へんな旅ばかりしています。

へんな旅をしているようなので、自分のための防備録的にやってみます。

ひねくれて、アルペンルート。その1:バブリーなグリーン車で富山まで。

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5月のとある週末、こんどは大人しく過ごそうと思ってました。ちょうど観たい映画もあったし…。

 

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しかしながら、5/20に愛知県が「緊急事態措置」の強化を決定。大規模商業施設に週末営業の自粛を求めました。映画館は要請対象ではなかったのですが、生憎なことに観たかった2本の映画を上映しているところが大規模商業施設のテナントとして入っているところだったため、休業することになってしまいました。どちらの映画も上映規模が小さく、他の映画館で、というのも難しく…。

 

なんてこったい。ひねくれてやる。

 

ひねくれた私は、北へ向かったのです。

 

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名古屋から名鉄新鵜沼まで。そこから高山線鵜沼駅に移動し、普通列車美濃太田駅へ。ここで富山行きの特急「ひだ」を捕まえます。来年からは新型車への置き換えが始まるキハ85系がやってきました。

 

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今回は奮発してグリーン車に乗っちゃいます。キハ85系は1989年に特急「ひだ」への投入でデビューしたディーゼル特急車両で、JR東海になって初めて登場した車両でもあります。時速120km運転を行うためにアメリカ製のエンジンを搭載したりと実はなかなか画期的なんですが、車内設備も負けてはいません。座席は通路より一段高く設置され、普通車のシートピッチは国鉄時代の標準だった91cmから100cmと拡大。窓も縦幅が1m近い大きなサイズとなりました。そして特筆すべきはグリーン車でして、1992年に特急「南紀」への投入を想定して製造されたものは横3列、シートピッチも125cmと贅沢な造り。バブル時代の「ゴージャス」感を仄かに感じることができます。

 

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紀伊勝浦などの観光地へ行く需要を想定したのでしょうが、特急「南紀」にそこまでのグリーン車利用の需要はなかったようで、今ではこのグリーン車両は主に富山まで直通する特急「ひだ」に使われています。一人掛けのシートは背もたれも分厚く重厚な感じ。

 

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リクライニングもかなり深く倒れます。

 

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肘掛けには何かを塞いだような跡が。これは以前オーディオサービスが提供されていた名残で、ここにコントロールパネルがありました。

 

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この車両のもう一つの大きな特徴は、この前面展望でしょう。運転席と客室との仕切りは大きなガラス窓になっており、運転席の窓も非常に大きいので、客席から前面の眺めを楽しむことができるようになっています。1980年代後半から1990年代まで、このスタイルの特急車両は結構多かったんだよね…。

 

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ここは運転席すぐ後ろの列をゲットしたいところですが、残念ながら人気の高いシートなので既に販売済み。2列目でしたが、それでも結構前がよく見えます。このキハ85系も新しく見えますが既に登場から30年ほど経過。来年からは新しいHC85系への取り替えが始まります。HC85系は動力がハイブリッドになり、座席へのコンセント設置などのアップデートも行われますが、グリーン車は横4列配置となるみたいです。バブリーなグリーン車に乗れるのもあと僅かな期間、かもしれません。

 

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下呂温泉、前日までの大雨で川が増水してました。

 

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高山駅に到着。ここまで7両編成で来た「ひだ」はここで名古屋寄り4両を切り離し、前方の3両だけが富山まで向かいます。

 

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富山平野まで降りてくると、すっかり青空が広がっていました。

 

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美濃太田から約3時間、高架化が完了した富山駅に到着しました。既に富山駅に乗り入れる在来線でJRなのはこの高山線だけになってしまいましたね。

 

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こうしてみると、デザイン的には悪くないですよね。

 

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小さいながらも、ちゃんとトレインマークを出してるのもポイント高いぞ。

 

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富山に着いて、まずはお昼ご飯。富山駅の名物?「立山そば」で軽く済ませます。

 

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冷やし山菜そばにぶりのすしを戴きました。

 

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昼食のあとは駅の北口方面へ。南口はすっかり整備が終わった感じですが、北側はまだ作業の真っ最中といったところです。

 

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富岩運河環水公園にやってきました。「世界で一番美しいスタバ」があるところです。

 

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今日はここから岩瀬浜まで「富岩水上ライン」に乗って船旅を楽しみます。

 

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いざ出港。

 

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富岩運河は富山市街を流れる神通川に沿って、富山港のある岩瀬浜富山駅エリアとの物流のために作られました。今では物流ルートとしての役割は終わっていますが、運河沿いが公園として綺麗に整備されています。流れが穏やかなこともあって、ボートの練習にもよく使われているようです。

 

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この富岩水上ラインの最大の見どころが近づいてきました。中島閘門です。

 

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運河の上流と下流では水位が2.5mほど違っているため、このギャップを埋めるためのエレベーターのようなものです。船が閘門に入ると扉が閉められます。

 

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閘門の中の水位がどんどん下がっていき、下流の水位と同じまでになると、今度は進行方向の扉が開きます。

 

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富山港に近づくと、クルマが沢山並んている地区を通ります。これ、海外への輸出を待つ中古車なんだとか。

 

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還水公園からおよそ1時間、終点の岩瀬浜に到着です。

 

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岩瀬地区は古くから北前船の寄港地として栄えたところ。当時の街並みが残っており、ちょっとした観光スポットになっています。折角ココまで来たので散策していきます。

 

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で、メインストリートに入ったらいきなりちょっと小洒落たお店が。富山の地酒「満寿泉」の桝田酒造店の立ち呑み「沙石」です。

 

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店内は洗練された雰囲気が漂います。

 

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こちらでは桝田酒造のお酒を有料で試飲できるようになっています。ここ限定の純米大吟醸、3種を500円で頂いてみました。あれ、岩瀬ってなんか楽しいところ?

 

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廻船問屋の建物も残っており、内部公開が行われているところも。こちらの旧馬場家は今年から公開が始まりました。

 

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以前から公開されている旧森家。どちらも当時の栄華を偲ばせる豪華な造りです。

 

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岩瀬駅から富山地鉄富山港線で、富山港方面へ戻ります。ここは昔、JRの富山港線の駅だったところ。富山港線LRT化され「富山ライトレール」として運営されていましたが、富山地鉄の市内線との接続が決まり、今では富山地鉄の路線になりました。

 

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LRTなのでホームも低くなり、JR時代の駅施設は使われていませんが、駅舎とホームも綺麗に保存されています。これで富山市街へ。

 

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高架化された富山駅を貫通して路面電車の線路が敷かれているので、そのまま市内線へ直通です。

 

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今度は富山市ガラス美術館にやってきました。インバウンドの観光客に人気の施設として名前をよく聞くので、どんなもんか確かめに来た感じです。そういえばこの建物、あの隈研吾の設計でしたわ。確かに外観はちょっとそれっぽい。

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この建物にはガラス美術館だけでなく、銀行や図書館も入居する複合施設。「ガラス美術館」としては常設展示よりも企画展が中心、といった印象でした。内部は大きな吹き抜けを囲んで螺旋状にフロアが展開するような構造で、隈研吾の得意技「木を貼り付けて雰囲気づくり」が炸裂。もしかしたら外国人観光客、「ガラス美術館」よりは「隈研吾の建築」を見に来てるって可能性、ないですかね?

 

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富山での宿泊は「コンフォートホテル富山駅前」です。

 

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お部屋はごく一般的なシングルルームの構成。

 

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夕食は富山ですもの、お寿司でしょ!と駅前の「廻転とやま鮨」へ。

 

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まずはビールから。

 

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白海老の唐揚げをお供に楽しみます。

 

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先ほど立ち寄った縁ですし、2杯目は「満寿泉」にしてみました。

 

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こちらは三種盛がいろいろ揃っているのが有り難いところ。いわし・かんぱち・しまあじの青身三種から。

 

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白身三種は平目・鏡鯛・車鯛。

 

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炙り三種は黒むつ・石持・さわらでした。

 

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最後はほたるいか白海老・紅ズワイガニ富山湾三種を頂きました。

 

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〆は富山ブラックラーメン。高評価の「一心」、ここも富山駅そばにあります。

 

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真っ黒なスープは一瞬ビビりますが、そこまで味が濃いわけじゃないんだよねぇ。滋味深くて旨いです。

 

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ホテルは朝食付き。1階のラウンジコーナーでビュッフェ形式での提供でした。

 

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ラインナップは結構充実してます。パンも色々ありましたが、チキンピラフが妙に旨そうでご飯メインで行ってみました。白海老のスープとか富山っぽいモノもあったりして。