましょうか。

 

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乗船3日目の最終日、朝5時に起床。もう敦賀港内に入ってました。

 

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朝5時半、目的地の敦賀港に着岸しました。

 

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着岸して程なく下船開始。週1日のみ運行で休止になるくらいだからもっとガラガラかと思ったのですが、乗用車やバイク、徒歩とそこそこの乗客が乗っていたので少し吃驚。ツーリストAの自分の区画には計3名いましたが、みんな苫小牧東から敦賀までの全区間利用でした。いや敦賀直行便に乗ればもっと早く着けるのに何考えてるんですか?って自分もか。

 

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こんな時間ですが、ちゃんと敦賀港から敦賀駅への連絡バスが用意されています。10名以上の乗客を乗せて出発。

 

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20分弱の乗車で敦賀駅前に着きました。

 

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敦賀駅はこの時間、きっぷの自動販売機はありますが「みどりの窓口」は営業開始前。その時間に出る特急もあるのにね…。

 

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金沢を朝5時過ぎに出る朝イチの特急「しらさぎ」、福井駅発朝6時半過ぎに乗車します。

 

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米原で新幹線「ひかり」に乗り継ぎ、名古屋へと帰還しました。一旦帰宅して大急ぎで仕度し、何食わぬ顔で定時に出勤したのは内緒だ。